ヤマハがローラとともにフォーミュラEに挑戦 電動レースカーを共同開発
2024.03.28 自動車ニュース![]() |
ヤマハ発動機と英ローラカーズは2024年3月28日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権における、高性能電動パワートレインの開発・供給に関するテクニカルパートナーシップ契約を締結。シーズン11(2024-2025年シーズン)より、サプライヤーとしてフォーミュラEに挑戦すると発表した。
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ヤマハが担うのは電動パワートレインの開発・供給
今回、ヤマハが提携を発表したローラは、フォーミュラ1(F1)や、ルマンをはじめとするプロトタイプカーによる耐久選手権、アメリカのインディカーなど、さまざまなレースに車両を供給してきた老舗のレーシングカー開発会社である。現在はサステナブル・モータースポーツを活動の指針に掲げ、フォーミュラEに出場するレーシングチームに供給が可能な車体パッケージの開発を進めている。
いっぽうのヤマハは、2050年までのカーボンニュートラルの実現へ向けさまざまな取り組みを進めており、モビリティー事業全般における電動化技術の底上げを意図して、フォーミュラEへの挑戦を決定した。今後はローラと協力しながら電動パワートレイン(動力ユニット)を開発・供給する予定で、「世界最高レベルの出力密度・効率を含めた究極のエネルギーマネジメント技術」(報道資料より)の獲得を目指し、技術開発を進めていくという。このプロジェクトが実現すると、ヤマハは1997年にF1から撤退して以来、久々に四輪のモータースポーツに復帰することとなる。
東京・有明で行われた記者会見には、ヤマハの丸山平二常務やローラのマーク・プレストン モータースポーツディレクターに加え、フォーミュラEホールディングスからも、ジェフ・ドッズCEOやアルベルト・ロンゴ共同創始者兼チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーが出席。「ヤマハもローラも、モータースポーツの世界で伝統を築いてきた存在」「サーキットで得られた技術が公道へ持ち込まれれば、われわれ全員が恩恵を受けられる」(ドッズ氏)、「モータースポーツにおける長いヘリテージを持つヤマハとローラの組み合わせは、フォーミュラEにおける完璧なタッグになる。ファミリーに入ってくれることをうれしく思う」(ロンゴ氏)と述べ、ヤマハとローラのプロジェクトを歓迎した。
レースへの参戦をとおして電動化の技術を磨く
フォーミュラEは100%電動のフォーミュラカーで競われる世界選手権であり、開催10年目となる今シーズンは、3月28日から3月30日の日程で、日本でも初開催される(第5戦Tokyo E-Prix)。
参加チームの競争力を拮抗(きっこう)させ、また参戦コストを抑えるために、競技車両は大部分が共通化されているが、モーターやインバーター、それらを制御するソフトウエアなどは独自開発が許されている。ローラとのプロジェクトでヤマハが開発・供給を担うのは、この競争領域のコンポーネントだ。
これについて丸山氏は、「二輪車などのモビリティーを手がけるヤマハは、(自社製品ではなく)世にあるバッテリーを活用する電動化戦略に根差している。エネルギーマネジメント技術が重要となるが、フォーミュラEではバッテリーがワンメイクなので、この技術をとくに磨くことができる」と説明。同レースへの挑戦の意義を強調した。
いっぽう、1957年からの歴史を持つローラも、近年はモータースポーツの表舞台から遠ざかっており、今回のフォーミュラEで久々のサーキット復帰となる。ローラのプレストン氏は「電気と水素、バイオ燃料」をローラ復活の3本柱と述べ、「フォーミュラEは電動化のリーダー。モータースポーツの世界でも電動化は進むと思われる。フォーミュラEへの挑戦を皮切りに、活動を広げていきたい」と述べた。
(webCG)