ランボルギーニ、カーボンパーツの量産化に意欲
2016.09.16 自動車ニュース![]() |
アウトモビリ・ランボルギーニは2016年9月16日、東京都新宿区の聖徳記念絵画館で「Excellence in Carbon Fiber」と銘打つイベントを開催し、カーボンパーツに対する取り組みを説明するとともに、三菱レイヨンとの業務提携を発表。基本合意書の署名式を行った。
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■これからはパワーより軽さ
今回のExcellence in Carbon Fiberでは、ランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEOがあいさつに立ち、同社のカーボンパーツ開発への取り組みを紹介した。ドメニカリCEOによれば、ランボルギーニは、高い剛性を確保しながら車体の軽量化を実現するカーボンパーツを重視しており、これまでパートナーシップを結んできた三菱レイヨンの協力をあおぎながら、新素材の開発をさらに進める予定だという。
より具体的な取り組みについては、同社の研究・開発部門担当取締役であるマウリツィオ・レッジャーニ氏や、アドバンスト・コンポジット部門のルチアーノ・デ・オト氏が説明した。レッジャーニ氏もまた、高性能スポーツカーにいま求められているのは、最高出力の向上よりも車体の軽量化であることを力説。「軽さの違いはドライバーにとってもわかりやすく、ユーザーからも望まれている」などと述べた。
そのランボルギーニがカーボン素材を初めて使用したのは、33年前の1983年。「カウンタック プロトタイプ」でプリプレグカーボンモノコックを採用したのが最初である。
2010年には、「フォージドコンポジット」と呼ばれる、硬化時間をそれまでの数時間から数分に短縮できるカーボン材を開発。これが大きな転機となり、より積極的にカーボンパーツの採用にチャレンジすることとなった。複雑な成形が可能となりデザインの自由度が増すことや、軽量化によりCO2の排出を削減できることも、フォージドコンポジット材がもたらす大きなメリットに挙げられる。
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■生産の自動化が急務
ランボルギーニは、2007年には先進複合素材研究センターをイタリアの本社内に、先進複合構造研究所をアメリカのシアトルに設立。航空業界のボーイング社とも提携し素材開発を進める中で、日本企業の技術力の高さに注目したという。
この日は、三菱レイヨンの越智 仁社長と中越 明コンポジット製品事業部長も列席。今後の業務提携についての署名式が行われた。これまでも前述のフォージドコンポジットや、ボディーパネル用素材「カーボンスキン」の開発に協力してきた同社は今後、さらなる新素材の開発を進める一方で、ランボルギーニが急務としている生産工程の自動化にも取り組む。
会場では、こうしたカーボンパーツが多数採用された限定車「ランボルギーニ・チェンテナリオ」が、アジア地域で初めて披露された。スペックは、最高出力770psに対して、車両重量は1520kg(クーペの値。ロードスターは1570kg)。0-100km/h加速は2.8秒、最高速度350km/hと公表される。クーペ、ロードスターともに販売台数は20台で、いずれも完売となっている。
チェンテナリオを紹介したドメニカリCEOは、カーボンファイバーが今後、スーパースポーツカービジネスにおける成功のカギとなることをあらためて強調。「ライバルメーカーとの競争は年々激しさを増しているが、ランボルギーニはカーボンパーツによる差別化が可能。成功のチャンスがあると考えている」とコメントした。
(webCG 関)