第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」
2012.08.27 小沢コージの勢いまかせ!第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋?ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」
クルマ選びのテーマパーク!?
いやビックリ。最近元気がないといわれるニッポン、若者のクルマ離れも叫ばれるこの国で、久々ヤングの、それもある意味“青くさい賭け”とでも言いたくなる意欲的クルマ新ビジネスに出会っちゃいましたわ。そ、ガリバーが始めた画期的自動車販売ネットワーク「WOW!TOWN」(ワオタウン)。青くさいもの好きの小沢としては、まずはこのヤル気だけで大拍手よ!
ガリバーはご存じ中古車買い取り最大手で、今までも「ドルフィネット」などのサイトで仕入れた中古車を売ってたけど、今後さらに伸びるためには……と新たな販売スタイルを模索。そこまではわかるし、よくあるハナシっちゃハナシなんだけど、結果出来上がった手法がマジですごい。
「目指したのはクルマ選びのテーマパーク。具体的に言うと、自動車版のヤマダ電機+カカクコム+IKEAって感じです。今まで買いに来られなかった方がターゲットです」
とは店舗開発をリードするマーケティング責任者の北島さん。この方、入社4年目の弱冠35歳ってのもいいが、発想がまたいい。
確かに今までの自動車セールス、特に中古車店はなんだかんだ敷居が高かった。クルマ全般はもちろん、中古車特有の問題、年式や走行距離や内装のヤレなど、結構詳しいか、カンどころがわかった人でないと来られない場所だった。
ところが現実に車種名はもちろん、排気量ってなに? 軽と小型車ってどう違うの? 「ヴィッツ」と「フィット」ってなんだっけ? っていう女性および初心者ユーザーはザラにいるわけで、それどころか北島さんいわく「クルマ文化が死滅していく中、そういう人はますます増える」と、ごもっともな指摘。要するにWOW!TOWNはそういう購入超ビギナーを真っ向ターゲットにした新時代のビジネスなのだ。
iPadを使って“五つの世界”から見つけ出せ
ところが何事も言うはやすく行うはかたし。実際どうやるのかってのが問題で、早速1号店のWOW!TOWN幕張のオープニングに行ってみたんだけど、確かにまずはIKEAクリソツのインターフェースに気付く。
駐車場や母屋のデザインからしてヒジョーにイマドキで、中に入れば今度はスタバを少し子供向けにしたようなカフェが。
そしてまず渡されるのがiPad。もちろん本体をくれるわけじゃなく、自分のページをネット上に登録してくれってわけで、最初の画面がまたなるほどだ。超簡単なアンケート形式で、自分が求めるクルマをWOW!TOWN内に作られた五つの世界から選ばせるって手法。これを見ると「そう来ましたか」って分類で、「FAMILY」「ACTIVE」「FASHION」「ECO&ECO」「DRIVING PLEASURE」に分かれている。中でもFAMILYなんてまさしくIKEAそのもので、ヒジョーにイメージしやすい。
で、FAMILYゾーンには「ホンダ・ステップワゴン」やトール系の軽、ECO&ECOゾーンにはハイブリッドカー、DRIVING PLEASUREには「マツダ・ロードスター」なんかが並べてある。とはいえ、この時点でクルマに詳しい関係者の中には「俺なら直接選びたいよ〜」などとつぶやく無粋なやからがいたのも事実。確かにそのキモチもわからんでもないが、そういう人を相手にしてないのがWOW!TOWNなのにね。
一方、明らかにいいなと思えるのは、登録したiPadのカメラで実車に付けられたQRコードを読み取ると、車名やグレード、年式、距離、色、オプションなどすべての情報がわかるシステム。しかも各車情報を蓄積できて、見比べられるのが良い。これならクルマ好きでも満足でしょ。
そのほか面白いのはペーパードライバー講習で、いかにも免許をとってから何年も運転してません! って人向けのカリキュラムなんかも用意されている。
さらに驚きの三大条件まで!
そんなWOW!TOWNなんだけど、本質的にすごいのはココだ。なんと「全車修復歴ゼロ」「最長10年間の長期保証」「100日以内なら返品可能」の三大条件をうたい、特に最後のなんか家具のIKEAそのまんまだ。ぶっちゃけ、中古車でそんなことできるの? と北島さんに直撃したところ、「われわれには大量の故障率算定データなど、過去の蓄積がありますから」と自信たっぷり。それくらい楽勝でできるってわけだ。
ってなわけで、新機軸だらけのWOW!TOWN。それだけに古典的自動車メディアがイチャモンを付けるのはやさしく、不安な点を挙げればきりがないし、そもそもクルマに全く興味がない人が店にどれだけ足を運ぶかだって未知数。
でも逆に、クルマは欲しいけど、知らなくて選べないとか、面倒くさくて選ぶ気にもなれない……って人は大量にいるはずで、それこそが狙い目。その点、今までのクルマ業界は延々と古い体質でい続けたと思う。
例えば今、実家で使ってる超不人気ファミリーカーの「ホンダ・エディックス」なんか、運転席横に親戚のコが二人も並んで座るのを見て「ええっ! こんなに楽しいクルマがあったんだ?」と驚くヤングファミリーはいたもんね。いかに俺たち自動車メディアのハナシが、超一般ユーザーに届いてないことか……。
ってなわけで障害も多いだろうけど、まちがいなく新しくもステキなチャレンジであるWOW!TOWN。不肖小沢は温かく見守っていくつもりですよ〜。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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