「第2世代GT-R 実車と模型の展示会」の会場から
2023.08.03 画像・写真2023年7月30日、神奈川県横浜市にある日産自動車横浜工場2地区において「第2世代GT-R 実車と模型の展示会」が開かれた。これは2023年に日産が創立90周年を迎えたことを記念したイベントの第1弾として企画されたもので、発案者は同工場に勤務する「日産GT-R」(R35)のオーナーにしてプロ級の腕前を持つモデラーでもある社員。横浜工場は現存する日本最古の自動車量産工場であり、今もエンジン博物館を含むゲストホールとして使われている1934年完成の旧本社ビルのある日産創業の地。加えてイベントタイトルにもある第2世代GT-RことR32~R34の「スカイラインGT-R」と、R35が搭載するエンジンの生まれ故郷でもある。
集まったGT-Rの実車は59台。内訳はR32が10台、R33が8台、R34が3台、R35が38台で、ほかにゲストとして「スカイライン2000RS」(R30)や「レパード」(F31)なども並べられた。いっぽう模型は、プロモデラーの作品を含むGT-Rのモデルが約50台、ほかの日産車のモデルが100台以上展示された。
模型が展示された屋内会場では、第2世代GT-Rをよく知るゲストによるトークショーも実施された。登壇者は1986年に日産に入社以来パワートレインの開発に携わり、現在は「e-POWER」の開発主管を務める仲田直樹氏、そして2019年からSUPER GTのGT500クラスでGT-Rと「Z」を駆る平手晃平選手。仲田氏はニスモ出向時代に「R34 NISMO」の「Sチューン」や「Zチューン」を企画し、本社に戻ってからはR34の最後の限定車「ニュル」用のRB26DETTのチューニングを担当。R35用のVR38DETTの初期段階の開発にも携わった。いっぽうプライベートでは、かつてはR32とR34、現在はR35 GT-Rのオーナーであるという。対して平手選手は、トヨタに在籍していたころからプライベートでは父親の所有していたR32 GT-Rに「こっそりと」乗っており、現在は父親から受け継いだそのR32とR35の2台を所有して日常的に乗っているそうだ。
このように公私ともに第2世代GT-Rに精通した2人だけにトークは興味深かったが、印象に残ったのは「VR38DETTの最高出力は2007年のデビュー当初は480PSで、2008年の年次改良で485PSに上がったが、実は何もスペックは変えていない」という仲田氏の話。初めは個体によるバラつきを見込んで公称を480PSに抑えていたのだが、横浜工場にある「匠(たくみ)のライン」と呼ばれる専用エリアでトップクラスのビルダーが手作業でエンジンを組んだところ、まったくといっていいほど個体差が認められなかったため、485PSに変更したのだという。
同日、横浜工場の敷地では「日産車フェアin横浜」と題された地元ディーラーの共催による大商談会も開かれていた。そこから流れてきた来場者を含め、猛暑にもかかわらず盛況だった会場から、参加車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/20会場となった日産自動車横浜工場2地区に並んだ「日産スカイラインGT-R」(R32~R34)と「日産GT-R」(R35)。
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2/20手前の「スカイラインGT-R」(R32)は、参加したR32のなかで唯一オリジナルのホイールを履いていた。
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3/20全日本ツーリングカー選手権(JTC)で、デビューした1990年からカテゴリーが消滅する1993年まで全勝、シリーズを完全制覇したグループA仕様のR32のレプリカ。
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4/20手前は「スカイラインGT-R」(R33)、その隣はスカイライン生誕40周年記念モデルとして1997年に発表、翌1998年に発売された第2世代GT-Rで唯一の4ドアセダンとなる「スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー」。
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5/20生産台数400台といわれる「スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー」はこちらにも2台の、計3台が参加していた。
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6/20純正色として設定されていた「ミッドナイトパープル」をまとった「スカイラインGT-R」(R33)。
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7/20ノーマルよりシャープな印象のニスモ製フロントバンパーを装着した「スカイラインGT-R」(R34)。R34は参加3台と少なかった。
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8/20ズラリと並んだ「日産GT-R」(R35)。手前の4台はプレーンな姿の、2007年の発売から2010年のマイナーチェンジまでのモデル。
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9/20「日産GT-R NISMO」(R35)。カーボンルーフが採用された2020年以降のモデル。
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10/20日産から提供され、2016年公開の映画『さらば あぶない刑事』に劇中車として使われた「日産GT-Rプレミアムエディション」(R35)。右はTVドラマ版『あぶない刑事』などでおなじみの2代目「日産レパード」(F31)の劇中車レプリカ。
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11/20「日産GT-R」(R35)越しに見る、ノコギリ形の屋根が特徴的なエンジン工場。日曜でも稼働していた。
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12/20現在は「e-POWER」の開発主管である仲田直樹氏とGT500ドライバーの平手晃平選手によるトークショー風景。盛況だった。
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13/20仲田主管は「日産GT-R」(R35)、平手選手は「スカイラインGT-R」(R32)と日産GT-R(R35)のオーナーという。
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14/20円卓に並べられた「GT-R」のモデルカー。中央の高くなった部分はプロを含む招待モデラーの、周辺は一般モデラーの作品。
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15/20招待モデラーの作例。左から「スカイラインGT-R NISMO」(R32)、全日本ツーリングカー選手権で高橋国光/土屋圭市が駆った「STPタイサン スカイライン」(R32)、先に紹介した『さらば あぶない刑事』仕様の「日産GT-Rプレミアムエディション」(R35)。いずれもスケールは1/24。
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16/20タミヤ製1/24「日産スカイラインGT-R Vスペック」(R33)をベースにした、1995年のルマンに出場した「ニスモGT-R LM」。ボンネットは取り外し式、ドアは開閉式としてリアルに作り込まれている。
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17/20アマチュアモデラーが3Dプリンターで自作したという1/4スケールの「RB26DETT」のシリンダーブロック。1/1を参考に水路まで完全に再現しており、引き続き各パーツを製作して「クランクを回せば各部が稼働するようにしたい」とのこと!
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18/20フィナーレは参加した「GT-R」全車による周辺道路のパレード。スタート前、構内に並んだ先頭を行くグループA仕様のR32軍団。
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19/20パレード走行する「日産GT-R」(R35)。ルートは横浜工場の前を通る神奈川産業道路を西進して大黒町にあるNISMOのショールーム周辺まで行き、横浜工場に戻ってくる約3km。
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20/20パレード参加車両は横浜工場に戻り、記念品(アオシマ製「ザ・スナップキット」のR32~R35のいずれかと日下エンジニアリング製VR38DETTのピストン-コンロッドアッシー)を受け取って流れ解散となった。