「BMWブランド誕生90周年記念イベント」の会場から
2019.06.03 画像・写真BMWグループ クラシックは2019年5月25日と26日の両日(現地時間)、イタリア北部コモ湖畔のヴィラ・エルバでBMWブランドの誕生90周年を祝った。
イベントは、隣接する会場でBMWグループの後援により開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」に合わせたものであった。
BMWはすでに2016年に創立100年を迎えている。だが、今回はそれとは別に、ブランドとしての90周年を祝った。
航空機用エンジンの製造で出発したBMWは、1923年に二輪車製造へ進出。やがて四輪車事業も手がけるべく、英国の「オースチン・セブン」を「Dixi」の名でライセンス生産していたアイゼナハ自動車製作所を傘下に収める。1928年のことだった。
当初は「BMW Dixi」としていたが、翌1929年からはDixiの名を外して、「BMW 3/15 PS」とした。そこから数えて90年というわけである。
懐かしいイタリアの街並みを再現した会場には、第2次大戦前までの二輪車と四輪車、計12台がちりばめられ、時折、ストリング・アンサンブルによる生演奏も行われた。
25日夜にはコンコルソ参加者たちを招いたパーティーも。夕刻、ドレスコードに合わせて戦前風の衣装に身を包んだ彼らが続々と到着すると、週末の湖畔に突如出現した“ローリング20s”=喧騒(けんそう)の1920年代は最高潮に達した。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢麻里<Mari OYA>、BMW)
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1/36BMWブランド誕生90周年展示の会場より。右から「BMW 3/15 PS DA 2コンバーチブル3シーター」(1929年)、「BMW 3/15 PS 3ヴァルトブルク」(1931年)、「BMW 327スポーツ コンバーチブル」(1938年)。
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2/36BMWの四輪車の出発点である「3/15 PS DA 2コンバーチブル3シーター」(1929年)。「オースチン・セブン」を「Dixi」の名でライセンス生産していたアイゼナハ自動車製作所をBMWが1928年に買収。当初は「BMW Dixi」としていたが、翌1929年からはDixiのネーミングを外し、代わりに「BMW 3/15 PS」とした。
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3/36「BMW 3/15 PS DA 2コンバーチブル3シーター」(1929年)。1930年からは3座または4座のセダンに、2座コンバーチブルも追加された。
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4/36「BMW 3/15 PS DA 2コンバーチブル3シーター」(1929年)。最高速は75km/hであった。
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5/36BMW 3/15 PS DA 2コンバーチブル3シーター(1929年、写真左)。エンジンは直列4気筒で、排気量は748.75cc。
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6/36「BMW 3/15 PS 3ヴァルトブルク」(1931年)。BMW初のロードスター。3ps増強したことにより最高速度は約90km/hまで上昇した。
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7/36「BMW 3/15 PS DA 2エクスプレス デリバリーバン」(1931年)「3/15 PS DA2」は、その前身である「3/15 PS」同様、「オースチン・セブン」の機構を部分的に流用していた。
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8/36「BMW 3/15 PS DA 2エクスプレス デリバリーバン」(1931年)。2座+貨物室を備え、最高速度は75km/hにとどまったが“快速配達バン”の名前で販売された。
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9/36展示会場は、BMWブランドが誕生した時代の街を想像させるセットで囲まれた。
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10/36さらに歴史をさかのぼる展示も。この原動機付自転車は、BMWの前身のひとつであるグスタフ・オットー航空機製造による初期のプロダクト。
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11/36「オットー原動機付自転車」。脇に添えられた新車当時の広告には、「エンジンを切った状態でも普通の自転車として走行可能」との説明が。
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12/36「ヴィクトリアKR1」(1921年)。第1次世界大戦におけるドイツの敗北およびベルサイユ条約によって軍用航空機エンジンの製造を禁止されたBMWは、船舶や大型トラック用エンジンを手がけたものの、成功には至らなかった。いっぽう、1920年末に開発された小型の「M2B15」型水平対向2気筒エンジンは、数々の二輪車メーカーに納入されるようになっていった。中でも英国のヴィクトリアは、BMWにとって最大の顧客であった。
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13/36「ヴィクトリアKR1」(1921年)。BMW製494cc水平対向2気筒エンジンの出力は8.5hp/2200rpmで、最高速は85km/hであった。
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14/36「BMW 303サルーン」(1933年)。小型車の「3/15 PS」および「3/20 PS」で成功を収めたBMWは、1960年代初頭に直列6気筒エンジンを搭載した新型車の開発に着手。それが303となった。
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15/36「BMW 303サルーン」(1933年)。のちにBMWにとってアイコン的存在となる直列6気筒エンジンの始まりとなったモデルである。
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16/36「BMW 303サルーン」(1933年)。シンクロメッシュは3速と4速にのみ装備されていた。
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17/36「BMW 303サルーン」(1933年)。その優れたシャシー設計と居住性の高さによって、快適なドライブを提供した。
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18/36BMWブランド誕生90周年の記念展示会場で。手前は「BMW 327スポーツ コンバーチブル」(1938年)。
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19/36「BMW 319/1」(1936年)。BMW初となる、6気筒エンジン搭載のロードスター。その軽量設計(780kg)により、数々のモータースポーツで輝かしい戦績を残した。
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20/36「BMW R32」(1924年)。1923年のベルリンモーターショーで発表されたBMWブランド初のモーターサイクル。
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21/36「BMW R32」(1924年)。水平対向エンジン+シャフトドライブという、今日まで続くBMWモーターサイクルの伝統も、ここから始まった。
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22/36「BMW 327スポーツ コンバーチブル」(1938年)。BMWは1937年にこのモデルで高級車市場に参入し、翌年には「スポーツクーペ」を追加した。
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23/36「BMW 327スポーツ コンバーチブル」(1938年)。「320」のシャシーと「326」の高性能エンジンを組み合わせ、1937年に誕生したのが327であった。
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24/36「BMW 327スポーツ コンバーチブル」(1938年)。その高性能ぶりと完成度の高いハンドリングにより、1930年代後半に最も高い人気を誇る高級ツーリングカーのひとつとなった。
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25/36「BMW R62」+「ロイヤルサイドカー」(1928年)。R62は「R63」とともに、BMW初の750ccエンジン搭載車として登場した。
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26/36「BMW R62」+「ロイヤルサイドカー」(1928年)。R62は1920年代を象徴するロングディスタンスバイクのいちモデルとなった。
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27/36「BMW R17」(1936年)。4ストローク水平対向33hpエンジンを搭載し、最高速140km/hを誇った。当時市場で最もスポーティーな一台であると同時に、2千マルク超という価格は極めて高価であった。
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28/36「BMW R17」(1936年)。他社に先駆けて油圧式テレスコピックフォークが採用された。
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29/36「BMW 328ミッレミリア ロードスター」(1940年)。製作キャパシティーが不足していたBMWが1940年のミッレミリアに間に合わせるべく、ボディー製作をミラノのカロッツェリア・トゥリングに外注して誕生したのがこの車両。
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30/36「BMW 328ミッレミリア ロードスター」(1940年)。チューブラースペースフレーム+アルミニウムのアウタースキンにより、車重700kgという超軽量を実現した。
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31/36「BMW 328ミッレミリア ロードスター」(1940年)の最高速は200km/hに達した。1940年のミッレミリアでは、ウィリー・ブリーム/ウリ・リヒター組がこのクルマを駆って総合5位に入賞。
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32/36BMWブランド誕生90周年展示より。手前は先に紹介した「303サルーン」。
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33/362019年5月25日の夜は、同日に開催された古典車コンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」の参加者を招待し、1920年代ムードあふれるパーティーが開催された。(写真=BMW)
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34/36BMWグループ クラシック代表で「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」の会長も務めるウルリッヒ・クニープス氏もレトロ衣装で登場した。(写真=BMW)
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35/36「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」の参加者を招待したパーティーで。ちなみに彼らもドレスコードに従い、戦前風の衣装で食事を楽しんだ。(写真=BMW)
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36/36隣接する屋外会場で世界初公開された「BMWモトラッド コンセプトR18」。水滴型燃料タンクを含む流麗なフォルムなど、BMWモーターサイクルの伝統的デザインを現代風に解釈。