「ランチア・ランチ 2015」の会場から
2015.10.22 画像・写真2015年10月18日、神奈川県大磯町の大磯ロングビーチで「ランチア・ランチ 2015」が開かれた。これは、「ランチア・クラブ・ジャパン」の総会として、毎年開催されているオーナーズミーティング。ここ数年は“走りモード”のときは、ジムカーナ会場として知られる大磯ロングビーチ、車両展示中心の“まったりモード”のときは静岡県裾野市にある緑に囲まれた帝人富士教育研修所といった具合に、会場を使い分けている。
今回は、フィーチャーカーが今年生誕40周年を迎えたミドシップクーペの「ベータ・モンテカルロ」と20周年を迎えた「デルタHFインテグラーレ」の最終限定車である「コレツィオーネ」ということで、会場は大磯ロングビーチ。それらのフィーチャーカーをはじめ、約80台の歴代ランチアが集まった。好天に恵まれた会場で、開会式に続いて行われたのは、恒例のランチア・タクシー。希少なモデルに同乗して会場をひとまわりという、よそでは体験できないプログラムである。
イベント名に掲げられているランチを楽しんだ後には、大磯ならではのプログラムであるジムカーナを実施。ただし参加者を3チームに分けての団体戦で、またコースには教習所のような方向転換を設けるなどゲーム的な要素を盛り込み、みんなで楽しめるよう工夫されていた。参加者の笑顔と歓声に満ちていた会場から、リポーターの印象に残ったモデルとシーンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

右側は1949年「アルデア・スポルト」。戦前の39年から53年まで作られた、V4エンジン搭載の小型サルーン「アルデア」をベースとするワンオフのスペシャルである。50年、51年のミッレミリアとタルガ・フローリオに出走歴があり、イタリアはブレシアにあるミッレミリア博物館の展示車だったという。左側は「アルデア・ピックアップ」。1982年から98年までランチアの正規輸入代理店を務め、その後も長らくランチアを扱っていたガレーヂ伊太利屋のデモカーである。
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右側は1949年「アルデア・スポルト」。戦前の39年から53年まで作られた、V4エンジン搭載の小型サルーン「アルデア」をベースとするワンオフのスペシャルである。50年、51年のミッレミリアとタルガ・フローリオに出走歴があり、イタリアはブレシアにあるミッレミリア博物館の展示車だったという。左側は「アルデア・ピックアップ」。1982年から98年までランチアの正規輸入代理店を務め、その後も長らくランチアを扱っていたガレーヂ伊太利屋のデモカーである。
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前列に並んだ8台は、今回のフィーチャーカーの一台である、今年生誕40周年を迎えたミドシップクーペの「ベータ・モンテカルロ」(1980年にマイナーチェンジ受けた際、単に「モンテカルロ」に改称)。
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「ベータ・モンテカルロ」の「ベータ」は、当時のランチアの、主力モデルの名称。「モンテカルロ」は、「ストラトス」が1975年のモンテカルロラリーで勝利をおさめたことにちなんで命名された。コードネームはX1/20で、「フィアットX1/9」の上級版として開発された経緯を持つ。
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エンジンリッドは横開き式。エンジンは2リッター直4 DOHCだが、シングルキャブ仕様でチューンは120psとおとなしい。この個体は1980年当時ランチアの輸入元だった東邦モーターズが入れた、二十数台のうちの一台で、新車からのワンオーナー車である。
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ランチア・タクシーに参加した前出の「モンテカルロ」。
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貴重なクラシックもランチア・タクシーに参加した。これは1951年に世界で初めて“GT”を名乗った「アウレリアB20 2500GT」。2.5リッターV6エンジンを積む。
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1950年代後半から60年代末にかけてフラッグシップとして君臨した「フラミニア」シリーズの最強モデルとして64年に登場した「フラミニア・スペルスポルト」もタクシーに。ザガート製アルミボディーに2.8リッターV6エンジンを搭載、生産台数はわずか187台。
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「アルデア・スポルト」も、希望者を乗せてバンバン走っていた。世界に1台しかない希少車にもかかわらず、オーナー氏からは「普段もけっこう乗ってますから、まったく問題ないですよ」という男前な発言が。
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おそらく日本に1台であろう「アルデア・ピックアップ」も負けてはいられない? というわけではないだろうが、タクシーに参加。
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列をなして待つ客を次々と乗せては、豪華なラインナップのタクシーキャブが発車していく。
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タクシーの中でも特に人気が高かった、すばらしいコンディションの「ストラトス」。「ディーノ246GT」用と基本的に同じフェラーリ製2.4リッターV6エンジンをミドシップ。
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1981年のスペインラリー選手権のチャンピオンマシンという、ロスマンズカラーに塗られたグループ4仕様の「ストラトス」もタクシーキャブに。調子がいまいちということで他車より走らなかったため、同乗できた人は超ラッキー。
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ジムカーナを走る「フルビア・ラリーHF」。国際ラリーで大活躍し、“ラリーのランチア”のイメージを確立したモデルである。1.3/1.6リッターのV4エンジンで前輪を駆動する。
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「フルビア・スポルト」。「フルビア・ラリーHF」と基本的に同じシャシーに、ザガート製のテールゲートを持つアルミボディーを架装したモデル。
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これもジムカーナに参加した、コンパクトな背高ハッチバックの「ムーザ」。バックランプがついているが、ミスコースしたわけではない。コースに定められた方向転換(車庫入れ)をしているのである。
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1986年から87年にかけて作られた「デルタHF 4WD」。「HFインテグラーレ」とは異なりフェンダーはブリスター化されておらず、ノーマルのデルタと車幅は同じである。
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珍しい「ゼータ」もジムカーナに参加。PSAとフィアットが共同開発し、プジョー、シトロエン、フィアット、ランチアの4ブランドから販売されたミニバンである。
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「ベータ・モンテカルロ」と並ぶ今回のもう一台のフィーチャーカーは、1995年の登場から20周年を迎えた「デルタHFインテグラーレ」の最終限定車である「コレツィオーネ」。13台が参加した。
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濃い赤のボディーにランチア・カラーである黄と青のストライプを配した「コレツィオーネ」。
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全プログラムを終え、抜けるような秋の青空をバックに参加者全員で記念撮影。