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試乗の舞台はスペイン・バレンシアサーキット。1周4.051km、左回りのレイアウトをとる。
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センターモノコックはカーボン製。サイドシルにその地肌がのぞく。センターコンソールがなだらかな傾斜を描くコックピットデザインは「カレラGT」に通じている。
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メーターは3眼式。中央のタコメーターの周囲には「パワーメーター」が配置されており、上半分(白色LED)がエンジンの出力を、下半分(緑色LED)がモーターの出力や回生状態を、それぞれ示すようになっている。
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センターコンソールの上段には縦長の7インチタッチパネルが置かれる。その下もタッチパネルとなっており、オーディオやエアコンなどのスイッチ類が配されている。
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可動式の大型リアスポイラー、カーボン製のディフューザー、そして大胆な造形のエアアウトレットが、リアビューにただならぬ迫力を与えている。
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キャビンの背後に4.6リッターV8自然吸気エンジン(608ps)とモーター(156ps)を、フロントアクスル上にもう1基のモーター(129ps)を置く4WDレイアウトをとる。システム総出力は887psに達する。
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重量物をホイールベース間の、低い位置に搭載していることを示すイラスト。赤く示されているコンポーネントは、前からフロントモーターユニット、駆動用リチウムイオンバッテリー(単体重量138kg。上部に70リッターの燃料タンクが置かれる)、そしてリアモーターユニット。前後輪の静的重量配分は43:57。エンジンの搭載位置の低さに注目。
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エンジンのVバンクの外側が吸気、内側が排気となっており、それをボディー上方へ排出するという珍しいレイアウトを採用する(エンジンフードの両側にある丸い穴がエキゾーストパイプ)。その最大の目的は冷却性の向上という。
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ステアリングホイールの右スポーク下に、ドライブモード選択用のロータリースイッチが備わる。黒いダイヤルで4つのモードが選べ、「レースハイブリッド」選択時に赤いボタンを押すと、最高出力に達する「ホットラップ」モードに入る。
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後輪には、最近ポルシェが積極的に採用しているステア機構が備わる。電気機械式アクチュエーターを用い、最大操舵(そうだ)角は3度。50km/h未満で前後輪を逆位相に、80km/h以上で同位相に切る。
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さらなる軽量化を施した「ヴァイザッハパッケージ」も用意される。古きよき時代のポルシェのレーシングカーをほうふつとさせるカラーリングが施されているのが特徴で、有名なマルティニカラー(写真)のほか、ザルツブルグカラーを連想させるものも用意される。
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「ヴァイザッハパッケージ」の(カラーリング以外の)外観的特徴は、ルーフやリアウイング、ドアミラーなどが無塗装のカーボンとなること。また、ホイールがマグネシウム製となる。全体で約40kgの軽量化が施される。
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フロントフードの下にはラゲッジスペースが用意される。容量は110リッター(VDA法)。
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タイヤサイズは前が265/35ZR20で、後ろが325/30ZR21。ブレーキはポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)が標準。
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2011年5月に受注が開始され、日本割り当て分はすでに完売という。ちなみに日本での価格は68万4800ユーロ(ユーロ建てのみの価格設定。現在のレートである1ユーロ=140円で計算すると約9600万円)とされた。
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ポルシェ918スパイダー
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約40kg軽量化される「ヴァイザッハパッケージ」装着車には、かつてのレーシングカーを思わせるカラーリングが施される。これは1970年にルマン24時間レースを制した(ポルシェにとって同レース初の優勝だった)、ポルシェ・ザルツブルグの「917K」を想起させるもの。
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「918スパイダー」のコックピットを助手席側から見る。運転に関係する操作系はステアリングホイールとメーターまわりに、いわゆるインフォテインメントに関するスイッチ類はタッチパネルを用いたセンターコンソールに、それぞれまとめられている。
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カーボンファイバー強化プラスチック製の軽量バケットシートが装着される。高さは電動調整が可能だが、バックレストの角度は調整ができない。
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「918スパイダー」には、フロントモーター、エンジンおよびリアモーターという3基パワーユニットが搭載される。エンジンは4.6リッターの自然吸気V8で、リッター当たり132psという比出力をほこる。クランクピンオフセットが180度の、シングルプレーン(フラットプレーン)クランクシャフトを備え、レーシングカーさながらのエキゾーストノートを放つという。乗員の背後に置かれる全幅いっぱいのコンポーネントは駆動用バッテリー。
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ストリップダウンされた「918スパイダー」。カーボンファイバー製のセンターモノコックからアルミのユニットキャリアが前方に伸び、さまざまなコンポーネントが隙間なくぎっしりと配置されているのがわかる。
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ネット状のエンジンカバーを外してもエンジン本体は見えず、上方排気のエキゾーストノートシステムが現れるばかり。
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バンク角90度のV8エンジンは、シリンダーバンクの内側に排気、外側に吸気と、通常とは逆のレイアウトをとる。高温に達する排気系を内側に配置することで、エンジンルーム内の温度を抑える効果があるためだ。こうすることで、リチウムイオンバッテリー(20~40度の温度で最大限の性能を発揮する)を過剰な熱から守ることができ、バッテリーの強制冷却に必要なエネルギーを小さくすることもできるという。
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フロントアクスルのハイブリッドモジュール。
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リアハイブリッドモジュール(写真左方)とPDKトランスミッション。PDKは低重心化のために、上下180度ひっくり返した状態で搭載されている。
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駆動用バッテリー。プラグイン充電方式が採用されており、充電ポートはボディー右側のBピラーに配置されている。
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後輪にはステアリング機構が備わる。リアホイールの最大操舵(そうだ)角は3度。
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カーボンファイバー製のセンターモノコックの背後には、同じくカーボン製のエンジンマウント用フレームが組み付けられている。リアサスペンションはそこに装着される。
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ネット状エンジンカバーの下端にあるリッドを上げると、エンジンオイル・フィラーキャップが現れる。
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黄緑に縁取られた「918スパイダー」のネームバッジ(車体後端部)。
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シートのヘッドレストには車名の刺しゅうが入る。
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さまざまな機能が集約されたマルチファンクション・ステアリングホイール。
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4灯のデイタイムランニングライトを備えたフルLEDヘッドライト。
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ステアリングコラムの右側(センターコンソールの左脇)にPDKのセレクターが配置される。
『ポルシェ918スパイダー(4WD/7AT)【海外試乗記】』の記事ページへ戻る