ヤマハがローラとともにフォーミュラEに挑戦 電動レースカーを共同開発

2024.03.28 自動車ニュース webCG 編集部
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写真向かって左から、ヤマハの丸山平二氏、フォーミュラEのアルベルト・ロンゴ氏、ローラカーズのマーク・プレストン氏、フォーミュラEのジェフ・ドッズ氏。
写真向かって左から、ヤマハの丸山平二氏、フォーミュラEのアルベルト・ロンゴ氏、ローラカーズのマーク・プレストン氏、フォーミュラEのジェフ・ドッズ氏。拡大

ヤマハ発動機と英ローラカーズは2024年3月28日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権における、高性能電動パワートレインの開発・供給に関するテクニカルパートナーシップ契約を締結。シーズン11(2024-2025年シーズン)より、サプライヤーとしてフォーミュラEに挑戦すると発表した。

ヤマハとローラが開発する、フォーミュラEの電動レーシングカー。
ヤマハとローラが開発する、フォーミュラEの電動レーシングカー。拡大
ヤマハの丸山氏は質疑応答において、「世にあるバッテリーを活用する」というヤマハの電動化戦略と、フォーミュラEへの挑戦の親和性を説明した。
ヤマハの丸山氏は質疑応答において、「世にあるバッテリーを活用する」というヤマハの電動化戦略と、フォーミュラEへの挑戦の親和性を説明した。拡大
「電気と水素、バイオ燃料」が3本柱と語ったローラのマーク・プレストン氏。ローラにとって、フォーミュラEへの挑戦はモータースポーツへの久々の復帰となる。
「電気と水素、バイオ燃料」が3本柱と語ったローラのマーク・プレストン氏。ローラにとって、フォーミュラEへの挑戦はモータースポーツへの久々の復帰となる。拡大
フォーミュラEのジェフ・トッズ氏は、かつてホンダで役員を務めていた人物。「あのころは、ヤマハはライバルだったけど……」と当時を振り返り、会場を笑わせた。
フォーミュラEのジェフ・トッズ氏は、かつてホンダで役員を務めていた人物。「あのころは、ヤマハはライバルだったけど……」と当時を振り返り、会場を笑わせた。拡大
フォーミュラEのアルベルト・ロンゴ氏。記者会見では、これが日本初開催となる「Tokyo E-Prix」への意気込みも語られた。
フォーミュラEのアルベルト・ロンゴ氏。記者会見では、これが日本初開催となる「Tokyo E-Prix」への意気込みも語られた。拡大
会場にはヤマハが開発を進める電動パワーユニット「alive EE」なども展示されていた。
会場にはヤマハが開発を進める電動パワーユニット「alive EE」なども展示されていた。拡大

ヤマハが担うのは電動パワートレインの開発・供給

今回、ヤマハが提携を発表したローラは、フォーミュラ1(F1)や、ルマンをはじめとするプロトタイプカーによる耐久選手権、アメリカのインディカーなど、さまざまなレースに車両を供給してきた老舗のレーシングカー開発会社である。現在はサステナブル・モータースポーツを活動の指針に掲げ、フォーミュラEに出場するレーシングチームに供給が可能な車体パッケージの開発を進めている。

いっぽうのヤマハは、2050年までのカーボンニュートラルの実現へ向けさまざまな取り組みを進めており、モビリティー事業全般における電動化技術の底上げを意図して、フォーミュラEへの挑戦を決定した。今後はローラと協力しながら電動パワートレイン(動力ユニット)を開発・供給する予定で、「世界最高レベルの出力密度・効率を含めた究極のエネルギーマネジメント技術」(報道資料より)の獲得を目指し、技術開発を進めていくという。このプロジェクトが実現すると、ヤマハは1997年にF1から撤退して以来、久々に四輪のモータースポーツに復帰することとなる。

東京・有明で行われた記者会見には、ヤマハの丸山平二常務やローラのマーク・プレストン モータースポーツディレクターに加え、フォーミュラEホールディングスからも、ジェフ・ドッズCEOやアルベルト・ロンゴ共同創始者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーが出席。「ヤマハもローラも、モータースポーツの世界で伝統を築いてきた存在」「サーキットで得られた技術が公道へ持ち込まれれば、われわれ全員が恩恵を受けられる」(ドッズ氏)、「モータースポーツにおける長いヘリテージを持つヤマハとローラの組み合わせは、フォーミュラEにおける完璧なタッグになる。ファミリーに入ってくれることをうれしく思う」(ロンゴ氏)と述べ、ヤマハとローラのプロジェクトを歓迎した。

レースへの参戦をとおして電動化の技術を磨く

フォーミュラEは100%電動のフォーミュラカーで競われる世界選手権であり、開催10年目となる今シーズンは、3月28日から3月30日の日程で、日本でも初開催される(第5戦Tokyo E-Prix)。

参加チームの競争力を拮抗(きっこう)させ、また参戦コストを抑えるために、競技車両は大部分が共通化されているが、モーターやインバーター、それらを制御するソフトウエアなどは独自開発が許されている。ローラとのプロジェクトでヤマハが開発・供給を担うのは、この競争領域のコンポーネントだ。

これについて丸山氏は、「二輪車などのモビリティーを手がけるヤマハは、(自社製品ではなく)世にあるバッテリーを活用する電動化戦略に根差している。エネルギーマネジメント技術が重要となるが、フォーミュラEではバッテリーがワンメイクなので、この技術をとくに磨くことができる」と説明。同レースへの挑戦の意義を強調した。

いっぽう、1957年からの歴史を持つローラも、近年はモータースポーツの表舞台から遠ざかっており、今回のフォーミュラEで久々のサーキット復帰となる。ローラのプレストン氏は「電気と水素、バイオ燃料」をローラ復活の3本柱と述べ、「フォーミュラEは電動化のリーダー。モータースポーツの世界でも電動化は進むと思われる。フォーミュラEへの挑戦を皮切りに、活動を広げていきたい」と述べた。

(webCG)

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