祝エスハチ50周年! 「HONDA S800 50years」の会場から
2016.10.24 画像・写真2016年10月16日、「ホンダツインカムクラブ(HTCC)」をはじめとする「ホンダSシリーズ」の愛好クラブが中心となって、「HONDA S800 50years」が開かれた。タイトルのとおり、1966年1月に「ホンダS800」が発売されてから、今年で50年を迎えたことを記念したイベントである。当日は埼玉県和光市にあるホンダ白子ビルに、ホンダそして日本が誇るマイクロスポーツである「S500」「S600」そして「S800」という、歴代Sシリーズ94台(エントリーリストは100台だったが、うち6台が故障などで参加を断念)が全国から集合した。ここが集合場所に選ばれたのは、S愛好家ならではの理由からである。ホンダは1960年代に四輪市場に進出するにあたって、整備や修理などのサービスを販売とは別個に行うSF(サービスファクトリー)を全国に設立した。白子ビルのある場所には、かつて大規模な白子SFがあり、東京近郊に住む古くからのSオーナーにとっては懐かしい場所なのだという。白子ビルに集った参加者は、ここからS800の生まれ故郷である、埼玉県狭山市にあるホンダ狭山工場(埼玉製作所 狭山完成車工場)まで、およそ25kmの道のりを連なってドライブ。狭山工場では記念式典、昼食会およびSシリーズの開発に携わったホンダOBをゲストに招いてのトークショーが行われた。Sオーナーにとっては、いわば巡礼の旅となったイベントから、参加車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/21東京都練馬区および板橋区に隣接する埼玉県和光市にあるホンダ白子ビル。かつて白子SFがあった場所に、94台の「Sシリーズ」が集まった。
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2/21ズラリと並んだ「Sシリーズ」。
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3/21このイベントのために、ホンダのデザイナー氏に作成してもらったというロゴマーク。バナーやステッカーが作られ、後者は参加者に配られた。
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4/211963年10月に発売された、ホンダ初の市販乗用車である「S500」に見えるが、実は翌64年3月に発売された「S600」の最初期モデル。マニアの間では「S5600」(エスゴロッピャク)と呼ばれる、S500のボディーにS600のエンジンを積んだ仕様なのだ。第2回日本グランプリに出走したワークスS600と同じスタイルだが、市場に出回ったのはごくわずかという。
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5/21「S500」に搭載された、国産乗用車初のDOHCエンジン(国産初はS500より2カ月早く世に出た軽トラックの「ホンダT360」)。4連CVキャブレターを備えた直列4気筒531ccから最高出力44ps/8000rpm、最大トルク4.6kgm/4500rpmを発生する。
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6/21「S800」のコックピット。「S500」「S600」も基本的に同じデザインだが、S800では黒塗りとなるメーターパネルがアルミ地色のままだった。1万1000rpmまで刻まれたメーターは8500rpmからレッドゾーン(S500/S600では9500rpmから)。ウッドステアリングは全車に標準装備。
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7/21白子ビルから「S800」の生まれ故郷である埼玉県狭山市にある狭山工場に向けて、1台ずつスタート。来賓として招かれた和光市長の松本武洋氏がスターターを務めた。
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8/21狭山工場に向かうルートで、「S500」に「S600」が続く。500と600では、フロントグリルとバンパーのデザインが異なることがわかるだろう。S600の後ろには、関係者のものとおぼしき「S2000」がいる。
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9/21「S800」(右)と「S600」。中央にHマークをあしらったマスクは、S800に始まる。
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10/21こちらは「S800クーペ」に2台の「S800」が続く。
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11/21輸出仕様(左ハンドル)の「S800」は、フロントウインカーが国内向けより大きい。後ろの「S800クーペ」は右ハンドルだが、やはりフロントウインカーが大きい。右ハンドル圏からの逆輸入車か、あるいは国内仕様に輸出用パーツを装着しているか。
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12/21オリジナルに近い姿を保った「S800」。ボディーカラーは、初期のチェーンドライブ仕様ではこのゴールデンイエロー(黄)とスカーレット(赤)の2色で、リジッドアクスル仕様ではアイボリーホワイト(白)が加わった。
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13/21「S800」のほうが遠くにいるとはいうものの、並走する2代目「ホンダ・フィット」と比べこんなに小さい。それもそのはず、ボディーサイズは全長3335mm、全幅1400mm、全高1200mmと、現在の「S660」より60mm短く、75mm狭かった。
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14/21「S500」「S600」は円形テールライト、「S800」は横長のリアコンビネーションライトを持つ。
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15/21狭山工場にて、参加者全員と全車両で記念撮影。左手前の3台は、1960年代に作られた、希少なSベースのスペシャル。
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16/21「グリフォン」。日本のカスタムビルダーの草分け的存在である「カロッツェリア・ワタナベ」が、「S600」のシャシーにオリジナルのクーペボディーを載せたモデル。FRP製ボディーの工作レベルは非常に高い。
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17/21「コニリオ」。「S800」のシャシーに工業デザイナーの浜 素紀氏の手になるFRPボディーを載せたレーシングカー。1969年の日本グランプリに2台が出走し、クラス優勝(総合12位)とクラス2位(総合14位)を獲得した。この個体はナンバーを取得している。
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18/21「マクランサ」。「S800」をベースに、「童夢」の創設者である林みのる氏が製作したレーシングカー。エンジンは870cc前後に拡大され、車重はS800の720kgに対しておよそ540kg。この個体は、現在もクラシックカーレースに出走している。
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19/21狭山工場は1964年にホンダ初となる四輪車専門の量産工場として誕生。同時にそれまで浜松工場などで作られていた「S600」の生産を移管し、「S800」は全数がここで生まれたという。
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20/21びっしり隙間なく止められた参加車両。「S800クーペ」はテールゲートを備えたスポーツワゴン風のファストバックスタイルを持つ。前身となる「S600クーペ」の発売当初のキャッチフレーズは、「ビジネスにも最適」だった。
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21/21イベント終了後、再会を約して帰路につく参加車両。