プジョー406ブレーク 2.0(4AT)【ブリーフテスト】
プジョー406ブレーク2.0(4AT) 2001.07.13 試乗記 ……313.5万円 総合評価……★★★★クラスのベンチマーク
見た目に派手でなく、かつコンサバでありつつスタイリッシュ。乗り心地がフラットで、操縦性は痛快=いわゆるスポーティな乗りアジ。特に高速域で輝く動力性能。等々、いわゆるクルマ好きにウケのいい“プジョーらしさ”は色濃くある。一方で、従来プジョーの弱点だった室内--特に後席頭上空間の狭さ、や、限界域でのトリッキーな動き関係はほぼ解決。オトシン(音・振動)も向上。
結果として、406はこのクラスのベンチマークのひとつになった。ルノーやシトロエンと較べると、シャシーやシートのつくりに“合理化”を感じさせるぶん、心にしみてこないということはあるにしても、全体としてきわめてソツなく出来上がっている(ドイツ車風になった、という人もいる)。たとえばの話、トヨタや日産の開発部門には間違いなく406の1台や2台はあるはずである。
ブレーク=ワゴンの特徴は、セダン比12cm増しの全長。いうまでもなく、お尻が長い。バン顔負けのきわめて高い積載性能がフランス製ワゴンの伝統的美点で、406ブレークもそこには強くこだわっている。ライバルのフォルクスワーゲン・パサートが、セダンとワゴンで全長を変えていないのとは対照的だ。リアサスひとつとってみても、荷室への出っ張りを極力小さくするコンパクトな設計になっていて「なるほど」。名称としては同じ「マルチリンク」でも、対地キャンバー変化の小ささと生産コストの安さ以外にさして利点のなさそうな日産のものとはだいぶ考えかたが違う。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
406シリーズは、405の後を受け、まずセダンが1995年に登場。96年にV6モデルとオートマチック、そしてブレーク(ワゴン)が加わった。また、同年のパリサロンでクーペがお披露目される。99年にセダン、ブレークがフェイスリフトを受け、ハッキリとしたグリル、クリアレンズのヘッドライトが与えられた。日本には、2リッター直4と3リッター(厳密には2.9リッター)V6の「セダン」「ブレーク」が輸入される。クーペは、3リッターV6のみ。
(グレード概要)
ブレークにも、セダン同様、2リッター直4と3リッターV6モデルが用意される。装備の差異もセダンに準じる。3リッターモデルは、ステアリングホイール、シフトノブはじめ、内装が本革仕様。ウッドパネルも、ダッシュボードほか、センターコンソール、ドア内側に使用される。タイヤサイズは、2リッターが「195/65R15」、3リッターが「205/60R15」である。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
昔のホンダ車ほど極端ではないが、このクラスのクルマとしてはカウルトップ位置は低め。幅方向の余裕を強く感じさせることとあいまって、前方の見晴らしはいい。これだけでスポーティな気分になる。といって暴露感が強すぎてコワい、ということもない。いい案配。ダッシュボードの造形はオーソドクスでイヤ味がない。各種操作にとまどうこともなかった。
(前席)……★★★
運転姿勢は、シートを心もち寝そべり気味に設定すると、ダッシュボードや周囲の空間との関係がぴったりくる。ラウンジ的な着座環境。レバー式の座面上下調整(もちろんシート全体が動く)は使いやすい。ただし、座面や背もたれのクッションのたわみに、フランス車らしい深い優しさは感じられず。一瞬「ドイツ車風?」と思わないこともないが、しかしよくできたドイツ車のシートと較べると明らかにカサカサ。つまり安っぽい。
(後席)……★★★
クルマがデカくなったから当然といえば当然だが、405と較べると頭上空間の余裕は別次元。シートのサイズも含め、現在のこのクラスのクルマとしてまずまず文句ないレベルにある。姿勢や安全性等に関する部分に特筆すべき難点なし。
(荷室)……★★★★★
容量526リッターと謳われる、文句なくデカいカーゴルーム。サスペンションの出っ張りも小さい。ファッション指向で買われるワゴンとは極北のところにいる。プジョー車の常で、スペアタイヤは車外の床下。交換時に、荷物を降ろす必要がない。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
以前よりはだいぶマシになったが、相変わらず動力性能は街なかではさえない。あるいは高速道路本線車道への合流加速も少々タルい。そのかわり、入ってしまえば水をえた魚。溜飲が下がるとはこのことか、とばかり活発に走る。実に大陸的な性格のエンジンだ。オートマはドライバーの気持ちをよくわかってくれて嬉しい。変速制御はマニュアルシフトの運転に近い。トルコンのイヤな滑りも特になし。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ハンドルはカルく、疲れ果てているときの高速巡航はちょっとコワいかも、というぐらいクイック。でも直進性はきわめて高い。元気なときにトバせばやはり溜飲が下がる。フラットな、つまりダフダフしてない乗り心地。以前とくらべてちょっとピリピリしているぶん、全体としてはドライビールならぬドライプジョーな乗りアジだ。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:森 慶太
テスト日:2001年4月19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1634km
タイヤ:(前)195/65R15 91H/(後)同じ(いずれもPirelli P6000)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:366.3km
使用燃料:45.0リッター
参考燃費:8.1km/リッター

森 慶太
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