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【スペック】全長×全幅×全高=4570×1855×1690mm/ホイールベース=2660mm/車重=1720kg/駆動方式=4WD/3.5リッターV6DOHC24バルブ(280ps/6200rpm、35.1kgm/4700rpm)/価格=334万9500円(テスト車=370万6710円)

トヨタ・ヴァンガード350S“Gパッケージ”(7人乗り)(4WD/5AT)【ブリーフテスト】

トヨタ・ヴァンガード350S“Gパッケージ”(7人乗り)(4WD/5AT) 2007.12.21 試乗記 青木 禎之 ……370万6710円
総合評価……★★★

「アクティブ&ラクシャリー」がテーマの新型SUV「トヨタ・ヴァンガード」。7人乗りの最上級グレードで走行性能を試す。
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余裕ある「RAV4」

「トヨタ・ヴァンガード」は、輸出用ロングボディの「RAV4」に「カムリ」風フェイスを与えたモデル。ホイールベースは国内版「RAV4」より100mm延長され、235mm長いボディが載せられた。延びた寸法を活かし、5人乗りに加え、サードシートをもつ7人乗りモデルもラインナップ。RAV4の上級車種として、当面「クルーガーV」のポジションをも受け持つ。
テスト車の350Sは、3.5リッターV6を搭載した上級グレードにしてサードシートを備える7人乗り。Gパッケージは、「本革+アルカンターラ」のシートをもつ豪華版だ。

ヴァンガード(先兵・先遣隊)という勇ましい名前をもつが、三河のそれは、むしろ穏やかな街乗りSUV。1700kg前後と決して軽くない重量ながら、280ps、35.1kgmのアウトプットで余裕綽々な走り。ロングドライブを得意とする。
ミニバンユーザーもターゲットにするヴァンガード。とはいえ、収納可能な3列目のシートに過剰な期待はしないほうがいい。見かけほど人道的……否、実用的ではない。先遣隊に無理は禁物。スペース、動力性能とも、あくまで“余裕あるRAV4”と考えたほうが無難だ。

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【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
2007年8月30日デビュー「ヴァンガード」は、「クルーガー」に代わる中型SUV。クルーガーが「ハリアー」と姉妹車だったのに対し、ヴァンガードは「RAV4」とプラットフォームを共用する。RAV4より全長が長く採られ、2列シートの5人乗りのほか、3列シートの7人乗りも用意される。ボディサイズは、全長×全幅×全高=4570×1855×1690mm。
エンジンは、2.4リッター直4(170ps、22.8kgm)と、3.5リッターV6エンジン(280ps、35.1kgm)の2種類。それぞれCVTと5段ATが組み合わされる。駆動方式は4WDに限られ、いずれのグレードにも電子制御のアクティブトルクコントロールが備わる。

(グレード概要)
テスト車は3.5リッターV6モデルに、本革+アルカンターラ内装、パワーシートやシートヒーターなどの上級装備を与えた“Gパッケージ”。最上級モデルだ。7人乗りは、3列目に床下格納機構付き5:5分割可倒式シートが備わる。
オフロードでの走行で活躍する、4WDロックモードも標準装備される。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
「UVカットガラス」「オプティトロンメーター」「保冷機能付きグローブボックス」など装備充実。初見でも使いやすいナビは34万200円のオプショナル。ヘアライン調のスクラッチが入れられた“ブロンズ調”の樹脂パネルは好き嫌いがわかれよう。
使い勝手に配慮された各種操作系のなかにあって、エアコンのコントローラーはいただけない。温度と風量を、別々の丸形スイッチにまとめているため、迷う。慣れの問題ではあるまい。「AUTO」で使いなさい、ということか。

(前席)……★★
ボディサイズのわりに、クッションの前後長が控えめなヴァンガードのシート。Gパッケージには「本革+アルカンターラ」(シートヒーター付き)、標準の350Sには「ファブリック」の生地が用意される。
座り心地は硬めで「しかし疲れにくい」……というわけでは、残念ながらなかった。ユーザーの想定体重が重めに設定されたためか(?)60kgのリポーターでは座面がオシリの形状にフィットせず、狭い部分に体重が集まりがち。十分に面として分散されなかった。

(2列目)……★★★★
左右を別個にリクライニング、スライドさせることができる後席。テスト車の場合は、セカンドシート。足をのばしてリラックスできる。
輸出モデルがベースなためか、センターシートにもヘッドレスト、3点式シートベルトを備える。5人乗りの場合、2列目に3人並ぶか、一人は3列目を使うべきか、迷うところだ。
なお、ヴァンガードの後席は6:4の分割可倒式。シートバックを倒すとともにシート全体が沈むので、フラットな床のまま荷室を拡大できる。

(3列目)……★★
スペアタイヤを廃止した恩恵で、荷室の床にキレイに収納できる3列目シートが実現した。使う際に引き出すのも容易だ。スペースはじめ、静的な観察では意外と実用的に思われるが、さにあらず。
低い座面。そのうえつま先の行き場がないため、足を深く折らないといけない。走り出せば、リアタイヤからの振動が直に伝わってくる感じ。乗員は後輪の真横に位置し、走行中はクルマならぬタイヤとの一体感を得られる。うれしくないことに。
老齢の方には乗り降りがツライだろうし、子供は酔いがちになろう。ヴァンガードのサードシートは、心身ともに健康な大人が堪え忍ぶべき場所だ。

写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
トヨタ・ヴァンガード350S“Gパッケージ”(7人乗り)(4WD/5AT)【ブリーフテスト】

(荷室)……★★★
「サードシートを使えば荷室が足りず」というこの手のクルマの物理的欠点はもちろん克服できない。しかし変化自在なシートアレンジによって、キャビン/ラゲッジルームの割合を、軽い操作によって、気軽に買えることができる。サードシートがスムーズに床下に収納されるさまは驚くばかり。ショールームでのアピール度は高かろう。
3列目を使わなければ、540リッター(VDA法)の荷室容積を確保。大型スーツケースを4個搭載できるという。ダブルウィッシュボーンながら、コンパクトで、ショックアブソーバーの上方への突き出しを抑えたリアサスペンションが利いている。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
RAV4の兄貴分として、2.4リッター直4(170ps、22.8kgm)に加え、3.5リッターV6(280ps、35.1kgm)を用意する。トランスミッションは、前者がCVT、後者は5ATとなる。
吸排気とも連続可変バルブタイミング機構「Dual VVT-i」を備えたV6は、トルキーで使いやすい。5段ATとのマッチングもいい。100km/h巡航では1750rpm付近で粛々と回る。長距離を行くことが多いユーザーには、ありがたい余裕だ。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★
最近のトヨタ車の例に倣って、意外に硬めの乗り心地。舗装の悪い市街地では気になることがあるが、一方、高速道路や山道では、しっかりしていて好ましい。「それなりに人員、荷物を積んで遠くに出かける」といった使い方をターゲットにしているのだろう。
ヴァンガードの4WDシステムは、前輪駆動をベースに、必要に応じて後輪にトルクを伝えるタイプ。いうまでもなく本格的なオフロード走行より、悪天候に対応するためのもの。とはいえ、V6モデルには前後を直結する「LOCKモード」が備わるので、泥濘地や砂地でうっかりスタックしたときなどに心強い。

(写真=郡大二郎)

【テストデータ】

報告者:webCG青木禎之
テスト日:2007年9月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:1393km
タイヤ:(前)285/60R18(後)同じ(いずれも ダンロップAT23 グラントレック)
オプション装備:HDDナビゲーションシステム(34万200円)/ETCユニット(1万7010円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:119.6km
使用燃料:16.29リッター
参考燃費:7.34km/リッター

青木 禎之

青木 禎之

15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。

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