ランドローバー・レンジローバーSV P530 LWB(4WD/8AT)
贅沢の極み 2023.01.17 試乗記 今も昔もランドローバーの頂点に君臨する「レンジローバー」。そのなかでも、現行世代の最上級グレードにあたるのが「SV」だ。プレミアムSUVの老舗のなかにあって、ビスポークオーダーを請け負う特殊部門が手がけた、珠玉の一台の魅力に触れた。“最上級”のさらに上
5代目のレンジローバーが日本の路上を走り始めてからしばらくたつが、ラグジュアリーとパーソナライゼーションを極めたというレンジローバーSVには初めて試乗した。「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」が手がけるレンジローバーSVは、専用扱いとなる数々のデザインディテールやオプションを採用。「SV SERENITY(セレニティ)」と「SV INTREPID(イントレピッド)」という2つのデザインテーマが用意され、前者はラグジュアリーさを強調、後者はより個性的なダイナミズムを表現しているという。
試乗車はSVセレニティの「P530 LWB(ロングホイールベース)」で、車両本体価格は2858万円。さらにオプションが262万0080円分も選択されているので、総額は3000万円を超えている。5代目レンジローバーは、「ベントレー・ベンテイガ」や「ロールス・ロイス・カリナン」といった、4代目のモデルサイクル中に登場したハイブランドSUVに対抗するため、さらなる高級志向になったといわれるが、SVならば堂々と渡り合える。
試乗車のボディーカラーは「コンステレーションブルー」と呼ばれる濃いネイビーで、ゴールドのグロスフィニッシュでコーディネートされる。凹凸が少ないサーフェイスや極めて小さなパネルの継ぎ目などによってフラッシュサーフェイス化されたボディーが、さらに際立つ。タイヤ&ホイールはオプションの23インチと特大だが、見た目に大きすぎるという感じはなくマッチングがいい。インテリアは「キャラウェイ」と呼ばれるライトブラウンで、センターコンソールやドアパネルの一部に施されたホワイトの差し色と、奇麗なコンビネーションを見せる。この上なくラグジュアリーな空間だ。
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サイズや重さを感じさせない
全長×全幅×全高=5265×2005×1870mmと、先代に比べてかなり大型化されているため、まずは街なかを慎重に走りだす。しかし、路地裏などではさすがに気を使うが、覚悟していたほどには緊張を強いられなかった。スムーズに走らせられたのは、もともとが本格オフローダーであるため、ボディー四隅の感覚がつかみやすく、視界も良好だからだ。
この世代のレンジローバーには後輪ステアの「AWS」(オールホイールステアリング)が初採用されており、低速時には後輪が、最大で7.3°も前輪とは逆方向に操舵する。ロングホイールベースでも回転直径は11.54mとEセグメントセダン程度となっており、取り回しをよくしている。ホイールベースが3195mmもあるので、これがないと街なかや駐車時などでは相当に苦労するだろう。
乗り心地は分厚いカーペットの上を走っているかのようにアタリが優しく、23インチのタイヤ・ホイールセットを履いているのが信じられない。大きな凹凸があってもスムーズにいなして軽やかだ。車両重量が2.7tもあるというのに、重ったるい感じがまるでない。
エンジンは従来のAJ型ではなく、BMW製の4.4リッターV8ツインターボ。「BMW X7」などでも定評のあるユニットで、最高出力530PS、最大トルク750N・mとパフォーマンスは申し分ない。2000rpm以下でも十分に力強く、普通に走らせているときにはほとんどその回転域でコトが済んでしまう。
一方、高速道路でアクセルを踏み込んでみると、3000rpmを超えてから迫力ある加速をみせ、6000rpmまで実に奇麗に回る。かなりスポーティーな印象で、ソフトタッチなサスペンションとの組み合わせではテールを沈み込ませながら突進していくのが痛快だ。ただ、レンジローバーの落ち着いた雰囲気にはやや過剰にも思える。パフォーマンス重視のユーザーにはうれしいかもしれないが、ゆったりと贅沢(ぜいたく)な気分を味わいたい向きには、パワーが盛り上がりすぎてせわしなく感じられかねない。3リッター直6ディーゼルの「D300」のほうが、特性的には好ましいだろう。
ただし、普段乗りの静粛性ではP530のほうが上回る。5代目レンジローバーは電気自動車を2024年にラインナップすることを見据えているだけあって、基本的な静粛性の高さは半端ではない。第3世代アクティブノイズキャンセレーションも優れた仕事をしているようだ。
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進化したシャシーと電子制御のたまもの
高速道路でも大型クルーザーのようにゆったりとした乗り心地でこの上なく贅沢な気分にさせてくれるが、コンフォートモードのままペースを上げていくと、ダンパーがソフトで凹凸を通過した後に上下動が残る。それでも動きの周期がゆっくりとしていて、ホイールベースも長いので不快さはなく、むしろレンジローバーらしいとも思えるのだが、ダイナミックモードにしたほうが動きはすっきりとする。
このモードではわずかにコツコツ感が出てくるが、ボディーが揺さぶられないので、ロングドライブでの疲れを軽減してくれるだろう。凹凸が連続している場面ではやや硬さが目立つようになるが、これはエアサスペンションではよくある現象でもある。22インチタイヤならばもう少し改善されそうだ。
ワインディングロードをそこそこのペースで走らせていくと、コーナーではジワジワと素直な感覚でロールしていく。ただし、電子制御可変スタビライザーを装備しているので、ロールはある程度を過ぎると抑えられ、2.7tの巨体でも不安のないコーナリング姿勢となる。後輪ステアも相まって、コーナーの連続する区間をまったく苦にせず、想像以上に軽快に駆け抜けていく。
もちろん絶対的には重く、タイヤもオールシーズンなので無理は禁物だが、公道を気持ちよく走るぐらいならまったく問題ない。新世代のプラットフォームと数々のハイテクによってシャシー性能は大いに進化。オンロードが得意と言っても過言ではない。
V8モデルは3年分の生産予定の受注台数に達してしまい、仕方なく受注するグレードを限定する措置がとられているが、P530でもSVならばスタンダードホイールベース、ロングホイールベースともに注文が可能。パフォーマンス志向のユーザーならば、思い切って贅(ぜい)を極めたSVを狙ってみてはいかがだろうか?
(文=石井昌道/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
ランドローバー・レンジローバーSV P530 LWB
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5265×2005×1870mm
ホイールベース:3195mm
車重:2750kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:530PS(390kW)/5500-6000rpm
最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1850-4600rpm
タイヤ:(前)285/40R23 111Y M+S/(後)285/40R23 111Y M+S(ピレリ・スコーピオンゼロ オールシーズン)
燃費:--km/リッター(WLTCモード)
価格:2858万円/テスト車=3120万0080円
オプション装備:ボディーカラー<コンステレーションブルー、グロスフィニッシュ>(62万6000円)/SVセレニティ キャラウェイ ニアアニリンレザーフロントシート&ペルリーノセミアニリンレザーリアシート(61万5000円)/23インチフルサイズスペアホイール(0円)/23インチ“スタイル1077”<グロスダークグレイ、コントラストダイヤモンドターンフィニッシュ&コリントブロンズサテンインサート、鍛造>(27万5000円)/SVセレニティ エクステリアアクセント(0円)/SVビスポーク ステアリングホイール<ローグロスフィニッシュウッド&レザー>(10万1000円)/ウインドスクリーン<ヒーター付き>(3万4000円)/パネル<ナチュラルライトリニアウェンジ、モザイクマーケトリー>(22万9000円)/カーペット<キャラウェイ>(0円)/ソフトドアクローズ(0円)/ヘッドライニング<キャラウェイ、レザー>(0円) ※以下、販売店オプション ドライブレコーダー(5万6650円)/ディプロイアブルサイドステップキット<LWB、5シート専用>(68万3430円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:1288km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(6)/山岳路(1)
テスト距離:280.8km
使用燃料:47.6リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:5.9km/リッター(満タン法)/6.5km/リッター(車載燃費計計測値)
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石井 昌道
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