クラシックカーの祭典「ニューイヤーミーティング」の会場から(前編)
2015.01.27 画像・写真2015年1月25日、船の科学館に近い東京・江東区青海の特設会場で、恒例の旧車イベント「JCCAクラシックカーフェスティバル ニューイヤーミーティング」が開催された。旧車ファンならご存じのように、この会場はおととしまで10年以上にわたって同イベントが開かれていた場所である。昨年は東京オリンピック開催決定による湾岸エリアの再開発を理由に富士スピードウェイへと会場を移したが、この変更によってイベントの内容が一変し論議を呼んだ。それまで毎回300台前後を数えた個人出展による車両展示が100台未満に激減、代わって主役となったのはスポーツ走行の参加車両。走り好きにとっては料金がリーズナブルで走行時間もたっぷりと好評だったが、場所が場所だけに見学客も少なく、全体としては「青海のほうがよかった」という意見が多数を占めた。そうした声を受けてのことであろう、39回目を迎えた今回は青海に戻ってきたのである。この決定は歓迎すべきことであるが、1年間の空白によって何もかもがおととしまでと同じというわけにはいかず、出展台数はやや減少していた。とはいえフリーマーケットを含め231台の個人出展、78のクラブスタンド、38のオートジャンブル(旧車関連ショップの出店)という規模は、依然として日本最大級ではある。このところ東京地方は不安定な天候が続いているが、幸いなことに快晴で一日中ほとんど無風状態という絶好のイベント日和に恵まれた会場の様子を、写真で紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

-
個人出展車両を対象として毎回実施されているコンクールデレガンスの、今回のテーマカーはトヨタ車。51台が参加した。
-
1966年「トヨタ・パブリカ コンバーチブル」と67年「パブリカ トラック」。初代パブリカは700ccの空冷フラットツインを積んで61年にデビュー、66年のマイナーチェンジで800ccにスケールアップされた。
-
1969年「トヨタ・カローラ1200バン デラックス」。エンジンが1100ccから1200ccに拡大された初代カローラ最終型の商用バン。4ナンバーではあるが「カローラフィールダー」のルーツと言えるかもしれない。
-
コンクールデレガンスで大賞に選ばれた1972年「トヨタ・カローラ レビン1600」。型式名TE27こと初代レビンの、最初のマイナーチェンジを受けた後のモデルだが、純正スチールホイールをはじめオリジナルの状態を保っており、コンディションもすばらしかった。
-
1965年「トヨペット・コロナ1500デラックス」。宿敵ブルーバードとの“BC戦争”に勝利して、トヨタ初のベストセラーに輝いた3代目コロナ。この個体は新車からのワンオーナー車で、しかもフルオリジナル。
-
レストアされ新車のような輝きを放っていた1971年「トヨタ・セリカ1600GT」。「恋はセリカで」のキャッチコピーを掲げて初代セリカがデビューした際のトップグレードである。
-
1979年「トヨペット・コロナ マークII LG」。3代目「マークIIセダン」の、2リッター直6エンジンを積んだ高級グレード。クラシカルな雰囲気のマスクには、当時のアメリカ車の影響がうかがえる。
-
型式名KP61こと2代目「トヨタ・スターレット」。標準の4K-U型1.3リッター直4OHVエンジンに代えて、なんとマツダの13B型ロータリー(654cc×2)を積んでいた。
-
エントリーしたトヨタ車中、もっとも古かった1957年「トヨペット・マスターライン ピックアップ」。初代クラウンの姉妹車であるタクシー向けモデル「トヨペット・マスター」から派生した4ナンバーの商用車で、このシングルピックのほかにダブルピックとライトバンも存在した。
-
1961年&62年「日産セドリック バン」。初代セドリックの商用バン、それも初期型の同色の双子が並んだ非常にレアな光景。Old Cedric Club “TAISEIYA”のクラブスタンドにて。
-
ここには写っていないレーシング仕様車を含め5台の初代「日産チェリー」を並べていたチェリークラブジャパンのブース。チェリーは1970年に登場した日産初のFF車となる大衆車である。
-
型式名130こと2代目「セドリック」のクラブであるセドリック130オーナーズクラブは、ベンコラと俗称されるベンチシートにコラムシフト仕様の1969年「日産セドリック デラックス6」を展示。
-
1987年に登場した8代目「U12ブルーバード」のクラブであるClub U12のブースに展示されていた「日産ブルーバード オージー」。オーストラリアの工場で生産され、逆輸入された5ドアハッチバックである。ちなみに車両の展示資格は原則として1979年までに生産された車両および同型車だが、クラブスタンドは89年までOK。
-
日本車で初めてイタリアンデザイン(ミケロッティ)をまとった「プリンス・スカイラインスポーツ クーペ」。1962年から60台(内訳は一説によるとクーペ47台、コンバーチブル13台)がハンドメイドされた。石川県小松市にある日本自動車博物館のブースにて。
-
ホンダN360エンジョイクラブのブースに展示されていた、往年の「FL500」(軽自動車のエンジンを使ったフォーミュラ・リブレ)用のエンジン。「N360」用の空冷SOHC並列2気筒を500ccに拡大、180度軽量クランク、ビッグバルブ&強化スプリング、ケイヒンCRキャブレターなどを備え、推定最高出力60ps以上という。
-
ベレットサルーン・クラブのブースに展示された、2台の1966年「いすゞ・ベレット1500 4ドアデラックス」。左側は少数しか作られなかった、非常に珍しいオートマチック仕様である。
-
「いすゞ・ベレット1500 4ドアデラックス」AT仕様の室内。3段AT自体はボルグワーナー製で、フロアセレクト式は国産小型車では初めてだった。セレクターもT型レバーではなく、球形シフトノブの頂点にリリースボタンを配したスマートなデザイン。スポーティーサルーンを標榜(ひょうぼう)したベレットならではのスタイルだ。
-
1984年「いすゞ・ジェミニ クーペ」。初代ジェミニ最終型のマスクとリアエンドを、逆スラントノーズの前期型風に改めた力作。フロントのエアダムスカート、カンパニョーロ101Eホイール、カデットGT/E用ドアミラーなどは、往年のドレスアップの定番アイテムである。
-
1971年「三菱ミニカ スキッパーGT」。360cc規格時代のミニカの、クーペモデルのトップグレード。リアウィンドウは開閉可能なガラスハッチで、コーダトロンカのテールには後方視界確保のためのスクープドウィンドウと呼ばれるスモークガラス製の小窓を備えていた。
-
1976年「スバル・レックス5 AII」。同年に軽規格が360ccから550ccに改定されたことに伴い、360cc時代のボディーを拡幅し、エンジンを500ccに拡大した過渡期のモデル。今や希少な残存車両である。