第1回:地球史3大事件(前編)
2016.07.26 カーマニア人間国宝への道「枯れ」がひらく、カーマニア人間国宝への道
ご同輩諸兄。不肖清水草一満54歳でございます。
勝手にご同輩にするなって? まあいいじゃないの前後20年くらいの誤差は。お互い中高年男性ってことで肩を組んで歩きましょう! 女性は完全無視。
満54歳ということは、仮に75歳まで生きるとして人生7割2分を終了。そろそろ我が人生、我がカーライフを振り返り、残された中高年なカーライフをいかに過ごすか、それを真剣に考察してもいい頃合いかと存ずる。なぜなら、若い頃とは欲望の方向性が明らかに違ってきているからだ。
なかには、「もう枯れちゃいました!」というご同輩もいらっしゃるだろう。枯れること即ち解脱。涅槃に一歩近づいたわけでおめでたくもあるが、一方では「まだまだ枯れたくない! 生涯現役!」というスッポンオヤジもいるはず。
私はというと、加齢による「枯れ」をうまい具合に発展させ、カーライフをより奥深く、人間国宝の境地へ発展させたいと願っている。そんな私の独り相撲を、これからしばらくwebCG上にて披露させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。土下座。
ということで、我がカーライフを軽く振り返る前に、地球史を振り返ってみたい。
地球が誕生してから45億6700万年。その間には大事件が大量に発生した。大量に発生しすぎてどれが特に大事件だったのか選考が難しいが、ここは恣意(しい)的に3つの大事件を選び出してみた。
地球史3大事件その1/ジャイアント・インパクト
これは約45億5000万年前、火星サイズの惑星が地球に衝突した大事件である。これによって月が生まれたのだが、私のカーライフにとってのジャイアント・インパクトは、ズバリ1989年、単なる観光旅行で訪れたフランスで、生涯初めてレンタカーを運転した時であった。
当時私はミラージュカップなる草レースに参戦を始め、こちとらレーサーだ、そこらのシロートさんとはテクのレベルが違うぜ! と図に乗っていた。ところが! そこらのフランス人たちは私より運転がうまかった! ガーンガーンガーン!!
コートダジュールに沿ってクネクネと続くA8号線(高速道路)。そこを爆走する我がレンタカーの「ランチア・テーマ」。当時のフランスは速度取り締まりなるものはほぼ皆無であったらしく、多くのクルマが最高速バトルを繰り広げていたため、私も喜び勇んで鼻血を吹き出しながら参戦した。
我がレンタカーは、2リッターという大排気量(小型車だらけのフランスでは)を生かして常時180から200km/hをキープ、昼間はなんとか路上の帝王の座に君臨した。しかし夜になったらメチャ暗くて前がよく見えない。なのにフランス人たちは昼間同様鬼のように飛ばす。歯を食いしばって耐えていた私だったがついに緊張の糸が切れ、次々と抜かれた。オバチャンの運転する小型車までもが170km/h前後(たぶん完璧に最高速付近)で我が大排気量マシンをカモったのだ!
フランス人は死ぬほど運転がウマイ! 日本人は死ぬほど運転がヘタ! それはまさにジャイアント・インパクトであり、我がカーライフにおけるヨーロッパコンプレックスの原点となった。
地球史3大事件その2/生命の誕生
約40億年前、海底の熱水噴出孔付近にて細菌状の原始生命が誕生したらしい。これがその後約40億年をかけて人類に進化するのだが、私にとっての生命の誕生は、フェラーリ様との邂逅と購入であった。
1989年、マンガ家・池沢早人師先生の「テスタロッサ」を運転させていただいて脳天に雷が落ち、その瞬間にすべてを悟った。「フェラーリであればすべて善し」と。それは地上唯一の自動車芸術であり、目的を持たない神のようなクルマとの出会いだった。
その後バブルの崩壊により中古フェラーリ価格は劇的に暴落。自分の手に届くようになったと思った瞬間の1993年7月、人生を捨てる覚悟を抱き、1163万2800円にて「348tb」の購入を果たす。それこそ私のカーライフにおける天地創造じゃなかった生命の誕生であった。
その後私は合計10台の神(フェラーリ様)を迎え、現在は「458イタリア」を崇拝している。途中「ランボルギーニ・カウンタック」なる悪魔崇拝にもあえて寄り道したが、我が神はあくまでフェラーリ様であった。458イタリアこそ私にとって神の終着駅。これ以上の神はこの世に存在しないと悟っている。
ところで、それが神であるか否かはどのように判定するのか?
鼻血が出るか出ないかである。見た瞬間猛烈な欲望が湧き出して鼻血ブー、血や臓器を売ってでも手に入れてやるぜ! と直感するクルマが神であり、そうでなければ神ではない。私にとって458イタリアは神だが「488GTB」は神ではなかった。
では、我がカーライフにおける地球史3大事件、最後の、そして未来へと続く大事件とは何なのか!!(つづく)
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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