「トヨタ86」レースデビュー 〜全日本ラリーの舞台から
2012.04.09 画像・写真2012年4月6〜8日、全日本ラリー選手権(JRC)の開幕戦となる「ツール・ド・九州 in 唐津」が開催された。同イベントには、発売されたばかりの新型スポーツカー「トヨタ86」も参戦。その戦いぶりを、写真とともに紹介する。
(文と写真=廣本 泉)

2012年の全日本ラリー選手権(JRC)に、トヨタのFRスポーツカー「86(ハチロク)」が登場。2012年4月6〜8日、佐賀県唐津市を舞台に争われた開幕戦「ツール・ド・九州 in 唐津」でデビューを飾った。カラーリングは、ニュルブルクリンク24時間耐久レースの「レクサスLFA」と同様に、GAZOO Racingカラーだ。
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2012年の全日本ラリー選手権(JRC)に、トヨタのFRスポーツカー「86(ハチロク)」が登場。2012年4月6〜8日、佐賀県唐津市を舞台に争われた開幕戦「ツール・ド・九州 in 唐津」でデビューを飾った。カラーリングは、ニュルブルクリンク24時間耐久レースの「レクサスLFA」と同様に、GAZOO Racingカラーだ。
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「トヨタ86」の参戦クラスは、1500cc〜3000ccのJN3クラス。ちなみにJRCでは改造範囲が厳しく制限されていることから、マフラーに関しても純正パーツが採用されている。
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エンジンもほぼノーマルの状態。とはいえ、コンピューターのチューニングが施されるほか、オイルクーラーの装着で冷却性能が高められるなど、細かいところは競技用にアレンジされている。
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車内には、16点式のロールケージが張り巡らされる。シートはレカロ製だ。ダッシュボードやインパネはベース車両の純正パーツを使用。助手席側にはラリーコンピューターが装着されている。
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軽量化の結果、フロントヘビーの状態となったことから、スペアタイヤをリアの後端に配置。前後バランスの最適化が図られている。ちなみに車両重量は1246kgだ。
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ダンパーはビルシュタインのものをベースに開発された「el SPORT(エル・スポーツ)」で、アイバッハ製のスプリングが組み合わされる。ブレーキキャリパーはブレンボ製の試作モデルが採用されている。
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駆動軸となるリアの足まわりは、ダブルウィッシュボーン形式。3000rpmで最大トルク(20.9kgm/6400-6600rpm)に近づくエンジン特性をもつだけに、トラクションを生かしたセッティングがポイントとなっている。
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エクステリアにおける最大の変更点がボルテックス製のリアウイングだ。これにより空力性能が向上。高速ステージでのダウンフォースの増大が期待されている。
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ターマック(舗装路)の今大会では、BBS製の17インチホイールを採用。第2戦以降のグラベル(未舗装路)戦ではレイズ製の15インチホイールが採用される予定となっている。
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開幕戦に合わせて「トヨタ86」を投入したのは、JN4クラスで4度のタイトルを獲得しているJRCの名門「ラック」だ。第3戦の福島にはAPRC(アジアパシフィックラリー選手権)で活躍するキャロッセも「86」を投入する予定。
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ラックのドライバーとして「86」のステアリングを握ったのは、これまで「ホンダS2000」を武器にJN3クラスで活躍してきた筒井克彦。唐津のワイディングを知り尽くした、地元のスペシャリストだ。
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開幕戦のツール・ド・九州は「86」発売日の4月6日にスタート。注目の「86」も数多くのギャラリーに見守られるなか、唐津神社で行われたセレモニアルスタートで、JRC挑戦の第一歩を踏み出した。
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今回「86」は3位入賞を目標に掲げていたものの、熟成不足は否めずに苦しい展開。筒井によれば「アンダーステアが出て思うように走れなかった」とのことで、デイ1をクラス4番手でフィニッシュした。
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リアの車高を調整するなどセッティング変更を試みるものの、筒井の駆る86はペースアップを果たせずにステージを消化。注目のデビュー戦はクラス6位に終わることとなった。
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激戦のJN3クラスでは「ホンダ・インテグラ」を駆る眞貝知志が開幕Vを達成。眞貝によれば「新しいパーツはないけれど、セッティング次第ではまだまだインテグラでも戦える」とのことだ。
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2位入賞は「トヨタ・セリカ」の曽根崇仁。「ECUのセッティングでトルクバンドが広くなったけれど、クルマとしては限界かも」とのことで、「86」へのスイッチを検討中のようだ。
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JN3クラスには「トヨタ86」のほか、「ホンダ・インテグラ」「ホンダS2000」「トヨタ・セリカ」「トヨタ・カローラレビン」など数多くのマシンが参戦。写真の「ロータス・エキシージ」や「プロトン・サトリアネオ」など輸入車の姿も見られる。
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3000cc以上の最高峰クラス、JN4クラスではラックのエース、勝田範彦が「スバル・インプレッサWRX」を武器に圧倒的な強さを発揮。3年連続チャンピオンに向けて、幸先のよい開幕Vを達成している。
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1400cc〜1500ccの二輪駆動車で争われるJN2クラスも「ホンダ・フィット」や「トヨタ・ヴィッツ」、「マツダ・デミオ」などの国産コンパクトハッチが集う激戦区だ。開幕戦は「フィット」を駆る丹羽和彦が勝利を飾っている。
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1400cc以下のJN1クラスには、「日産マーチ」や「ダイハツ・ストーリア」がエントリー。「マーチ」を駆る小泉茂が圧倒的な強さで開幕戦を制した。