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第420回:ヤルときゃヤルじゃん、ニッポン!
 ガンバレ、JETROコピーパーツ摘発隊!!

2010.12.28 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第420回:ヤルときゃヤルじゃん、ニッポン! ガンバレ、JETROコピーパーツ摘発隊!!

本体は減ったが、パーツのコピーは増殖中

いやー、ヤルじゃないですかニッポン! なにかと言うと中国にやられっぱなしのイメージのわが国。尖閣問題はもとより今回の広州モーターショーでも、ついぞ驚異の連続二ケタ成長の国、中国に無言のプレッシャーをかけられ続けてる不肖小沢ではありますが、その中で唯一希望というか、勇気をもらった集団がありました。
それはメイン館2階ロビーの「JETRO」こと日本貿易振興機構による「NO FAKE PARTS」ブース。正直、この手の団体にあまりイメージはありませんでしたが、非常に重要かつ必要なことをされてると思った次第だ。

具体的にはトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、いすゞ、旭硝子、デンソー、KYBという日本の8メーカーがそれぞれブースを設け、中国人ユーザーやメーカー関係者に直接訴えているのだが、テーマは何あろう、コピーパーツ問題!!

「いくら摘発を繰り返しても、いたちごっこで、やはり元から啓蒙活動していくしかないということになりまして」(KYB)
「一般的には自動車本体のコピーの方が有名ですが、そっちはかなり減ってて今の本当の問題はパーツなんです。こちらは減るどころか増え続けてる状態で」(トヨタ)

わかりやすいところでは、エンジンのオイルフィルターやプラグなど消耗パーツのニセモノだが、それ以上に問題で、許し難いと思ったのが安全に直接つながるガラスやショックアブソーバーやエアバッグのコピー問題だ。
たとえばエアバッグについて主に活動している日産は「もちろん最初は正規パーツが付いてます。付いてるのをわざわざ取り替える人はいませんから。本当の問題は事故を起こした後の補修で、ニセモノどころか、エアバッグが入ってないカバーを付ける時もあるんです。今の中国は多少の事故車だろうが平気で乗りますから、そんなので事故を起こされたりしたら……」と危惧(きぐ)している。

聞いて驚くどころか怒りすら感じるではないか! もちろん事故を起こした後に正規ディーラーに行けば、正しい修理を施し、正規パーツに交換してくれる。しかしそういうところは修理代が高く、安さ第一と考える余裕のない中国人ユーザーの多くは、市井の修理屋に行くことになる。すると「そういうところの7〜8割は正規パーツを付けない」(関係者)というのだ。なぜなら正規パーツより微妙に安いだけでなく、売る側も原価にして4、5倍は違うという。安く買いたい気持ちはわかるのだが、問題はそれを付けてクラッシュした場合、当然非常に危ないということだ。
「エアバッグはわかりやすいですが、ショックアブソーバーにしても制動距離が確実に伸びますから危険です。しかも付けた当初はそれなりの性能を発揮するから、さらに問題がやっかいで……」(KYB)


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広州モーターショーのJETROブースの様子。
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やっぱその場でソク抗議しないと!

それとさらに問題なのは、ニセパーツに巧妙に「NISSAN」なり「KYB」のロゴが入ってること。万が一事故を起こして大事に至った場合、知らないユーザーは「純正パーツがダメで事故を起こした」と判断するケースも考えられる。
つまり最悪なパターンを想定すると、今後中国パーツの品質が上がり、非純正の交換パーツがマトモになった時「日本パーツより、中国パーツのほうが高品質」というイメージすら与えかねないのだ。もちろん日本パーツというのは今回のニセモノのことである。

もちろんそこまで中国人ユーザーが勘違いするとは考えたくはないが、事実、一部知らない中国人はコピーデザインの「Great Wall」にせよ「GEELY」にせよ、ネタ元が日本だと知らず、逆に「コピーされてる」と思ってる人もいるとか。でも“元”を知らなければそれも当然で、日本でも以前、レトロデザインの軽に乗ってるユーザーが「MINI」を見て「あ、マネしてる」と言ったという実話もある。
それくらいに情報、歴史というのは正しく伝えなければ後々問題になるものなのだ。もちろんこうやってブースを出して、どのくらい現地人が見てくれんの? という話はある。だが「こういう話ってあとで言ってもダメなんですよ。コピー商品が出た瞬間、その時にすぐにアピールし、すぐ訴えないと。尖閣問題だってそうじゃないですか。先伸ばしすればするほどなめられるし、事情が複雑になる」と関係者は熱弁する。

まさにその通り。一時のトヨタや三菱がそうであったように、自動車メーカーにとってイメージの悪化は死活問題。それは市場がグローバル化するとさらに顕著で、一度付いたネガティブイメージを取り去るのはたしかに難しいが、逆になにかあった時に、素早く対応することによりポジティブイメージを与えることもある。返す返すもこのJETROと8メーカーの活動は重要だと私は思うのだ。

ってわけで頑張ってみなさんも応援してほしいこの事実。ついでに○×党の方々にもこのレスポンス、考え方を見習ってほしいと思ったのは、考えすぎでしょうか(苦笑)。

(文と写真=小沢コージ)

右がホンモノ、左がニセモノ。よーく赤いラベルを見ると、KYBの文字が……。
右がホンモノ、左がニセモノ。よーく赤いラベルを見ると、KYBの文字が……。 拡大

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旭硝子の展示するニセパーツのガラス。強度や割れ方の違いなどで危険さをアピールしていた。
旭硝子の展示するニセパーツのガラス。強度や割れ方の違いなどで危険さをアピールしていた。 拡大
小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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