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第629回:ツイスティーな峠道で「ランボルギーニ・ウルス」と向き合ってみた

2020.08.29 エディターから一言 藤沢 勝
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ウルスはロールしない

神奈川県箱根町と静岡県御殿場市とを結ぶ乙女峠というワインディングロードがある。全長4kmほどにすぎないこのコースは道幅がタイトで、狭いところだと4mほどだろうか。当然、対向車が来れば譲り合う必要があるし、そもそもカーブミラーのないブラインドコーナーが多く、それなりのクルマで走れば楽しいものの、とかく気を使うことの多い道である。

この乙女峠を「ランボルギーニ・ウルス」で走った。全長×全幅×全高=5112×2016×1638mmというサイズの乗り物をつづら折れの道路で走らせて楽しいのだろうかと懐疑的(というかユウウツ)だった私だが、結論から言えば非常に楽しかった。

もちろんドライビングスキルでねじ伏せたわけではなく、ドライバーは必要に応じてアクセルやブレーキを踏み、ステアリングホイールを左右に回していただけにすぎない。トルクベクタリングと4輪操舵、アクティブロールスタビライゼーションシステムらの助けを借りて、汗ひとつかかずにスポーツドライビングを楽しめたのである。

とりわけ効果的だったと思われるのが、アクティブロールスタビライゼーションだ。2分割されたスタビライザーを電気的に切ったりつないだりするこのシステムのおかげで、ウルスはタイトなコーナーでもほとんどロールせずに曲がる。ここで言う“ほとんど”というのは予防線的に付けただけであり、体感的には「ウルスはロールしない」と断言してもいいくらいだ。

「ランボルギーニ・ウルス」で乙女峠を上る。正直に言うと誘いを受けた時はユウウツな心持ちだった。
「ランボルギーニ・ウルス」で乙女峠を上る。正直に言うと誘いを受けた時はユウウツな心持ちだった。拡大
パワーユニットは最高出力650PS、最大トルク850N・mの4リッターV8ツインターボエンジン。踏めばどこからでもトルクがあふれ出してくる。
パワーユニットは最高出力650PS、最大トルク850N・mの4リッターV8ツインターボエンジン。踏めばどこからでもトルクがあふれ出してくる。拡大
六角形のモチーフが多用されているものの、「アヴェンタドール」や「ウラカン」と比べれば“普通のクルマ”のようなダッシュボードだ。
六角形のモチーフが多用されているものの、「アヴェンタドール」や「ウラカン」と比べれば“普通のクルマ”のようなダッシュボードだ。拡大
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絶対的な快適性

こうして上屋が動かないうえにリアタイヤもステアするので、ウルスはステアリングを切れば切っただけ曲がるスーパーハンドリングマシンに仕上がっている。間髪を入れずに反応する最高出力650PS、最大トルク850N・mの4リッターV8ツインターボエンジンの力も相まって、コーナーを素早く曲がって素早く脱出できる。

センターコンソールの部分には「Tamburo(タンブーロ)」と名付けられたドライブモードセレクターがあって、モードは全部で6種類用意されている。この日はオンロード用の「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」を試してみたが、ハード側にすればエンジン回転が高く保たれるようになり、エアサスペンションが引き締まり、ノーズの入りがさらに素早くなる。こうしたメカニズムを持つクルマの多くで同じようにセッティングが変わるはずだが、ウルスで驚いたのは、決して乗り心地が悪くならないことだ。

最も穏当なストラーダの足まわりを「快適」と評価するならば、中間のスポーツもまた「快適」だ。さらにコルサでも「快適」なので、ウルスのエアサスペンションは引き締まっているかどうかと快適かどうかの間に相関関係がない。決してコンフォート性能を犠牲にすることなく、とんでもなく速く走るのがウルスである。

車重は楽に2tを超える「ウルス」だが、小さなコーナーでも軽快に曲がれる。
車重は楽に2tを超える「ウルス」だが、小さなコーナーでも軽快に曲がれる。拡大
センターコンソールに備わる「タンブーロ」。赤いカバーの下にはエンジンのスタート/ストップボタンが隠されている。
センターコンソールに備わる「タンブーロ」。赤いカバーの下にはエンジンのスタート/ストップボタンが隠されている。拡大
ドライブモードを最もハードな「コルサ」に。足まわりが引き締まりはするものの、ボディーが揺すられるようなことはなかった。
ドライブモードを最もハードな「コルサ」に。足まわりが引き締まりはするものの、ボディーが揺すられるようなことはなかった。拡大

これぞスーパーSUV

ウルスのキャビンの中でタンブーロは特徴的な装備であり、まず目を引く位置にレイアウトされているが、ダッシュボード自体はごく一般的なつくりであり、キャビンは明るくて広々としている。ダッシュ中央の上下2段式の大型タッチスクリーンも使いやすいし、きちんとしたカップホルダーも付いている。そして何よりもウルスにはリアシートが備わっており、4人乗り仕様で574リッター、5人乗り仕様では616リッターという広々としたラゲッジスペースが用意されている。

つまりウルスはランボルギーニの名に恥じない運動性能の持ち主でありながら、SUVとしての使い勝手のよさを備えているということである。ウルスには「スーパーSUV」の二つ名がつけられている。初めて耳にしたときはしっくりこなかったものだが、こうして半日をともに過ごしたのちに「スーパースポーツ・ユーティリティービークル」と解釈すべきだったのだということに気がついた。

ランボルギーニはしばしば「猛牛」と形容されるが、考えてみればこの日に猛牛らしい荒々しさを感じる場面は一度もなかった。極めて高品質かつ高性能、そして常識的なクルマであり、駐車スペース(とお金)さえ確保できるのであれば誰にでも薦められるクルマである。

2020年7月下旬にアウトモビリ・ランボルギーニは、発表から約2年でウルスの生産台数が1万台を超えたことをアナウンスした。3000万円級の自動車の売れ行きに世界にはずいぶん富裕層が多いものだと驚かされるが、一方でやはり成功者は合理的な選択をするものだとも思わされるのである。

(文=藤沢 勝/写真=ランボルギーニ・ジャパン/編集=藤沢 勝)

荒々しさを感じることがまるでなかった「ウルス」。一所懸命に不良ぶっているが育ちのよさを隠し切れない優等生みたいな感じだ。
荒々しさを感じることがまるでなかった「ウルス」。一所懸命に不良ぶっているが育ちのよさを隠し切れない優等生みたいな感じだ。拡大
リアシートは写真の3座仕様のほかに、ヘッドレスト一体型シートの2座仕様も選べる。
リアシートは写真の3座仕様のほかに、ヘッドレスト一体型シートの2座仕様も選べる。拡大
荷室の容量は写真の5人乗り仕様で616リッター、4人乗り仕様は574リッター。
荷室の容量は写真の5人乗り仕様で616リッター、4人乗り仕様は574リッター。拡大
藤沢 勝

藤沢 勝

webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。

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