第854回:ハーレーダビッドソンでライディングを学べ! 「スキルライダートレーニング」体験記
2025.11.21 エディターから一言あのハーレーがライディングレッスンを開催?
ハーレーダビッドソンが、世界各国で展開している1DAYライディングレッスン「Skilled Rider Training(スキルライダートレーニング)」を日本にも導入。これに先立ち、メディア向けの体験取材会が、東京・調布の「味の素スタジアム」で開催された。
読者のなかには、ハーレーで講習を受けてライディングのスキルを磨く、というのが、ピンとこない人もいるかもしれない。しかし、いざハーレーに乗ってみると、その独特の操作性によって、初心者やリターンライダーが苦労するケースは少なくない。ライダー向けには日本でもさまざまな講習会が開催されているが、このトレーニングは、強いトルクや重い車重、長いホイールベース、クルーザーならではのフォワードコントロールのステップ位置、低いシート高による独特のライディングポジション等々、ハーレーのバイクの特性に即したプログラムとなっているのだ。
トレーニングの内容は、世界共通のカリキュラムに基づくもの。1人の講師につき受講生は最大5人となっており、十分な練習量とフォローが約束されている。講師陣は「ハーレーダビッドソンアカデミー」が認定した熟練のコーチたちで、今回の体験会では、ジャーナリストとしてもおなじみのケニー佐川氏をはじめ、ロードレースやジムカーナなどで実績あるメンバーがそろっていた。
不安な人にはレンタルバイクも用意
今回の体験取材会では、各種プログラムのうち、クローズドなエリアで練習する「ブレーキング」「低速バランス」「スラローム/8の字」「コーナリング」の4つの講習を受けたが、実際にはこうした場内トレーニング(約4~5時間)に加え、「公道での安全な走り方の実践オンロードトレーニング」(約4~5時間)も行う場合があるとのことだ(会場や参加者の習熟度により最適なプログラムに調整される)。
参加資格は大型二輪MT免許の所持だけで、免許歴やハーレー所有の有無は問わない。自車での参加に加えて、レンタル車両も用意されるという。私も今回、レンタル車両で体験会に臨んだ。そこで選んだ車両が、「スポーツスターS」である。車重は228kgとハーレーにしては軽めだが、フロントタイヤのサイズは160/70R-17で、一般的なスポーツバイクのリア並みに太い。キャスター角は30°と寝ており、トレール長も148mmとかなり長い。ホイールベースも1520mmもあって、近年のスポーツスターファミリーのなかでは、とくにハンドリングに強烈なキャラクターを持つ一台だった。
普段、二輪車安全運転推進委員会(二推)の二輪車安全運転特別指導員として活動している私だが、教習車にこのスポーツスターSを選んだことで、かえって本トレーニングのプログラムの有用性を感じる結果となった。
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少人数制でしっかり練習できる
各課題では、ハーレーならではの特性を踏まえた指導が行われ、じっくりそれを練習することができた。
まずはブレーキングだ。前後ブレーキの操作量に関しては、ハーレーの場合は、一般的に教習所などで教わる「前:後ろ=7:3」ではなく、その車重や近年の高いフロントブレーキ性能も踏まえ、「8:2」から「8.5:1.5」ぐらいの強さでもよいと説明された。
最初はリアブレーキのみで急制動を行い、制動距離が大きく伸びることを体感する。次に、前後ブレーキとエンジンブレーキも利用しての全制動を行う。繰り返し練習できるため、ABSの作動域まで試すことができた。
ABS普及前に免許を取得したベテランライダーやリターンライダーのなかには、ABS作動の挙動を知らず「怖くてしっかりブレーキがかけられない」というライダーもいる。しかし、緊急時に生死を分けるかもしれないのがブレーキング技術だ。本トレーニングでは無理のない範囲から段階的に練習でき、多くの受講者が、最終的にしっかりABSを利かせて、短い制動距離で停止できるようになっていた。
次いで低速バランスの講習では、半クラッチとリアブレーキのみでの速度調整により、人が歩く程度の速度でバイクを進ませる。ハーレーの強大なトルクは、極低速走行時には扱いにくさにつながることがある。リアブレーキとクラッチを丁寧に使えば、安定して走れるようになるのだ。これも文字どおり、コーチが一人ひとりにつきそって指導してくれた。
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ハーレーに特化したカリキュラムの有用性
「コーナリング」と「8の字/スラローム」の課題は広めのコース設定で、初心者が感じがちな「曲がりきれないかも」といった不安は無用。あくまでバイクの特性を理解し、体重移動やアクセルワークなどを駆使して、ハーレーならではの操作感覚をつかむことが目的の内容となっていた。
興味深いのが、一般的な講習会で行われるような、狭いコースでのスラロームや、S字、クランク、Uターンといった課題がない点。教習所や運転免許試験場で行われている講習より、はるかにハーレーに特化しているのだ。
その特殊な操作性から、ハーレーで一般の講習会に参加したライダーのなかには、Uターンやクランクで苦戦して、結局「ハーレーを扱いきれない」と自信を失ってバイクライフを楽しめなくなったり、バイクを降りてしまう人もいるという。しかし、ハーレーに特化したこの講習内容なら、そうした不安は皆無だろう。少人数制でしっかり練習できるので、憧れのハーレーを手に入れたものの不安が残る、というライダーに最適だ。
レッスンの終了後には、コーチから講評と総合評価が伝えられ、修了者のレベルに応じてゴールド、シルバー、ブロンズの修了記念証と、ピンバッジが進呈される。ゴールドの授章者は世界でわずか2人とのことなので、ハーレー乗りの皆さんは、ぜひゴールドの取得を目指してスキルライダートレーニングを受講してはいかがだろう。
申し込みは各地のハーレーダビッドソン正規ディーラーで受け付けており、参加料はH.O.G.(ハーレーオーナーズグループ)会員が1万9000円、一般が2万9000円だ(いずれも車両レンタル費は別途)。
(文=小林ゆき/写真=山本佳吾/編集=堀田剛資)
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小林 ゆき
専門誌への寄稿をはじめ、安全運転セミナーでの講習やYouTubeへの出演など、多方面で活躍するモーターサイクルジャーナリスト。ロングツーリングからロードレースまで守備範囲は広く、特にマン島TTレースの取材は1996年から続けるライフワークとなっている。
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