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レンジローバーSV P615(4WD/8AT)

歴史が磨いたプレミアム 2024.09.24 試乗記 宮崎 正行 英国が誇る高級SUVの雄「レンジローバー」。そのなかでも最上級に位置するグレードが「SV P615」だ。洗練に磨きをかけた最新のレンジローバーは、私たちにどんな世界を見せてくれるのか? 3代目レンジローバーのオーナーを交え、その印象を語り合った。
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最上級のなかの最上級

webCGほった(以下、ほった):さて、目の前のレンジローバーSV P615のお値段、ざっくり3000万円。このブランドのなかでもアッパークラスに位置するレンジローバーの、そのなかでもさらに上位にポジショニングされている、「トップ・オブ・ザ・レンジ」です。

宮崎正行(以下、宮崎):い、意外と安いね。

浦野周平(以下、浦野):ムリするなよ。

宮崎:やっぱり分かる? 本当は試乗前からヒザがガクガクと震えてるのよ。埼玉のウチの中古マンション○部屋分だから、ブツけて炎上したら一家離散。

浦野:2部屋で3000万円か。それこそ安いな!

宮崎:……それにしても、なんとも覚えにくい名前だなあ。SV P615。どういう意味なの?

ほった:“SV”はスペシャル・ビークルの略、“P615”は最高出力615PSのガソリンエンジン搭載車を意味することになってます。おおまかに現行レンジのグレード構成を説明すると、まずバリエーションは4種。下から順に「SE」「HSE」「オートバイオグラフィー」、そしてスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)が手がけるSVと。SVOというのは、JLR内で高性能モデルの開発やビスポークサービスなどを担う特殊部隊ですね。限定モデルを除くと、ラインナップで最も豪華な装備を誇るのが、今回試乗してもらうSVです。

宮崎:僕は当て馬、もとい当てプアマン的な?

ほった:そんなことは言ってませんが……。

浦野:が?

ほった:そのようなものと認識していただいてもかまいません。

一同:言ってるし!(笑)

浦野:まがりなりにも僕は白亜の3代目「レンジローバー ヴォーグ」の現役オーナーだからね。レンジのなんたるかはだいたい分かっているつもりよ。税金が高いとか、維持費が高いとか、高い車高が下がったまま上がらなくなるとか。

宮崎:話が長くなりそうだな。

浦野:常にコストと妻のはざまで苦悩していることも……。

ほった:まあまあ、このハイエンド感あふれるSV P615に乗れば、きっと元気が出るはずですよ。

宮崎:そして試乗後、今日ここまで乗ってきた自分の2006年式レンジの運転席に戻ったときに「ガックシ!」という予定調和(笑)。

2021年10月に発表された現行型「レンジローバー」。JLRの新世代アーキテクチャー「MLA-Flex」を初めて採用したモデルで、従来モデルより快適性や運動性能が飛躍的に向上していた。
2021年10月に発表された現行型「レンジローバー」。JLRの新世代アーキテクチャー「MLA-Flex」を初めて採用したモデルで、従来モデルより快適性や運動性能が飛躍的に向上していた。拡大
「SV」グレードでは、インテリア/エクステリアともに「SVイントレピッド」「SVセレニティー」の2つのデザインテーマが用意されており、選んだテーマに応じてクルマのイメージが大きく変わる。試乗車にはスポーティーなSVイントレピッドが採用されていた。
「SV」グレードでは、インテリア/エクステリアともに「SVイントレピッド」「SVセレニティー」の2つのデザインテーマが用意されており、選んだテーマに応じてクルマのイメージが大きく変わる。試乗車にはスポーティーなSVイントレピッドが採用されていた。拡大
操作系は大幅にデジタル化されており、センターコンソールもスイッチ類を極力排した非常にシンプルなものとなっている。「SV」ではシフトセレクターやスタート/ストップボタンのベゼル等に、専用のセラミック素材を採用している。
操作系は大幅にデジタル化されており、センターコンソールもスイッチ類を極力排した非常にシンプルなものとなっている。「SV」ではシフトセレクターやスタート/ストップボタンのベゼル等に、専用のセラミック素材を採用している。拡大
湾曲した大型のタッチスクリーンには、ナビやオーディオなどの機能だけでなく、空調などの操作系も統合。悪路走破用のドライブモードセレクター「テレインレスポンス」の操作もここで行う。
湾曲した大型のタッチスクリーンには、ナビやオーディオなどの機能だけでなく、空調などの操作系も統合。悪路走破用のドライブモードセレクター「テレインレスポンス」の操作もここで行う。拡大
「SV」は現行型から新設された最上級グレードで、パワートレインは3リッター直6ターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド「P550e」と、4.4リッターV8ターボエンジンにマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「P615」から選択できる。
「SV」は現行型から新設された最上級グレードで、パワートレインは3リッター直6ターボエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド「P550e」と、4.4リッターV8ターボエンジンにマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「P615」から選択できる。拡大
現行型「レンジローバー」(写真向かって左)と、筆者の友人である浦野周平氏の2006年式「レンジローバー ヴォーグ」(同右)。(写真:宮崎正行)
現行型「レンジローバー」(写真向かって左)と、筆者の友人である浦野周平氏の2006年式「レンジローバー ヴォーグ」(同右)。(写真:宮崎正行)拡大
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レンジローバーの伝統を受け継ぐエクステリア

ほった:乗車前に、実車のボディーをグルリと見渡していかがでしょうか?

浦野:ごリッパ。

宮崎:豊満。

ほった:もう少し言葉を足してもらえると。

浦野:いや、もちろんものすごーくカッコいいよ。でも基本的な成り立ちというかキーデザインは、20、30年前のレンジローバーと変わらないのは、いかにもこのブランドらしいと思った。ブラックアウトされたピラーとフローティングルーフや、フロントドア前方で縦に入るサイドベント状の装飾、スプリットテールゲートなんかのディテールも普遍的。

宮崎:各部のモチーフはしっかりレンジのまま。

浦野:うん。そこに加えて、外装各部の段差をなるべく減らそうとするフラッシュサーフェス化は、自分の乗っている3代目以降でランドローバーがこだわっているテーマのひとつだもんね。そこがSV P615でもハッキリと見て取れる。

宮崎:たしかに、おそろしいほどのフラットさをたたえているね、この平滑ボディー。外装パネルの“合わせ”もものすごく繊細にタイトに施されてる。めちゃ高度な職人技!

浦野:こんなに大柄なのに、ある種のユルさとはまったく無縁。むしろギュッとした凝縮感が全体にくまなく行き渡っていて、感動的ですらある。

宮崎:緊張感があるんだよねー。

ほった:なんだか急に“それっぽい”ことをコメントしていただき、ありがとうございます。

一同:毒のある言い方だな~。

宮崎:まあ、新学期の最初の授業で登壇する担任の先生みたいなもんだから。ちょっと厳しいことをスパッと言い放って、クラスの空気をピリッとさせる……みたいな?

浦野:でもすぐに化けの皮が剝がれて、「なんだコイツ、最初だけじゃん」ってなるヤツね。

宮崎:それそれ(笑)

2024年モデルの「SV」には「SV BESPOKEサービス」が新たに導入され、車体色を230色(!)の「SV BESPOKEペイントパレット」から選択可能となった。
2024年モデルの「SV」には「SV BESPOKEサービス」が新たに導入され、車体色を230色(!)の「SV BESPOKEペイントパレット」から選択可能となった。拡大
エクステリアは、JLRチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェリー・マクガバン氏が追求したミニマリスムを体現したもの。凹凸や装飾を極力排したサーフェイスと緻密なラインが、独自の緊張感を漂わせる。
エクステリアは、JLRチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェリー・マクガバン氏が追求したミニマリスムを体現したもの。凹凸や装飾を極力排したサーフェイスと緻密なラインが、独自の緊張感を漂わせる。拡大
リアまわりの意匠もミニマリスムを追求したもの。ハイパフォーマンスモデルながら、後続車を脅かすようなディフューザーなどはなく、マフラーも隠すように下向きに配置されている。
リアまわりの意匠もミニマリスムを追求したもの。ハイパフォーマンスモデルながら、後続車を脅かすようなディフューザーなどはなく、マフラーも隠すように下向きに配置されている。拡大
搭乗者の乗降をサポートする、可動式のサイドステップ。ドアを開けると自動で展開する。
搭乗者の乗降をサポートする、可動式のサイドステップ。ドアを開けると自動で展開する。拡大
フロントドアの前端に施された縦型の装飾パネルは、初代「レンジローバー」(3ドア)の縦型のドアハンドルや、3代目レンジローバーのサイドベントをモチーフにしたもの。ディテールを見ると、意外なほどに過去のモデルのデザインが受け継がれている。
フロントドアの前端に施された縦型の装飾パネルは、初代「レンジローバー」(3ドア)の縦型のドアハンドルや、3代目レンジローバーのサイドベントをモチーフにしたもの。ディテールを見ると、意外なほどに過去のモデルのデザインが受け継がれている。拡大

カスタマイズの幅広さ・奥深さに脱帽

ほった:インテリアはどうですか?

宮崎:ついうっかり最初に後部座席に乗っちゃったのよ。そりゃあビックリしたさ。航空会社のオーバーブッキングでたまたまファーストクラスに座れちゃった、みたいな激しい場違い感。身の丈をはるかに超えた高質な緻密さに胸熱よ。前席と後席でシートのカラーリングを分けてあるのも、なるほどスタイリッシュだと思った。

浦野:そんなインテリアを自分の好みで選べる。……と言うとカンタンに聞こえてしまうかもしれないけど、カラーだけで391種類の組み合わせからチョイスOKだし、しかも2種類のデザインテーマ(上質感を重視した「SVセレニティー」とダイナミックな「SVイントレピッド」が用意される)があって、SV専用のオプションやマテリアル、ウッドパネルも複数用意されていて、カスタマイズの範囲がおそろしくワイドだ。

宮崎:自由の不自由、めちゃ迷いそう!

ほった:さらにダメ押しのパーソナライゼーションで、自分だけの色や素材を選ぶこともできます。

宮崎:ひゃー、徹底してるね。後席のセンターアームレストを倒せば、そこは左右にセパレートされたリッチマンのための後席。……というか、「中央席をつぶしたこのレイアウトこそがデフォルト」って感じの位置に、液晶モニターがあるな。

ほった:後席用のエンターテインメントシステムですね。55万5000円のオプションです。

浦野:電動ディプロイアブルサイドステップに電動オットマン、4ゾーンクライメートコントロール……。「あれはあるのかな?」という装備はぜんぶ備わっている。そうそう。運転席と助手席の間のセンターコンソールには冷蔵庫が!

ほった:多くのオーナーさんは、すべての機能を使い切ることなく所有歴を終えそうですね。

宮崎:うん、そうかも。

浦野:選択肢の多さが高級と同義、なんだね。もったいないと感じるのは……。

宮崎:俺ら平民のみ(笑)。

シート表皮には上質なニアアニリンレザー/セミアニリンレザーを採用。オプションで、環境に配慮したポリウレタン素材の「ウルトラファブリック」も選択できる。
シート表皮には上質なニアアニリンレザー/セミアニリンレザーを採用。オプションで、環境に配慮したポリウレタン素材の「ウルトラファブリック」も選択できる。拡大
シートレイアウトは2列5人乗りに加え、ロングホイールベース仕様には3列7人乗りと2列目セパレートシートの2列4人乗りも用意。スタンダードな2列5人乗りでもリアシートは豪華で、助手席側の後席にはオットマンや足置きなども装備。助手席を前に押しやれば、足を伸ばしてくつろげる。
シートレイアウトは2列5人乗りに加え、ロングホイールベース仕様には3列7人乗りと2列目セパレートシートの2列4人乗りも用意。スタンダードな2列5人乗りでもリアシートは豪華で、助手席側の後席にはオットマンや足置きなども装備。助手席を前に押しやれば、足を伸ばしてくつろげる。拡大
「SV」に標準で採用されるスライディングパノラミックルーフ。試乗車には有償オプションのリアエンターテインメントシステムも装備されていた。
「SV」に標準で採用されるスライディングパノラミックルーフ。試乗車には有償オプションのリアエンターテインメントシステムも装備されていた。拡大
後席には左右独立しての温度調整が可能なオートエアコンを採用。3段階で温かさを調整できるシートヒーターなども装備される。
後席には左右独立しての温度調整が可能なオートエアコンを採用。3段階で温かさを調整できるシートヒーターなども装備される。拡大
空調はセンターコンソールのタッチスクリーンでも操作が可能。シートポジションや照明、ブラインドなどもここで操作する。
空調はセンターコンソールのタッチスクリーンでも操作が可能。シートポジションや照明、ブラインドなどもここで操作する。拡大

おそろしくジェントルな615PS

ほった:ジャガー・ランドローバーのV8は、長いことフォード由来のスーパーチャージャー付き5リッターが積まれてきましたが、新しい4.4リッターV8ターボはBMW製ですね。

浦野:自分の乗っているサードレンジはジャガー製のV8だけど、2005年式までのBMW製エンジンは「いろいろあるよー(笑)」と言われていた。でもさすがに、それについては過去の話なんだろうな。

宮崎:運転してみるとね、30秒で惚(ほ)れてもうた。これがもうイヤミなくらい上質なのよ! 全長5m超のSUVとは思えないほどに、ボディーを大きく感じないことにまず驚き。わざわざ車名にまで刻まれている615PSがおそろしくジェントル。

浦野:うんうん、そうなの。

宮崎:サイレントで、滑らかで、パワフルなんだけど粗野じゃない。

浦野:静かなのにV8の快音がちゃんと耳に届いてくる。それがすごい。そしてアクセルペダルを抜くと一気に無音ワールドに(笑)。

ほった:サイドウィンドウは2枚ガラスを採用しているとのことです。

宮崎:むむむ。そのうち防弾ガラス仕様も選べるようになりそうだ。

ほった:あと四隅のつかみやすさと合わせて取り回しで効くのは、低速で最大7.3°まで逆位相で切れる後輪ステアリングでしょう。

浦野:だからこの巨体でも取り回しがすこぶるいいのか。納得。加えてなにがすごいって、このハンドリング。いろいろ載せまくって3t弱というウェイトをすっかり忘れさせてしまうほどにスマートなんだ。船のようにおおらかでスローなのに、レスポンスだけはきちんとリニアで遅れがほとんどない。

宮崎:ちょっと褒めすぎじゃない?

浦野:ご先祖レンジのオーナーとしては鼻高々よ。

既存のスーパーチャージャー付き5リッターV8エンジンに代えて、BMW製の4.4リッターV8ツインターボエンジンがラインナップされた現行型「レンジローバー」。実は3代目レンジローバーにも、BMW製の4.4リッターV8エンジンが積まれていた。ランドローバーがBMWの傘下にあった時代に開発されたからだ。
既存のスーパーチャージャー付き5リッターV8エンジンに代えて、BMW製の4.4リッターV8ツインターボエンジンがラインナップされた現行型「レンジローバー」。実は3代目レンジローバーにも、BMW製の4.4リッターV8エンジンが積まれていた。ランドローバーがBMWの傘下にあった時代に開発されたからだ。拡大
「SV P615」に搭載される、マイルドハイブリッド機構付きの4.4リッターV8ツインターボエンジン。615PSの最高出力と750N・mの最大トルクを発生する。
「SV P615」に搭載される、マイルドハイブリッド機構付きの4.4リッターV8ツインターボエンジン。615PSの最高出力と750N・mの最大トルクを発生する。拡大
メーターパネルに備わるフル液晶のドライバーインフォメーションディスプレイ。表示パターンは豊富で、全体にナビゲーションの画面を映すこともできる。
メーターパネルに備わるフル液晶のドライバーインフォメーションディスプレイ。表示パターンは豊富で、全体にナビゲーションの画面を映すこともできる。拡大
現行型「レンジローバー」には後輪操舵機構が搭載されており、50km/h以下の低速域では前輪と逆位相に後輪を操舵。この巨体でありながら、最小回転半径を5.3mに抑えている。
現行型「レンジローバー」には後輪操舵機構が搭載されており、50km/h以下の低速域では前輪と逆位相に後輪を操舵。この巨体でありながら、最小回転半径を5.3mに抑えている。拡大

快適な乗り心地に蕩(とろ)ける

宮崎:連続可変ダンパーとエアサスの“尻”心地も極上だよね。小生もうっとり昇天。

ほった:現行レンジはセールスも好調で、先々まで予約でいっぱいらしいです。

浦野:いいぞ、ジョンブル魂の再興だ!

宮崎:どんな局面でも急(せ)かさせることがないのは、レンジローバーが本来的に持つ素性のよさなのかな。育ちって、こういうこと?

浦野:とにかくホイールベースをものすごーく長く感じる。実寸では3mをわずかに切るくらいなんだけど、もっともっとロングなフィーリングなんだ。で、たおやかに旋回する。それでも4つのタイヤがガッチリと大地をつかんでいる安心感はずっと途切れない。だから不安がまったくない。

宮崎:相当な高出力モデルのはずなんだけど、それを前面にひけらかしたりはしない。アンダーステートメントの美学。

浦野:そうなの。僕はむかし「シトロエンBX」と「XM」を乗り継いだんだけど、この新しいレンジに乗るとつくづく「ああ、僕は乗り心地のいいクルマが好きなんだなあ」って身にしみて感じる。低いエンジン回転でトローンとカントリーロードを流すの、めちゃキモチいい。

宮崎:でも最後の最後までドラバーズカーなのが、レンジらしくてステキだよね。

浦野:たしかに後席はリッパだけど、最終的には「運転したくなるクルマ」がレンジなんだよなあ。

宮崎:ああ、このまま助手席に乗って帰りたい……。

浦野:ああ、このまま運転して帰りたい……。

ほった:それじゃあ、あの駐車場のサードレンジはどうするんですか?

足まわりは高度に電子制御化されており、可変ダンパーとエアサスペンションの組み合わせにより、路面を問わず、常に快適な乗り心地と高い走行安定性を実現。オフロードでは車高を上げて走破性を高めることもできる。
足まわりは高度に電子制御化されており、可変ダンパーとエアサスペンションの組み合わせにより、路面を問わず、常に快適な乗り心地と高い走行安定性を実現。オフロードでは車高を上げて走破性を高めることもできる。拡大
ホイールサイズは22インチが標準で、試乗車が装着していた23インチホイールと285/40R23サイズのタイヤは有償オプションとなる。
ホイールサイズは22インチが標準で、試乗車が装着していた23インチホイールと285/40R23サイズのタイヤは有償オプションとなる。拡大
ステアリングホイールに備わる運転支援システムの操作スイッチ。アダプティブクルーズコントロールやレーンキーピングアシストなどは備わっているが、渋滞時に重宝するハンズフリー走行機能については、今のところ装備されていない。
ステアリングホイールに備わる運転支援システムの操作スイッチ。アダプティブクルーズコントロールやレーンキーピングアシストなどは備わっているが、渋滞時に重宝するハンズフリー走行機能については、今のところ装備されていない。拡大
乗るたびに快適な乗り心地に驚かされる現行型「レンジローバー」だが、同時に「豪華な後席よりも運転席に座りたい」と思わせる点も、このクルマの魅力。JLRのクルマづくりの妙には、本当に脱帽である。
乗るたびに快適な乗り心地に驚かされる現行型「レンジローバー」だが、同時に「豪華な後席よりも運転席に座りたい」と思わせる点も、このクルマの魅力。JLRのクルマづくりの妙には、本当に脱帽である。拡大

決して安くはないクルマだけど

ほった:そういえば今年の6月に、これと同じスタンダードホイールベースのSV P615をもとにした、日本限定の特別仕様車が発売されましたね。その名も「SVビスポーク バルモラルエディション」。スコットランドのバルモラル城にちなんで名づけられたそうです。英国王室の休暇地で、エリザベス女王も晩年を過ごされたという城の名、ですね。

宮崎:少なくとも俺の人生とバルモラル城は決して交差しない気がする。

浦野:だね。

ほった:価格は3866万円。

宮崎:やっぱり!

浦野:なんだかベースモデルの2944万円がリーズナブルに感じてきたぞ。

ほった:30年ローンを組めば月々のお支払いは10万円を切りますからね。

浦野:なんだか……愛車を売っぱらってSV P615を買ったほうがお得な気がしてきた。

宮崎:たしかに、そうかも!

浦野:これ、乗って帰ってもいい? 請求書はあとで送っといて!

ほった:お金持ちなんですねぇ、どうぞどうぞ。ちなみに全幅はドアミラーを含めて2209mmです。

宮崎:このまえNBAで優勝したボストン・セルティックスの、クリスタプス・ポルジンギス選手と同じくらいだな。

ほった:SV P615とポルジンギス選手、ガレージに入りますか?

浦野:うん、どっちも入らないね。

(語り=浦野周平/文=宮崎正行/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

2024年6月に発表された、日本限定の特別仕様車「SVビスポーク バルモラルエディション」(写真向かって左)。同時に発表された「SVビスポーク1858エディション」(同右)は「日本文化と英国とのつながりを表現した」というロングホイールベースの特別仕様車で、価格はなんと4850万円だった。
2024年6月に発表された、日本限定の特別仕様車「SVビスポーク バルモラルエディション」(写真向かって左)。同時に発表された「SVビスポーク1858エディション」(同右)は「日本文化と英国とのつながりを表現した」というロングホイールベースの特別仕様車で、価格はなんと4850万円だった。拡大
音響機器もハイエンドなものとなっており、実に28個ものスピーカーを備えた1700Wの「MERIDIANシグネチャーサウンドシステム」が搭載される。
音響機器もハイエンドなものとなっており、実に28個ものスピーカーを備えた1700Wの「MERIDIANシグネチャーサウンドシステム」が搭載される。拡大
丁寧に起毛表皮が張り込まれたラゲッジスペース。容量は後席を起こした状態で818リッター、畳んだ状態で1841リッターとなっている。
丁寧に起毛表皮が張り込まれたラゲッジスペース。容量は後席を起こした状態で818リッター、畳んだ状態で1841リッターとなっている。拡大
イルミネーションが仕込まれたサイドシルプレート。こちらにも、同車がカタログモデルの最上級グレードであることを示す「SV」のロゴが描かれていた。
イルミネーションが仕込まれたサイドシルプレート。こちらにも、同車がカタログモデルの最上級グレードであることを示す「SV」のロゴが描かれていた。拡大
内外装の美しさに充実した装備、走りのよさ、快適な乗り心地……と、およそクルマに求められる要素のすべてを高次元で実現した「レンジローバー」。問題をひとつ挙げるとすれば、駐車場を選ぶそのボディーサイズかもしれない。
内外装の美しさに充実した装備、走りのよさ、快適な乗り心地……と、およそクルマに求められる要素のすべてを高次元で実現した「レンジローバー」。問題をひとつ挙げるとすれば、駐車場を選ぶそのボディーサイズかもしれない。拡大

テスト車のデータ

レンジローバーSV P615

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5065×2005×1870mm
ホイールベース:2995mm
車重:2770kg
駆動方式:4WD
エンジン:4.4リッターV8 DOHC 32バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:615PS(452kW)/5855-7000rpm
エンジン最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1850-5400rpm
モーター最高出力:19PS(14kW)/800-2000rpm
モーター最大トルク:200N・m(20.4kgf・m)/250rpm
タイヤ:(前)285/40R23 111Y M+S/(後)285/40R23 111Y M+S(ピレリ・スコーピオンゼロ オールシーズン)
燃費:--km/リッター
価格:2944万円/テスト車=3321万2180円
オプション装備:ボディーカラー<イオニアンシルバー[グロス]>(120万円)/23インチ“スタイル1077”<サテンブラック、サテンダークグレイコントラストフィニッシュ&ナルヴィックブラックグロスインサート、鍛造>(27万5000円)/SVイントレピッド エクステリアアクセント(44万9000円)/コントラストルーフ<ブラック>(14万3000円)/エボニーインテリア<SVイントレピッド ローズウッド ニアアニリンレザーフロントシート&エボニー セミアニリンレザーリアシート>(61万5000円)/ステアリングホイール<ソフトグレインレザー>(0円)/トリムフィニッシャー<ブラックアルマイトメタル>(22万9000円)/フロントセンターコンソール急速クーラーボックス(11万4000円)/家庭用電源ソケット(2万1000円)/テールゲートイベントスイート(5万5000円)/13.3インチリアシートエンターテインメント(55万5000円)/コントロール<サテンブラックセラミック>(0円)/ウインドスクリーン<ヒーター付き>(3万4000円)/ヒーテッドウオッシャーノズル(2万3000円)/23インチフルサイズスペアホイール(0円) ※以下、販売店オプション ドライブレコーダー(5万9180円)

テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:2871km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:381.1km
使用燃料:54.9リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:6.9km/リッター(満タン法)/7.5km/リッター(車載燃費計計測値)

レンジローバーSV P615
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浦野周平/イラストレーター(写真向かって左) 
シトロエンのハイドロ沼から抜け出すべく「レンジローバー」に宗旨替えするも、同じ沼だと知り早10年。家族と猫と乗っていないハーレーをこよなく愛して、今日もなにかを描いています。https://shu-thang.com拡大 (写真:webCG)
浦野周平/イラストレーター(写真向かって左) 
	シトロエンのハイドロ沼から抜け出すべく「レンジローバー」に宗旨替えするも、同じ沼だと知り早10年。家族と猫と乗っていないハーレーをこよなく愛して、今日もなにかを描いています。https://shu-thang.com (写真:webCG)
宮崎 正行

宮崎 正行

1971年生まれのライター/エディター。『MOTO NAVI』『NAVI CARS』『BICYCLE NAVI』編集部を経てフリーランスに。いろんな国のいろんな娘とお付き合いしたくて2〜3年に1回のペースでクルマを乗り換えるも、バイクはなぜかずーっと同じ空冷4発ナナハンと単気筒250に乗り続ける。本音を言えば雑誌は原稿を書くよりも編集する方が好き。あとシングルスピードの自転車とスティールパンと大盛りが好き。

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