モーターサイクルショー「The One Moto Show」の会場から
2019.03.21 画像・写真2019年2月8日~10日、アメリカ・オレゴン州ポートランドでカスタムバイクのイベント「The One Moto Show/ザ・ワンモト・ショー」が開催された。
毎年2月上旬に開催されるこのイベントは、今年で開催10回目。古い工場跡地を利用した会場には200台を超えるカスタムバイクが展示され、3日間を通して1万8000人の来場者がつめかけた。
アメリカのカスタムショーでありながら、ハーレーダビッドソンを中心としたチョッパーカルチャーに焦点を当てるのではなく、日本車、英国車、イタリア車などの新旧モデルが中心で、最新の電動バイクやスクーター、ミニバイクも出展される。また展示車両はカスタムバイクだけではなく、レストアされた旧車、レーシングマシンやモトクロスバイクなど、そのスタイルも実に多彩。バイクをモチーフにしたさまざまなアート作品も展示される。
また会場を別にして、フラットトラックレース(日本ではダートトラックレースと呼ばれる)「The One Moto Race/ザ・ワンモト・レース」も開催。プロからアマチュアまで、幅広い参加者が未舗装のオーバルコースで腕を競い合った。
主催はポートランドのカフェ「See See Motorcycle&Cafe/シーシー・モーターサイクル&カフェ」。サードウエーブコーヒーカルチャー発祥の地ならではの、さまざまなライフスタイルをミックスしたイベントとなっている。
(文と写真=河野正士)
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1/45ポートランド北部にある古い工場跡が会場。今年(2019年)はアメリカのバイクメーカー、インディアンがメインスポンサーとなっており、会場入り口にはコンテナを組み合わせた展示スペースを設けていた。
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2/45シンプルな展示台にカスタムバイクを展示するのが「The One Moto Show」のスタイル。台に載せられたバイクを囲み、各部をのぞき込みながら皆でバイク談義を繰り広げる光景が多く見られた。
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3/45会場のエントランスには、スポンサーブランドのバナーを設置。会場の内装には1960年代まで稼働していた工場の壁や柱がそのまま残っていて、イベントをグッと良い雰囲気に仕立てていた。
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4/45「ハードテール」と呼ばれる、リアサスペンションを持たないトライアンフ用フレームに、「ヤマハXT500」用のエンジンをセットアップしたチョッパー。
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5/452018年に惜しまれながらブランドを閉じてしまったサンフランシスコの電動バイクメーカー、ALTA MOTORS(アルタモータース)のマシンを、オリジナルフレームを使いフラットトラッカースタイルにカスタム。
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6/45「ショベルヘッド」と呼ばれる1983年式のハーレーダビッドソン用エンジンを使ったチョッパースタイルのカスタム。長いスプリンガーフォークを使ってカスタムされている。
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7/45「ハーレーダビッドソン・スポーツスター1200」を使ったフラットトラッカースタイルのカスタム。フラットトラックシーンでスポーツスターは人気が高い。
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8/45アメリカのBMWスペシャリスト、BOXER METALがカスタムしたマシン。BMWが1970年代に発表した「R90S」のエンジンと車体をベースに、より近代的なBMW用の足まわりをセットしてカスタムしている。
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9/45いまはなきイギリスのバイクブランド、BSAのエンジンを使ったチョッパースタイルのカスタム。アメリカには、並列2気筒エンジンのイギリス車や、そのエンジンを使ったチョッパーも数多く存在する。
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10/451960年代に発売された、空冷並列2気筒エンジンを積む「ヤマハXS650」をベースにしたマシン。滑らかなフレームラインに沿うようにエキゾーストパイプもデザインされている。
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11/45こちらも「ヤマハXS650」をベースにしたマシン。コンパクトなオリジナルのハードテールフレームを使ったチョッパースタイルで、シンプルさを追求して徹底したつくり込みがなされている。
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12/45フラットトラックとは異なるイギリス生まれのオーバルレース、スピードウェイレースの専用マシン。チェコのバイクブランド、JAWA(ヤワ)製のものだ。スピードウェイレースはいまだに世界中で行われており、このマシンも参戦しているという
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13/451970年代に発売されたヤマハの2ストロークエンジンを使用したオフロードバイク「DT400」をベースにカスタム。タンクやシートの形状を変更し、ピンクラメのカラーリングを施している。
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14/45空冷V型2気筒エンジンを使用し、750から1100まで幅広いモデルをラインナップしたヤマハのクルーザーモデル「ビラーゴ」がベース。同エンジンを使ったロードスポーツ「TR1」風にカスタムされている
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15/45「H2」の愛称で知られる、1970年代カワサキの2ストローク3気筒マシン「750SS」をベースに、セパレートハンドルを採用してカフェスタイルにカスタム。リアのモノショック化など、大胆に手が入れられている
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16/45地元ポートランドを拠点とするライディングギアブランド、iCON(アイコン)が製作したこちらの車両は、「スズキ・バンディット1200」がベース。耐久レーサー風のスタイルだ。
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17/45「ホンダ・モンキー」をベースにしたカフェスタイルのマシン。アメリカでもモンキーや「ダックス」など、ホンダの水平エンジン搭載の小型車は大人気。新型の「モンキー125」の発売で、旧モデルの人気も高まっている
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18/45ホンダの空冷並列4気筒エンジンを搭載した「CB550」がベース。オーナー自らつくり上げたアルミカウルやタンク、シートカウルをセットアップ。会場には、こういったアマチュアによる手作り感満載のマシンも多い。
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19/45日本では「BW's(ビーウィズ)」の名前で販売されている人気のスクーター。アメリカでは「Zuma」の名前で親しまれている。エンジンチューニングやロングホイールベース化、ローダウン化など、多くのカスタムメニューが用いられている。
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20/45スウェーデンの新興電動バイクブランド、CAKEが発売予定の電動バイク「KALK」も出展。MTBとバイクの中間的なスタイルを採用しており、新しい価値観を持った電動バイクとして話題となっている。
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21/45「モト・グッツィ・ヴェラッジオ」をベースにリアまわりを大幅にカスタム。車体が小さくなったことで、4バルブを採用した縦置きV型2気筒エンジンの存在が際立っている。
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22/45外装類のほとんどを樹脂パーツで構成する最新のモトクロッサーを、ハンドメイドのアルミタンクやサイドカバーなどでカスタム。むき出しのラジエーターが荒々しい。ベースは「ヤマハYZ125」。
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23/45「ヤマハXS650」用の空冷並列2気筒エンジンに、トラス形状のオリジナルフレームとフロントフェンダー、そして前後の足まわりのみで構成されたスーパーモタードスタイルのマシン。
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24/45発電機用エンジンを使用したコンパクトなファンバイクをベースにしたカスタムマシンも多数出展されていた。この車両はビンテージBMXをモチーフにした、オリジナルフレームを採用している。
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25/45工業系大学の教授であるオーナーが、エンジンからフレーム、外装類にいたるまで、すべて自作したマシン。オーナーは自転車業界でも有名なフレームビルダーで、その手法を応用してこの車両をつくったという。
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26/451960年代後半に世界中を驚愕(きょうがく)させ、その後も長く生産されたホンダの4気筒モデル「CB750」をベースにしたカフェスタイルのマシン。エンジンにはスーパーチャージャーもセットされている。
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27/45会場内の小さなスペースを合板で仕切ってつくった簡易コースで行われた、小型電動バイクのレース。その場で参加者を募り、レース中にはビールの空き缶が投げ込まれるなど、とにかく盛り上がる。
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28/45夜にはメインステージで音楽ライブも開催。地元で有名なバンドがステージに上がることから、そのライブを見に来る観客も多いという。ライブには数バンドがセットされ、深夜までタイムスケジュールが組まれていた。
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29/45「The One Moto Show」内のイベントとして人気の、ヘルメットのカスタムコンテスト「21Helmet」。今回は地元のアートスクールに通う高校生が参加し、個性的なヘルメットが並んだ。
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30/45バイクと、それにまたがるライダーを独特のタッチで描くアーティスト、HAMERREDの作品。さまざまなイベントのポスターや、オリジナルグラフィックのアパレルも展開している
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31/45メキシコのアーティスト、Salvador Colinの作品。自らカフェレーサーカルチャーに心酔し、メキシコでカスタムバイクとアートを融合したイベント「73 Vintage Moto Art」を主催するメンバーのひとりでもある。
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32/45地元ポートランドで活動するパッチワークアーティスト、MAMA MAKES TIMEの作品。パッチワークのモチーフにバイクやヘルメットを使った、個性的でハートウオーミングな作品が特徴。
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33/45写真家であるKimberly Maroonの展示。今回はレースやカスタムなど、モーターサイクルシーンで活動する女性にフォーカスした作品を発表した。工事用テント素材に写真を直接プリントする技法を用いており、その四隅にOリングを打ち込み、コンクリートの壁に直接打ったクギに作品を掛けて展示していた
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34/45ポートランドからクルマで1時間ほど南下した、セーラムで開催されたフラットトラックレース「The One Moto Race」。ビンテージから最新モトクロッサーまで、またキッズからプロフェッショナルまで、さまざまなクラスが設けられ、多くのマシンとライダーによって争われた。
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35/45最新のモトクロッサー(オフロード専用の競技車両)をベースにしたマシンで競われるクラス。エンジンは排気量450cc 4ストローク単気筒が中心だ。ジャンプなどをこなすために採用された長い前後サスペンションを、平たんなオフロードの楕円(だえん)コースを走行するために調整。車体が低く、前後タイヤも太い独特のスタイルに改造されている。
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36/45日本でも人気の「ヤマハSR」や、アメリカで販売されるオフロードモデル「XT500」のエンジンを使用したフラットトラックマシン。フレームや前後サスペンション、前後ホイールやタイヤは、フラットトラック専用に開発されたものだ。
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37/45旧車のフラットトラックレースも盛んだ。この車両は「ヤマハXS650」のエンジンを使ったスペシャルマシン。手でギアチェンジを行っていた古いハーレーやインディアンを使った、ハンドシフトクラスなども存在する。
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38/45レディースクラスの参加者。モトクロッサーをベースにしたマシンは、フラットトラック用に改造され車高が低くなっているとはいえ、ウエストよりも高い位置にあるシートにまたがり、しかもパワフルなモトクロッサーベースのマシンで果敢な走りを見せるのだから恐れ入る。
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39/45古いオフロードバイクが使用していた、軽量でパワフルな2ストロークエンジンを使ったクラスも人気。4ストロークマシンは腹の底に響くような排気音だが、2ストロークマシンは耳から入った音が直接脳みそをシェイクするような、強烈なハイトーンの排気音が特徴。
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40/451周約200mのコースはエンジンパワーの差がつきづらく、抜きどころが少ない。しかしタイミングを見計らい、コーナーの入り口では激しいバトルが展開される。この写真のように、少し強引とも思えるアプローチも日常茶飯事。しかしトラブルやクラッシュは、驚くほど少ない。
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41/45いまアメリカで人気の選手権「スーパーフーリガン」のスタートシーン。専用フレームが多く採用されるフラットトラックの世界で、各メーカーから販売されている市販車のエンジンとフレームを使用するのが条件となっている。身近なバイクや愛車と同型のマシンが参戦していることから、フラットトラックレースを身近に感じられるのが人気の秘訣(ひけつ)。
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42/45キッズたちも数多く参戦。なかには大人たちに混じって上級クラスに臨み、体格も排気量も違うライバルたちとバトルするつわものもいる。多くのキッズは、子供用モトクロスバイクをフラットトラック用に改造したマシンでレースを行っている。
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43/45スタートマンの所作もカッコいい。スタートグリッドにそろったライダーたちを確認し、白線で囲った枠に一歩踏み出す。その直後に右手に持ったボタンを押すとシグナルが赤から青に変わり、全車一斉にスタート。その動きは威厳にあふれ、一定のリズムで繰り返される。
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44/45グルーブトラックと呼ばれる、粘土質の締まった土が敷き詰められた路面。未舗装路とはいえ、レース終盤にはこんな風に黒光りする状態になる。パワーのあるマシンがコーナー立ち上がりでアクセルを全開にするとタイヤがスピンし、タイヤと路面がこすれて青白い煙が出るほど。またコースによっては、砂浜のようなふかふかの土を使ったクッショントラックと呼ばれる路面もある。
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45/45「The One Moto Show」の最後に行われる表彰式。スポンサーやメディアが、それぞれの優秀賞を発表し、トロフィーの授与が行われた。