【F1 2023】第4戦アゼルバイジャンGP続報:ペレス対フェルスタッペン、レッドブルのレースとシーズン

2023.05.01 自動車ニュース bg
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F1第4戦アゼルバイジャンGPを制したレッドブルのセルジオ・ペレス(写真右から2番目)、2位に入ったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右端)、3位でレースを終えたフェラーリのシャルル・ルクレール(同左端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第4戦アゼルバイジャンGPを制したレッドブルのセルジオ・ペレス(写真右から2番目)、2位に入ったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右端)、3位でレースを終えたフェラーリのシャルル・ルクレール(同左端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年4月30日、アゼルバイジャンのバクー・シティ・サーキットで行われたF1世界選手権第4戦アゼルバイジャンGP。今季初のスプリントウイークで、フェラーリのシャルル・ルクレールが一発の速さを取り戻すも、ロングランとなればレッドブルの独擅(どくせん)場だった。

今季初のスプリントでは、新設されたスプリント向けの予選「スプリント・シュートアウト」で2位からスタートしたレッドブルのペレス(写真中央)が優勝。フェラーリのルクレール(同左)はトップを守り切ることができず2位、レッドブルのフェルスタッペン(同右)は、スプリントのスタートでメルセデスのジョージ・ラッセルと接触、マシンにダメージを負いながらの3位だった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
今季初のスプリントでは、新設されたスプリント向けの予選「スプリント・シュートアウト」で2位からスタートしたレッドブルのペレス(写真中央)が優勝。フェラーリのルクレール(同左)はトップを守り切ることができず2位、レッドブルのフェルスタッペン(同右)は、スプリントのスタートでメルセデスのジョージ・ラッセルと接触、マシンにダメージを負いながらの3位だった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
レッドブルのペレス(写真)が、第2戦サウジアラビアGPに次ぐ今季2勝目をマーク。ストリートコースの名手として知られるペレスは、金曜日の予選で3位、スプリントでは2位から優勝と、チームメイトのフェルスタッペンと比べ上げ調子でレースを迎え、またレースでも早々に2位に上昇。セーフティーカーのタイミングが奏功しトップに立つと、その後は強敵フェルスタッペンをしっかりと押さえ込むことに成功した。ポイントリーダーのフェルスタッペンとの差は6点に縮まった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真)が、第2戦サウジアラビアGPに次ぐ今季2勝目をマーク。ストリートコースの名手として知られるペレスは、金曜日の予選で3位、スプリントでは2位から優勝と、チームメイトのフェルスタッペンと比べ上げ調子でレースを迎え、またレースでも早々に2位に上昇。セーフティーカーのタイミングが奏功しトップに立つと、その後は強敵フェルスタッペンをしっかりと押さえ込むことに成功した。ポイントリーダーのフェルスタッペンとの差は6点に縮まった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

新設された「スプリント・シュートアウト」

GPウイークをよりエキサイティングにすることを目的に、2021年シーズンから導入された100kmで争う短期決戦「スプリント」は、3年目の今季になって開催数が6レースに倍増。さらにエンターテインメント性を向上すべく、週末のスケジュールに手が加えられた。

<2022年まで>

  • 金曜日:プラクティス/スプリントのグリッドを決める予選
  • 土曜日:プラクティス/スプリント
  • 日曜日:レース

<2023年>

  • 金曜日:プラクティス/レースのグリッドを決める予選
  • 土曜日:スプリントのグリッドを決める「スプリント・シュートアウト」/スプリント
  • 日曜日:レース

土曜日に新設された「スプリント・シュートアウト」は、いわばスプリントに向けた“ミニ予選”で、時間は短いが予選同様に全車出走の「SQ1」、15台に絞られた「SQ2」、そしてトップ10グリッドを決する「SQ3」の3セッションで争われる。SQ1とSQ2ではミディアム、SQ3ではソフトとタイヤの指定があるのも特徴だ。スプリント自体に大きな変更はなく、ポイントもウィナーに8点、以下8位までに与えられる。

レッドブルのフェルスタッペン(写真)は2位でレースを終えた。金曜日の予選で2位、翌日のスプリントでは3位と、この週末は一度も1位になることがなかったが、「セーフティーカーはアンラッキーだった」と(表面上は)落ち着いた表情で振り返った。レース中盤にマシンバランスの悪化を訴えていたが、「ツールを使ってどうにか解決し、残り10周は速さを取り戻せた。ペレスに挑むにはちょっと遅すぎたけれど、いろいろ学ぶことができた」と語っていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのフェルスタッペン(写真)は2位でレースを終えた。金曜日の予選で2位、翌日のスプリントでは3位と、この週末は一度も1位になることがなかったが、「セーフティーカーはアンラッキーだった」と(表面上は)落ち着いた表情で振り返った。レース中盤にマシンバランスの悪化を訴えていたが、「ツールを使ってどうにか解決し、残り10周は速さを取り戻せた。ペレスに挑むにはちょっと遅すぎたけれど、いろいろ学ぶことができた」と語っていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

金曜予選でフェラーリ&ルクレールが3年連続ポール

スプリントウイークは慌ただしく、新フォーマットの初戦アゼルバイジャンGPでは、この週末たった1時間しかないプラクティスの後にすぐさま予選を迎えた。

開幕から精彩を欠いていたフェラーリ&シャルル・ルクレールが、特に低速コーナーで抜群の速さを発揮し、今季初の予選P1を獲得。彼にとってバクーの市街地コースで3年連続、また自身通算19回目のポールポジションを獲得したことになる。

ルクレールの後ろには3連勝中のレッドブル勢が続き、ポイントリーダーのマックス・フェルスタッペンが0.188秒遅れの2位、セルジオ・ペレスは3位。カルロス・サインツJr.がもう1台のフェラーリを駆り4位につけた。

メルセデスのルイス・ハミルトンが5位、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソが6位、マシンアップデートに好感触を得たマクラーレンのランド・ノリスは7位。アルファタウリの角田裕毅は大健闘の末8位と躍進した。アストンマーティンのランス・ストロールは9位、マクラーレンのオスカー・ピアストリは10位から日曜日のレースに臨むこととなった。

フェラーリのルクレール(写真前)は、今季初表彰台となる3位でゴール。90度ターン、狭く曲がった旧市街地、そしてストレート中心の超高速セクションとさまざまな顔を持つバクーの市街地コースで、フェラーリ&ルクレールは低速コーナーでの抜群の速さを発揮。予選&スプリント・シュートアウトでダブルポールを獲得したのだが、スプリントでは2位、レースでは3位と勝ち星は取り損ねた。それでも「過去3戦で7位の6点しかなかったことに比べれば、今週末はベターだった」と語っていた。カルロス・サインツJr.はチームメイトの陰に隠れがちとなり、予選4位、スプリント5位、レースでは5位。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真前)は、今季初表彰台となる3位でゴール。90度ターン、狭く曲がった旧市街地、そしてストレート中心の超高速セクションとさまざまな顔を持つバクーの市街地コースで、フェラーリ&ルクレールは低速コーナーでの抜群の速さを発揮。予選&スプリント・シュートアウトでダブルポールを獲得したのだが、スプリントでは2位、レースでは3位と勝ち星は取り損ねた。それでも「過去3戦で7位の6点しかなかったことに比べれば、今週末はベターだった」と語っていた。カルロス・サインツJr.はチームメイトの陰に隠れがちとなり、予選4位、スプリント5位、レースでは5位。(Photo=Ferrari)拡大

“市街地コースのマスター” ペレスがスプリントで優勝

初開催のスプリント・シュートアウトは、予選同様にポールがルクレール、2位ペレス、3位フェルスタッペン、4位ラッセル、5位サインツJr.、6位ハミルトン、そして7位に直線で速いウィリアムズのアレクサンダー・アルボン、8位アロンソ、9位ストロール、10位ノリスといったグリッドとなった。

6kmのコースを17周するスプリントでは、フェルスタッペンとラッセルがマシンをヒットさせながら丁々発止とやりあい、メルセデスが前へ。その後方では、16番手スタートだった角田とチームメイトのニック・デ・ブリースが接触、フロントウイングを壊しコントロールを失った角田のアルファタウリがウォールにヒットし、バーチャルセーフティーカー&セーフティーカーが出た。

6周目の再スタート直後、さっきの仕返しとばかりにフェルスタッペンが3位を奪還すると、8周目にはペレスがトップに立ち、レッドブルが1-3。2位に落ちたルクレールは終盤にかけてペースが伸び悩み、また追うフェルスタッペンも1周目の接触でマシンにダメージを負ったこともあり、そのままの順位でチェッカードフラッグが振られることとなった。

結果、ペレスがスプリントで優勝し、ルクレールが2位、フェルスタッペンは3位でフィニッシュ。さらに4位ラッセル、5位サインツJr.、6位アロンソ、7位ハミルトン、8位ストロールまでがポイントを獲得した。

アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(写真)は4位フィニッシュ。今季好調のチームは、DRSの不具合が直らないという問題に直面するも、アロンソは予選6位、スプリントでも6位入賞、そしてレースではセーフティーカー明けに4位にジャンプアップ。最後までルクレールを追いかけたが、僅差で4戦連続3位を逃した。チームメイトのランス・ストロールは、予選9位、スプリント8位、レースでは7位入賞。(Photo=Aston Martin)
アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(写真)は4位フィニッシュ。今季好調のチームは、DRSの不具合が直らないという問題に直面するも、アロンソは予選6位、スプリントでも6位入賞、そしてレースではセーフティーカー明けに4位にジャンプアップ。最後までルクレールを追いかけたが、僅差で4戦連続3位を逃した。チームメイトのランス・ストロールは、予選9位、スプリント8位、レースでは7位入賞。(Photo=Aston Martin)拡大
メルセデスのルイス・ハミルトン(写真前)は6位でゴール。この週末、直線スピードに劣るメルセデスは、フェラーリ、レッドブルに次ぐ“第3勢力”にならざるを得なかった。ハミルトンは、予選5位、スプリント7位、レースではサインツJr.のフェラーリを攻略できずにチェッカードフラッグを受けた。一方ジョージ・ラッセルは、スプリントでフェルスタッペンから3位を奪うなど一矢を報いる戦いをみせたものの、結局抜き返されて4位。レースでは、ラスト2周でソフトタイヤに履き替え、ファステストラップの1点を加えて8位入賞。(Photo=Mercedes)
メルセデスのルイス・ハミルトン(写真前)は6位でゴール。この週末、直線スピードに劣るメルセデスは、フェラーリ、レッドブルに次ぐ“第3勢力”にならざるを得なかった。ハミルトンは、予選5位、スプリント7位、レースではサインツJr.のフェラーリを攻略できずにチェッカードフラッグを受けた。一方ジョージ・ラッセルは、スプリントでフェルスタッペンから3位を奪うなど一矢を報いる戦いをみせたものの、結局抜き返されて4位。レースでは、ラスト2周でソフトタイヤに履き替え、ファステストラップの1点を加えて8位入賞。(Photo=Mercedes)拡大

ルクレールがトップを守るも、早々にレッドブルに先を越される

フェラーリには一発の速さがあるが、レースペースはよくないということが、スプリントで明らかになった。果たして51周のレースもそのとおりの展開となり、早々にレッドブルが前を取ってしまう。

20台中の上位17台がミディアムタイヤを履いて迎えたスタートでは、ルクレールが首位をキープし、2位フェルスタッペン、3位ペレス、4位サインツJr.、5位ハミルトン、6位アロンソらが順当にオープニングラップを終了。8番手スタートの角田は出だしで2台に抜かれるも、なんとか入賞圏の10位には踏みとどまった。

DRSが使える3周目に入ると、フェルスタッペンが瞬く間に差を詰め、4周目のメインストレートでルクレールをぶち抜きトップに浮上。6周目にはペレスもルクレールをかわし、早くもレッドブルが1-2、フェラーリが3-4という2強のフォーメーションとなった。フェラーリは無駄な抵抗はみせず、タイヤの温存に集中したため、先頭2台と後続の差は広がるばかりだった。

レッドブルの敵はレッドブル。1位フェルスタッペンと2位ペレスは、互いにファステストラップを更新しながら1秒以内で周回を重ねていたが、フェルスタッペンのタイヤがスライドし始めたことで、レースリーダーが11周目にピットに駆け込んだ。

その直後、アルファタウリのニック・デ・ブリースがコース脇にストップしたことによるセーフティーカーが出て、トップを走っていたペレスらが続々とタイヤ交換に踏み切る。これで順位は、1位ペレス、2位ルクレール、3位フェルスタッペン、4位サインツJr.、5位アロンソ、6位ラッセルとなり、フェルスタッペンは3位に転落してしまうのだった。

しかし、極めて完成度の高い今年のレッドブルにしてみたら、1-2奪還は時間の問題と言ってよかった。いや、14周目にレースが再開した途端にフェルスタッペンは2位の座をやすやすと手に入れてしまったのだから、もはや時間の問題ですらなかった。

決してポテンシャルは高くない今季のアルファタウリをドライブしながら、角田裕毅(写真)が奮闘を見せ、レースでは2戦連続となる10位入賞を果たした。金曜日と土曜日で明暗が分かれ、金曜日の予選では力強い走りでQ3まで進出し、今季最高の8位を獲得。しかし翌日の「スプリント・シュートアウト」では赤旗中断によりアタックを終えられず18位。スプリントでは16番手スタートから僚友ニック・デ・ブリースのやや強引な追い抜きでフロントウイングを壊し、ウォールに当たってリタイアとなってしまった。気を取り直して臨んだ日曜日のレースでは、スタートで10位に落ちるも、そこから後退することなく着実な走りでゴールまで駆け抜けた。デ・ブリースはウォールにヒットしリタイアしており、角田のチームリーダーとしてのポジションはレースごとに確たるものとなっている。なおアゼルバイジャンGPを前に、アルファタウリのチーム代表フランツ・トストが今季限りで同職を離れることが発表された。フェラーリでレーシングディレクターを務めてきたローレン・メキースが新しいボスとして迎えられることになっている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
決してポテンシャルは高くない今季のアルファタウリをドライブしながら、角田裕毅(写真)が奮闘を見せ、レースでは2戦連続となる10位入賞を果たした。金曜日と土曜日で明暗が分かれ、金曜日の予選では力強い走りでQ3まで進出し、今季最高の8位を獲得。しかし翌日の「スプリント・シュートアウト」では赤旗中断によりアタックを終えられず18位。スプリントでは16番手スタートから僚友ニック・デ・ブリースのやや強引な追い抜きでフロントウイングを壊し、ウォールに当たってリタイアとなってしまった。気を取り直して臨んだ日曜日のレースでは、スタートで10位に落ちるも、そこから後退することなく着実な走りでゴールまで駆け抜けた。デ・ブリースはウォールにヒットしリタイアしており、角田のチームリーダーとしてのポジションはレースごとに確たるものとなっている。なおアゼルバイジャンGPを前に、アルファタウリのチーム代表フランツ・トストが今季限りで同職を離れることが発表された。フェラーリでレーシングディレクターを務めてきたローレン・メキースが新しいボスとして迎えられることになっている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

レッドブル、通算25回目の1-2フィニッシュ

1位ペレスと2位フェルスタッペン、序盤から順位を違えてのレッドブル同士の優勝争いは、しばし1.4秒という間隔がなかなか詰まらないでいたものの、やがてフェルスタッペンがデフとエンジンブレーキのバランスの悪さを訴えるようになると2.5秒にまで広がることになる。

レース終盤、調子を取り戻したフェルスタッペンがファステストラップを記録すれば、ペレスも最速タイムを奪い返すといった展開に。異次元の速さでライバルを突き放すレッドブルにあって、主導権は常にペレスが握り続けた。

通算6勝のうち5勝を市街地コースで記録しているペレスが、得意のバクーでスプリントに次いでレースも勝利。「セーフティーカーのタイミングはよかったね」とレース後に勝因を語るも、「フェルスタッペンとは接戦で、お互い壁にマシンをヒットさせることが度々あったぐらいだ」とチームメイトとの目に見えない戦いを振り返っていた。これでポイントリーダーのフェルスタッペンとの差は6点に縮まり、レースのみならずチャンピオンシップでもレッドブル同士の僅差の戦いが繰り広げられている。

序盤のトップから2位に甘んじてチェッカードフラッグを受けたフェルスタッペンだったが、「もちろんセーフティーカーはアンラッキーだったし、もう一度プッシュしてペレスになるべく近づくようにしていたけれど、そうしたことでタイヤのオーバーヒートが起きてしまった」と落ち着いた様子だった。

レッドブルの通算25回目の1-2フィニッシュから遠く21秒も離されたルクレールだったが、過去3戦で7位入賞が1回だけだっただけに、今季初表彰台には安堵(あんど)の息をついた、といったところかもしれない。

今季最初のスプリントウイークの次は、遠くアメリカ大陸に舞台を移してのマイアミGP。たった1週間の後、5月7日に決勝が行われる。

(文=bg)

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