ボルボの新型ワゴン「V60」日本上陸
2011.05.09 自動車ニュースボルボの新型ワゴン「V60」日本上陸
ボルボ・カーズ・ジャパンは、新型スポーツワゴン「ボルボV60」を2011年6月4日に発売する。
■ボルボ発「スポーティなワゴン」
昨2010年秋にヨーロッパでデビューした「ボルボV60」は、端的に言えば今年3月に日本でも発売された中型セダン、2代目「ボルボS60」のワゴン版である。ただし、ワゴンといえども既存のボルボのワゴンのようなスペースユーティリティを重視したモデルではなく、セダンプラスアルファのスペースを備え、走りでもスタイリングでもセダンにまったく引けを取らない「スポーツワゴン」であるとメーカーでは称している。
その第一の特徴は、ボディサイドを流れる「ダブルウェーブ」と呼ばれるキャラクターラインを中心に構成された、クーペを思わせるダイナミックなスタイリング。ボディサイズは全長×全幅×全高=4630×1845×1480mm、ホイールベース2775mmだが、日本市場専用のドアハンドルとサイドミラーステーを採用することで、海外仕様より車幅を20mm狭めている。これは日本のマンションなどに多い車幅1850mmまでのタワーパーキングに対応したものだという。
モダンスカンジナビアン・デザインを体現したインテリアは、質感のみならず化学物質の発生が少ないマテリアルを厳選し、フィニッシュも入念。40:20:40の3分割可倒式リアシートや前方可倒式の助手席バックレストによって、シートスペースとラゲッジスペースをフレキシブルにアレンジ可能で、アクティブなライフスタイルをサポートする機能的かつ快適な空間を提供する。
■走りの異なる3グレード
運動性能においてもセダンにまったく遜色(そんしょく)ないというのが「V60」のうたい文句だが、動力性能と環境性能を両立させたパワートレインは基本的に「S60」と同じ。
用意される3つのグレードのうち、ベーシックな「V60 DRIVe」には180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpmを発生する1.6リッター直4直噴ターボエンジンを搭載。高効率の6段デュアルクラッチ・トランスミッションとの組み合わせによって、12.6km/リッター(10・15モード値)という低燃費と排ガス基準75%低減レベル(★★★★)を達成し、エコカー減税対象車に認定されている。
上級版の「V60 T6 AWD SE」と「V60 AWD R-DESIGN」には、304ps/5600rpmと44.9kgm/2100-4200rpmを発生する3リッター直6ターボエンジンを搭載。こちらもトランスミッションは6段(トルコン式AT)だが、駆動方式は「V60 DRIVe」のFFに対してAWDとなる。
フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクのサスペンションをはじめ、シャシーもS60に準じている。基本性能の高さに加え、早期に横滑りを検知する「アドバンスド・スタビリティ・コントロール」やコーナリング中の左右フロントホイール間のトルクバランスを調節する「コーナー・トラクション・コントロール」といったデバイスによって、卓越したハンドリングを実現したという。
■光るコストパフォーマンス
ボルボの哲学である「安全」においても、現時点におけるトップレベルの性能を備えている。 4〜30km/hの範囲で、追突の危険を検知すると自動的にブレーキがかかる「シティセーフティ」を全車に標準装備。さらに35km/h以下では車両はもちろん歩行者との衝突を可能な限り回避し、35km/h以上でも衝突時の速度を最大限に減速してダメージを軽減する「ヒューマンセーフティ」(歩行者検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキシステム)を「V60 T6 AWD R-DESIGN」に標準装備。「V60 DRIVe」と「V60 T6 AWD SE」にはオプション設定されている。
こうした充実した内容で、車両本体価格は直4ターボの「V60 DRIVe」が395万円、直6ターボの「V60 T6 AWD SE」が539万円、同モデルをベースに専用スポーツサスペンションなどでよりハードな味付けを施し、内外装も専用パーツでスポーティに装った「V60 T6 AWD R-DESIGN」が599万円。
「メルセデス・ベンツCクラス ステーションワゴン」、「BMW3シリーズ ツーリング」、「アウディA4 アバント」といったライバルに対して、買い得感のある戦略的な価格設定となっている。
(文=沼田 亨/写真=郡大二郎)