三菱ギャラン・フォルティス SPORT NAVI PACKAGE(FF/CVT)【ブリーフテスト】
三菱ギャラン・フォルティス SPORT NAVI PACKAGE(FF/CVT) 2007.12.10 試乗記 ……252万円総合評価……★★★★
デザインはもちろんエンジンやサスペンションも一新され、よりスポーティになった新型セダン「ギャラン・フォルティス」。スポーティグレードでその走りを試す。
期待を裏切らない
“7年ぶりの新型セダン”ということもあって、その仕上がり具合が注目される「ギャラン・フォルティス」。先代にあたる「ランサー(セディア)」のデビューは2000年の5月ことで、その直後から、一連のリコール隠し問題の発覚やら、ダイムラー・クライスラーグループとの提携、そして、提携の解消など、まさに激動の日々を送ってきた三菱自動車。その経験は少なくとも新たに世に送り出される製品にはプラスに働いているようで、「コルト」以降のニューモデルを見れば、三菱のクルマづくりに対する真面目な姿勢が伝わってくる。
このギャラン・フォルティスも、セダンとしての基本性能を磨き上げたという点では、期待を裏切らない。人目を引くような目新しい技術こそないが、ステアリングを握ればボディのしっかり感や落ち着いた乗り味など、いい意味で日本車の枠をはみ出した、骨太なクルマに仕上がっているのがわかる。それで、装備や価格は同クラスのライバルに十分太刀打ちできる内容だから、これからこのサイズの日本車を買おうという人には、候補のひとつに加えておくことをお勧めする。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
三菱自動車にとっては、2000年5月に発売した「ランサーセディア」以来、実に7年ぶりの新型セダン。2005年に販売が終了した伝統ある「ギャラン」の名が与えられ「ギャラン・フォルティス」となった。
全長×全幅×全高=4570×1760×1490mm、ホイールベースは2635mm。先代ギャランと比較すると、全長を短くし、車高は高められ、幅を広げられた。
エンジンは新開発の2リッター直4DOHCで、駆動方式はFFと4WDの2種が用意される。トランスミッションには6段のマニュアルモード付きCVT「INVECS-III」を採用。スポーティグレードの「SPORTS」にはマグネシウム合金製のシフトパドルが備わる。
(グレード概要)
グレードは主に内外装の違いで、ベーシックな「EXCEED」、上質な「SUPER EXCEED」、スポーティな「SPORTS」の3種類。テスト車は「SPORTS」にHDDカーナビなどを与えた「NAVI PACKAGE」。「SPORTS」は、ディスチャージヘッドランプ、AFS、フロントフォグランプ、プライバシーガラスなどが標準装備。専用チューニングされたスポーツサスペンションに加え、その他のグレードより2インチ大きい18インチタイヤを履く。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
シンプルな面で構成されるインパネは、艶のあるメタル調パネルがアクセントになり、落ち着きのある雰囲気をつくりあげている。スイッチ類はシンプルにまとめられていている。使い勝手は悪くない。ダッシュボードの質感もまずまずだが、ドアトリムのブラスチックパーツが安っぽく、せっかくの上質感に水を差している。
メーターは、スポーティなイメージを後押しする2眼タイプで、燃料計や水温計は“マルチインフォーメーションディスプレイ”と呼ばれる中央の液晶パネルに表示される。試乗車はライン装着のナビシステムがつくモデルだが、時計がナビ画面隅に小さく表示されるだけというのは少し不便。マルチインフォーメーションディスプレイにも表示できるようになると助かるのだが。
(前席)……★★★
標準のファブリックシートは、サイドサポートが大きなスポーツタイプだが、見た目に反して座り心地はソフトで、背中をしっかり受け止めてくれる。バックレスト、クッションともに幅には余裕があるが、私の体型だと腰のあたりのサポートが足らず、ランバーサポート機能がほしいところだ。
運転席にはシートリフターが付くが、ステアリングはチルト調整のみで、テレスコピック調整がないのは、最適なシートポジションを採るうえではやや不満だ。パドルシフトはDレンジのままでも使えるタイプで、エンジンブレーキが必要なときなどは重宝する。
(後席)……★★★
前席同様、ソフトな座り心地の後席。前席の下に余裕で爪先が入るが、そこまで足を伸ばさなくても自然な姿勢がとれるくらい足元は広い。一方、頭上は並みの広さだが、オプションのスライディングルーフがつく試乗車ではやや圧迫感を覚えた。
シートの中央部はバックレストを引き出してカップホルダー付きのアームレストとして利用できる。そのため、座るには硬いが、日本仕様でもヘッドレストと3点式シートベルトがそのまま残されるのは良心的だ。
(荷室)……★★★★
トランクリッドにはボタン式のオープナーがあり、リモコンキーを携帯していればここを押してロックの解除が可能。それはそれで重宝ではあるが、リモコンキーの有無にかかわらず、開けられるタイプのほうが便利ではないか? トランクリッドは、ヨーロッパ車によく用いられるダブルヒンジで支持するつくりで、トランク内の荷物に干渉しないのがいい。
トランクは奥行き、幅、高さともに十分で、必要に応じて後席を倒すことで収納スペースが広がるのもうれしい機能だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ギャラン・フォルティスの2リッターユニットは、アウトランダーの2.4リッターを86mmまでショートストローク化するとともに、ボアも少し小さい86mmとしたスクエアなエンジンで、アウトランダー同様、CVTが組み合わされる。出足はスムーズで、低速では余裕も感じられるが、ある程度回転が上がると、排気量相応といった印象。不満はないが、感動もない。加速時にパワートレーンが発するノイズが大きめなのが気になる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
最上級グレードのSPORTには、標準で215/45R18サイズのタイヤとスポーツサスペンションが装着される。舗装が悪いところでは多少ドタバタするが、不快なショックは上手く遮断されていて、十分快適なレベルに収まっている。乗り心地は、一般道から高速までフラットで落ち着いており、ドイツ車的な重厚さが感じられた。別の機会に205/60R16を履く「SUPER EXCEED」を試すことができたが、こちらならさらに快適な乗り心地である。
パワステはごく普通の油圧式で、最近のクルマとしては操舵力が重め。直進時の舵のすわりはよく、中立付近のレスポンスも悪くない。コーナーでは「SPORT」というほどシャープな印象はないが、比較的軽快に向きを変えるよう調教されたサスペンションのおかげで、ワインディングロードのドライブは意外に楽しい。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年9月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:3887km
タイヤ:(前)215/45R13 89V(後)同じ(いずれも、ヨコハマアドバンA10)
オプション装備:キーレスオペレーションシステム+オートライトコントロール+雨滴感応オートワイパー(3万1500円)/SRSサイド&カーテンエアバッグ(8万4000円)/ASC(8万4000円)/電動チルト&スライドガラスサンルーフ(9万4500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:330.7km
使用燃料:39リッター
参考燃費:8.47km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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