トヨタ マイナーチェンジ車試乗会(クラウン/ノア/ヴァンガード)【試乗記】
気に入ればチャンス 2010.06.15 試乗記 トヨタ・クラウン2.5ロイヤルサルーン/ノア X “Lセレクション”(7人乗り)/ヴァンガード240S“Sパッケージ”(7人乗り)……427万3900円/303万5000円/291万8200円
トヨタ車がこぞってマイナーチェンジ。メーカーは“買わなきゃ損”と自信を見せるが……? 『webCG』のコンドーと関がチェックしてみた。
お化粧直しただけじゃない
コンドー(以下「コ」):今日は、トヨタの一押しモデルを試せるて聞いたんやけど?
関(以下「せ」):それがこちら、「いつかはクラウン」です!
コ:……“いつもの”クラウンやん。
せ:今年の2月に、いろいろと手直しされたんですよ。
コ:見た目がちょっと変わったのはわかる。バンパーやフォグランプの形が、「ロイヤル」も、走りの「アスリート」も、いままでとは違ってる。
せ:それぞれ外観を一段と“らしく”して、お互いの差別化を図ったそうです。
コ:ハイブリッドは、いままでアスリートっぽかったのに、ロイヤルみたいなってる……。
せ:社用車として使われることが多いので、ロイヤル顔のほうがふさわしいというわけ。でも、実は専用のブレーキ冷却ダクトがあったり、ハイブリッドのはオリジナル外装なんですよ。
コ:で、化粧直しだけ? ほかにアピールできる変化は?
せ:ずばり、減税です!
コ:……そのモノマネ、年齢制限あるねんで。で、こども店長、燃費はそんなによくなったんか?
せ:2.5リッターのFRモデルだけですが、10・15モードの燃費値が12.0km/リッターから12.4km/リッターに増えました。
コ:15km/リッターくらいいってくれると、けっこうインパクトあるねんけどなぁ……3%増しじゃなぁ。
せ:その3%に加えて、さらに今回、ハイオク仕様からレギュラー仕様になったおかげで、リッターあたり約10円、7%のコストダウン。
コ:合わせて、ガス代が約1割おトク。となると、大きいな! エンジン載せ替えたん?
せ:基本的に同じですが、パーツの見直しでフリクションロスを減らしたり、ATの制御を変更した結果だそうです。なかでも、オルタネーター(発電機)の制御を改めてエンジンの回転抵抗を減らしたのが大きいとか。
コ:エンジンの回転力使って発電する部品やろ? そんなに大事なもんやろか。
せ:今回から、バッテリーの充電状態をより細かくチェックして、不要なときはこまめにオルタネーターへの動力伝達をオフ。ちょっとでもロスをなくそうってわけです。
コ:細かい努力の積み重ねで、まだまだ省エネできるんやな。でも、2008年2月にデビューした時点で、そうしといてほしかったよな。
せ:やはり、2009年4月から始まった、「エコカー減税」が追い風でしょう。今回の燃費改善で、クラウン(2.5リッターFR車)の自動車税と重量税、半額ですよ。いきなり11万8900円も安くなっちゃって。
コ:かなりグッとくる数字になってきた! でも、燃費の数字ばかり意識して、走りがショボなってたら本末転倒。実際はどうなんやろ?
キャプテンシートもおトクにゲット
せ:「シューン!」と胸のすくような加速は、さすがV6の味。
コ:2.5リッターは、クラウンでは“一番小さいやつ”やけど、もう十分過ぎるくらい速い。
せ:べつに燃料絞ったわけじゃなし。今回のカイゼンはファインチューンの王道ですからね。いままでとの違いまでは実感できませんが。
コ:それと、この操作系の軽さ。ヘンに力まなくてすむのは、変わらぬ美点やね。
せ:ドイツ車の良さとはまた違った、クラウンならではの「お茶の間」感とでもいいますか。
コ:逆にいえば、「いいクルマ乗ってる!」ていうよろこびが薄い。お茶の間のわりには、やっぱりセダンは狭い感じがするし……。
せ:実は、もっとくつろげるトヨタ車も、今年の4月から「エコカー減税」の対象になってます。
コ:それを早く言いいや。でも、もっと広いセダンて、いまトヨタ車にあったっけ?
せ:セダンじゃなくて、ミニバン。「ノア」と「ヴォクシー」の兄弟です。
コ:これはまた……“いつもの”どころか、“いつかの?”って感じやな。現行型がデビューしたの、2007年の6月やろ。
せ:いままで、エンジンは2種類の2リッターユニットから選べましたが、今回から一本化されたんです。
コ:パワー控えめなん(143ps、19.8kgm)がなくなって、可変バルブリフト機構のあるハイパワー版(158ps、20.0kgm)だけになったわけか。
せ:こちらはエンジンとCVTの制御を変更して、燃費向上。自動車税と重量税は、いっきに75%(=計11万8900円)減免です。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
コ:下からトルクあって、とくに不満はないね。逆にこれ以下やと、たしかに1600キロある車体だけにツライかもしれん。ところで「ノア/ヴォクシー」って、2列目はベンチシートやなかったっけ?
せ:それも、今回一押しの変更点です。兄貴分の「エスティマ」じゃ、2-2-3の7人乗り仕様のほうが売れてるので、こちらにもキャプテンシート車を追加したそうです。
コ:まっすますくつろげるやん。お茶の間いうよりは、ちょっと洋風なラウンジやがな……ところで、こっちのシャコタン仕様もマイチェンモデルかいな?
せ:2週間後の6月30日に発売予定の「G SPORTS」シリーズです。車高が30mm低くなっているのは、専用サスのせい。エアロパーツもセットになった、トヨタのコンプリートカーなんですよ。
コ:ちょっと“いまさら”な感じがするけど? それに、スポーティなシリーズもんで、いきなりミニバンはないやろ。
せ:特別感のあるスポーツカーより、身近なミニバンのほうがコンセプトをわかってもらいやすい、という意図があるそうです。ドアまわりのスポット溶接箇所を増やしたり、ノーマルよりもかなり手が入ってますから。
コ:そりゃ、期待できそうや!
拡大
|
拡大
|
タイムセールは期限付き
コ:……と思ったのに、えっ、今回はまだ試乗はダメなん? ガッカリ。
せ:ノーマルのノア/ヴォクシーと同じラインで造ることで、街のショップでパーツを組んだ場合の、約半額で仕上がってるそうですよ。
コ:コンプリートカーでもおトクさを打ち出すあたり、さすがトヨタ。でも、いまはエコカー減税のほうが気になるなぁ。こっちのSUVも引いてくれるんやろか?
せ:「ヴァンガード」の2.4リッターFF車? もちろんお安くなってます! ……って、まだデビューから2年も経ってないんですけどね。
コ:2007年8月に4WDだけで発売されて、FFが出たんは1年後の2008年8月やったやろ。これも、フロントまわりが変わったみたいや。
せ:ほとんど間違い探しレベルです。むしろ、クラウン同様、オルタネーターの制御変更がポイントで。
コ:10・15モードの燃費値は13.2km/リッター……ってことは、0.2km/リッター増えただけやん。
せ:それでも、減税額は12万8500円ですからね。めちゃくちゃでっかい。
コ:おカネのことはさておき、ヴァンガード、なかなかの走りや。ハンドリングは素直やし、乗り心地も今日乗ったなかで一番いい。
せ:実物はけっこうコンパクトなんですよね。適度に高めのアイポイントも安心できる。そこそこカッコいいし。意外といっちゃ失礼だけど、秀才だと思います。
コ:でも、いまいち存在感薄いねん。もったいない。今回の減税でちょっとはスポットライト当たったらいいんやけどな。
拡大
|
拡大
|
せ:「クルマはマイナーチェンジ後が買い」なんて、よく言われるところだし。クラウンも、ノア/ヴォクシーも、気になるモデルがあったなら、いまはまたとないチャンスかも。
コ:エコカー減税て、今年の9月いっぱいで一区切りやろ?
せ:駆け込み需要をねらって、あわただしくニューモデルを準備してるメーカーもちらりほらりとあるようで。
コ:新車購入を考えているひとには、うれしくも悩ましい3カ月になりそうや。あーうらやましい!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=webCG)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。































