トヨタ・ヴァンガード350S“Gパッケージ”(4WD/5AT)【試乗記】
でっかい弟 2007.12.12 試乗記 トヨタ・ヴァンガード350S“Gパッケージ”(4WD/5AT)……334万9500円(車両本体価格)
トヨタの新型SUV「トヨタ・ヴァンガード」。2.4リッター直4と3.5リッターV6に試乗した。その印象は?
『NAVI』2007年11月号から転載。
RAV4ベースの7人乗りSUV
試乗会の会場に並んだ「トヨタ・ヴァンガード」を見て、「このクルマは何かに似ている、自分はこのクルマをどこかで見たことがある」と思った。沈思黙考、その吊り目が特徴のフロントマスクは、雑誌で見た「VWティグアン」やその兄弟車である「アウディQ3」を連想させるのだった。
てな書き方をするとまるでトヨタがドイツ車のマネっこをしたようですが、1994年デビューの「RAV4」以来、都市型コンパクトSUVは日本のお家芸である。ヴァンガードは、そのRAV4のホイールベースを100mm伸ばし、7人乗りの3列シート仕様を設定したモデル(定員5名の2列シート仕様もあり◯)。3.5リッターのV6と2.4リッターの直4がラインナップされるうち、まずは3.5リッターから乗り込んでみましょう。
内装をぐるっと見まわすと、シートの一部にあしらわれるアルカンタラやインパネの樹脂などに使われる茶色がシックで、黒いインテリアばかり見ている目には新鮮だ。大人っぽくて、よろしいと思います。
5段ATをDレンジに入れて走り出すと乗り心地はしなやかで、舗装の荒れた部分を軽くいなして進んでいく。かといって、速度を上げるとフラフラするということもなく、高速コーナーもナチュラルな姿勢を保ってクリアする。乗り心地と操縦安定性の優れたバランス感覚、このへんも大人っぽいかと存じます。
国内専用仕様
ヴァンガード/RAV4のシャシー開発を担当した第2シャシー設計部の高村俊さんにそのあたりを伺うと、2台の開発は同時に並行して行われたとのこと。ただし、RAV4が欧州への輸出を想定しているのに対し、ヴァンガードが日本国内専用仕様だった。したがって、アウトバーン的な速度域まで想定したRAV4よりも、ヴァンガードの方が低い速度域に照準を合わせている。ショックアブソーバーやバネの設定により、ヴァンガードはタウンスピードでの快適性に重きを置いたという。
2.4リッター直4とCVTの組み合わせも試してみる。こちらも力不足は感じないけれど、V6モデルの「ホロホロ」という乾いたサウンドと、4000rpmから上で盛り上がるパワーを経験した後だとちょっと寂しい。操縦感覚が乗用車ライクなので、エンジンに存在感がないとごくフツーのクルマを運転しているような気になってしまう。個人的にはV6に一票。
全体に、さすがこのセグメントの先駆者であるRAV4の兄弟だけあってよく練られている、というのが第一印象。あと、このセグメントもフォロワーが増えてきて、3列シートとか差別化が大変だな〜、というのが第二印象。
(文=サトータケシ/写真=峰昌宏/『NAVI』2007年11月号)

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】 2025.10.20 「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
アウディQ5 TDIクワトロ150kWアドバンスト(4WD/7AT)【試乗記】 2025.10.16 今やアウディの基幹車種の一台となっているミドルサイズSUV「Q5」が、新型にフルモデルチェンジ。新たな車台と新たなハイブリッドシステムを得た3代目は、過去のモデルからいかなる進化を遂げているのか? 4WDのディーゼルエンジン搭載車で確かめた。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。