マツダ・アクセラスポーツ20S ツーリング Lパッケージ(FF/6AT)/アクセラスポーツ15S(FF/6MT)/アクセラセダン15S(FF/6AT)
すがすがしいクルマ 2013.12.05 試乗記 ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ハイブリッドシステムと、幅広いパワーユニットをそろえる新型「アクセラ」。今回はその基本、ガソリンエンジン搭載車を公道で試した。マツダの意地の象徴
「ソウルレッドプレミアム」という鮮やかな赤一色に染まった東京モーターショーのマツダブースのステージ上には、3種のパワートレインを積む新型「アクセラ」3台がそろい踏みしていた。ひとつの車種にガソリンエンジン、ハイブリッド、そしてディーゼルターボという3種類のパワーユニットをそろえているのは日本車ではアクセラだけ、というより世界的に見ても、実際に市販モデルを取りそろえて発売しているのはメルセデス・ベンツやBMW、ポルシェといったプレミアムブレンドに限られる。ようやくスカイアクティブ第3弾たるアクセラのすべてをお披露目したマツダにとって、今回のショーは文字通りの晴れ舞台であろう。
マツダはリーマンショック以前から独自の「ビルディングブロック戦略」に基づき、ハイブリッドやプラグインハイブリッドといったモーター駆動技術を採用する前に、まず内燃エンジンやボディーなどの基本技術を一新するという方針を打ち出し、着実に実行してきた。その技術の総称がスカイアクティブ・テクノロジーだが、ちょうど電気自動車(EV)が注目された時期と重なったせいで、当時経済紙などのメディアからは「今時ハイブリッドモデルもEVもないなんて」という質問が繰り返し投げかけられたことを覚えている。
だが新聞が書き立てた通りにはいかなかった。少なくともEVについてはその限定的な実用性のために思ったように普及は進まず、いっぽうでスカイアクティブ技術を搭載してデビューした「CX-5」や「アテンザ」のディーゼルモデルは供給が追い付かないほどユーザーの人気を集めている。とはいえ、マツダの立ち位置は変わらず、開発主査も「少数でいいから熱いファンを獲得したい」と明言する。こういうことをはっきりと言い切れるのはマツダだけだろう。個人レベルでは同じことを考えていても、会社の看板を背負ったらなかなかそうはいかず、世間向けに「できるだけ多くのお客さまに楽しんでいただきたい」などと当たり障りのない物言いになるのが普通だ。そんなところにも、土俵際から押し返したマツダの覚悟と力強さを感じるのだ。
2013年11月21日に発売されたアクセラのガソリンモデルには、スカイアクティブ技術が投入された新しい1.5リッター直噴ガソリンエンジンと、従来型をさらに改良した2リッター直噴ユニット(こちらはハッチバックの「アクセラスポーツ」だけの設定)が載り、どちらのエンジンにも6MTと電子制御6ATが設定される。ただし2リッターの6MT仕様だけは少し遅れて2014年春の発売予定である。
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こだわりのインターフェイス
新型アクセラにはマツダの生真面目さというか、職人気質のこだわりが随所に詰め込まれている。一見して派手ではないが、新しいヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)はひとつひとつが理にかなっている。
例えば、運転操作の基本の「き」たるドライビングポジションは、運転者と自然に正対した左右対称位置にアクセルペダルとフットレストを配置(快適性と踏み間違い防止につながる)し、そのペダルもいわゆるオルガン式を採用。ハイブリッドモデルだけはトヨタとのユニット共用の関係でつり下げ式だが、ほかはガソリンもディーゼルも踵(かかと)を支点にして足先だけでリニアなコントロールができるオルガンタイプにこだわっている。
また、ダッシュ中央に独立して設けられた7インチディスプレイも設置位置やサイズ、表示項目など、見やすさと、わき見をさせないという運転の基本を追求した結果だという。
メーターナセル上部に立ち上がる投影式の表示板、「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」も、カーナビやインフォテインメントを統合した「マツダ・コネクト」を操るコマンダーコントロールのダイヤル式コントローラーも世界初というようなものではないが、実際の走行中にはどのような方式が最も使いやすくて安全であるかを考えて開発したものである。私も視線を手元に落とすことなく直感的に操作できるダイヤル式が現時点のベストだと思う。しかもこのようなシステムは外注丸投げではなく、自前で開発したということにも恐れ入る。
ダッシュボードの高さや形状を突き詰めたアクセラのインテリアは真面目な機能性だけでなく、従来のマツダ車にはなかった開放感も備えている。以前はスポーティーさを追い求めた黒っぽい窮屈なコックピットという印象だったが、アクセラは明るくルーミーだ。一部本革のオフホワイトのシートなども用意されているせいで、むしろアテンザよりも上等で垢(あか)抜けたように見えるほどだ。
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リニアで軽快なエンジン
1.5リッターは111ps(82kW)/6000rpmと14.7kgm(144Nm)/3500rpm、2リッターでは155ps(114kW)/6000rpm、20.0kgm(196Nm)/4000rpmというスペックを持つガソリンエンジンは、どちらも軽快感と健康的なエンジンのパワーフィーリングを特徴とする。絶対的なパワーは驚くほどでもないし、特に1.5リッター版は山道では物足りなく感じることがあるが、回せば回しただけスムーズにリニアにパワーが湧き出す感覚がすがすがしい。CVTではなく6ATを採用していることもあり、ドライバーの操作に対するエンジンの音の高まりや車速の伸びに違和感がなく、自分で操っているという実感に富んでいるのだ。エンジンの音そのものもそれほど静かではないが、耳障りではない健康的な音質だ。
昔から「人馬一体」をいわば社是として掲げるマツダは、ハンドリングについてもリニアな一体感を重視している。ピクピクした鋭い瞬間的なゲインを追うのではなく、しなやかにサスペンションが動いた後に向きが変わるタイプ。そのリズムは十分に軽快で、かつその奥には腰が据わった安定感もあり、言ってみれば昔のルノーやオペルのような頼もしさを備えている。もちろん、あの頃のヨーロッパ車とは違ってザラザラした細かなバイブレーションなどを伝えてくることはなく、乗り心地も滑らかといえるレベルにある。
私の経験から言って「巧言令色鮮し仁」は車にも当てはまると思う。耳触りのいい、カッコいい言葉よりも、一見地味に思えるかもしれないが、実直に基本を見直しましたという話のほうが安心するのだ。少なくともクルマ好きにとっては、クドくて熱い開発者の言葉は大歓迎。そういう話ができるマツダのエンジニアは幸せなのだと思う。
(文=高平高輝/写真=荒川正幸)
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テスト車のデータ
マツダ・アクセラスポーツ20S ツーリング Lパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4460×1795×1470mm
ホイールベース:2700mm
車重:1330kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:155ps(114kW)/6000rpm
最大トルク:20.0kgm(196Nm)/4000rpm
タイヤ:(前)215/45R18 89W/(後)215/45R18 89W(トーヨー・プロクセスT1スポーツ)
燃費:18.4km/リッター
価格:248万8500円/テスト車=267万7500円
オプション装備:CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)(3万1500円)/Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+9スピーカー(7万3500円)/電動スライドガラスサンルーフ(チルトアップ機構付き)(8万4000円)
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:1458km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
マツダ・アクセラスポーツ15S
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4460×1795×1470mm
ホイールベース:2700mm
車重:1240kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:111ps(82kW)/6000rpm
最大トルク:14.7kgm(144Nm)/3500rpm
タイヤ:(前)205/60R16 92V/(後)205/60R16 92V(トーヨー・ナノエナジーR38)
燃費:19.2km/リッター
価格:190万500円/テスト車=215万7750円
オプション装備:ディスチャージパッケージ(6万8250円)/セーフティクルーズパッケージ(8万4000円)/CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)(3万1500円)/Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+9スピーカー(7万3500円)
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:1673km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
マツダ・アクセラセダン15S
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4580×1795×1455mm
ホイールベース:2700mm
車重:1270kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:111ps(82kW)/6000rpm
最大トルク:14.7kgm(144Nm)/3500rpm
タイヤ:(前)205/60R16 92V/(後)205/60R16 92V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:19.6km/リッター
価格:184万8000円/テスト車=210万5250円
オプション装備:ディスチャージパッケージ(6万8250円)/セーフティクルーズパッケージ(8万4000円)/CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(フルセグ)(3万1500円)/Boseサウンドシステム(AUDIOPILOT2+Centerpoint2)+9スピーカー(7万3500円)
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:2110km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

高平 高輝
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