「第3回ホンダクラシックミーティングin朝霞の森」の会場から
2024.05.07 画像・写真2024年4月28日、埼玉県朝霞市の朝霞の森で「第3回ホンダクラシックミーティングin朝霞の森」が開かれた。2020年に初開催されて以来、毎年実施される予定だったが、新型コロナ禍や会場の都合などによって今回が2年ぶり3回目の開催となる。
主催は埼玉県さいたま市にあるホンダ車のエキスパートである「ガレージサイコー」で、朝霞市が後援。朝霞市をはじめ埼玉県内の各地に工場や研究所などの施設を持ち、埼玉とは縁が深いホンダの、ホンダコレクションホールやホンダテクニカルカレッジ関東などが協力として名を連ねた。
会場となった朝霞の森にはもともと旧日本陸軍の施設があったが、戦後は駐留米軍の朝霞キャンプとなった。1980年代に日本に返還された後は朝霞市が管理しているが、すぐ近くに市役所もある市の中心部にこつぜんと現れる不思議な、しかし緑豊かで素晴らしいロケーションである。
参加資格は昭和時代に生まれた(継続生産車含む)ホンダの四輪車と251cc以上の二輪車で、当日集まった参加車両は四輪車が71台、二輪車が14台。快晴に恵まれ、新緑もえる会場に並んだ色とりどりのホンダ車のなかから、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
-
1/302代目および3代目「プレリュード」をはじめ1980年代のモデルがズラリと並んだ一角。
-
2/30リアルタイムで知る人間にとってはBGMに『地下室のメロディー』が流れる、1987年のデビュー時のテレビCMの印象が強烈だった3代目「プレリュード」。先代をブラッシュアップし、いっそう低められたボンネットはミドシップの「フェラーリ328GTB」より低いといわれ、低速時には逆位相でステアリングが切れる4WS(4輪操舵)も話題を呼んだ。
-
3/30リトラクタブルライトを採用した、日本車離れしたワイド&ローのスタイリッシュなフォルムで人気を博し、デートカーブームを創出した2代目「プレリュード」が並んでいると思いきや、写真左側は微妙に違う。
-
4/30手前(写真03では左側)の個体は米国産の「アコード クーペ」だった。3代目アコードをベースにアメリカ工場で生産された左ハンドル仕様を、1988年から輸入販売したモデル。外国生産の日本車を輸入販売する先駆けとなった。
-
5/301985年に登場した3代目「アコード」のセダン。2代目「プレリュード」に続いてフロントサスペンションをストラットからダブルウイッシュボーンに変更したことで低いボンネットを実現。4ドアセダンでリトラクタブルヘッドライトを採用したのは日本初(4ドアハードトップなら3代目「マツダ・コスモ」という前例あり)だった。
-
ホンダ の中古車webCG中古車検索
-
6/301983年に登場した「ワンダーシビック」こと3代目「シビック」。これは翌1984年に追加設定された、ホンダの市販車としては「S800」以来14年ぶりとなるDOHCエンジンを積んだ「3ドアSi」。見たところ内外装ともフルオリジナルで新車のようだった。
-
7/30「シビック」をベースにしたFFスポーツクーペの「バラードスポーツCR-X」(初代)および「CR-X」(2代目)は、オーナーの嗜好(しこう)で手を加えられた個体が多かった。
-
8/30「バラードスポーツCR-X」をベースに前後のブリスターフェンダー、スポイラーなどのエアロパーツを装着して仕上げられた「無限CR-X PRO」仕様。
-
9/301987年から1996年までつくられた長寿車だった2代目「シビックシャトル」のフルタイム4WD仕様をベースに、バンパーガードやアンダーガードなどでオフローダー寄りに仕立てた「シビックシャトル ビーグル」。1994年に登場した、今日のクロスオーバーSUVの先駆的なモデル。
-
10/30ノーマルの「Rタイプ」と「カブリオレ」、そして「ターボII」がそろった初代「シティ」。
-
11/301984年に「ダットサン・フェアレディ2000」以来14年ぶりとなる国産オープンカーとしてデビューした「シティ カブリオレ」。オープン化された「ターボII」に準じたワイドボディーには、いかにも80年代っぽいこの「ペパーミントグリーン」をはじめ12色ものカラーがそろえられていた。
-
12/30トヨタと日産の2社にほぼ独占されていたラージセダン市場にホンダが斬り込み、1985年にリリースされた初代「レジェンド」。これら2台は1988年のマイナーチェンジ以降のモデルで、左側は2リッターV6ユニット、右側は同ターボユニットで前輪を駆動する。
-
13/301987年にシリーズに追加設定された「レジェンド ハードトップ」。基本が5ナンバーフルサイズだったセダンに対して、こちらは3ナンバーサイズのボディーに2.7リッターV6エンジンを積む。
-
14/301976年に登場した初代「アコード」。1980年式というこの個体は塗装まで新車時のままという未再生のワンオーナー車。走行距離は9万9000kmを超えたところと車齡40年超としては少なく、オーナーいわく「間もなく新車に戻ります」(オドメーターが1回転して0になる)とのこと。
-
15/30競技車両風にモディファイされ、かなり年季が入った初代「シビック1200RS」。1974年から1年弱だけつくられた初代シビック唯一の高性能版で、2024年秋には現行シビックにも復活するスポーティーグレードの呼称である「RS(Road Sailingの略)」を最初に名乗ったモデルである。
-
16/301969年に登場したホンダ初の量産小型セダン「ホンダ1300」。左は4キャブレター仕様のエンジンを搭載した高性能版の「99S」、右はシングルキャブ仕様のエンジンを積んだ標準版のスポーティーグレードの「77S」。いずれも新車以来のナンバー付きの未再生車である。
-
17/30「ホンダ1300 77S」のエンジンルーム。横置きされ前輪を駆動する1.3リッター直4 SOHCユニットは、熱烈な空冷の信奉者だった本田宗一郎肝いりのDDAC(二重空冷)という特異な設計で、空冷ながら静粛性に優れていた反面、凝った構造ゆえ重量は水冷並みかそれ以上だった。しかも実用車でありながら潤滑方式はドライサンプで、左手前にあるフィン付きのアルミの鋳物がオイルタンク。
-
18/30「ホンダ1300 99S」のエンジンルーム。4キャブレターを備えて最高出力は115PS/7500rpm(グロス、以下すべて)という、当時の1.3リッター級としては驚異的なパワーを誇った。前出のシングルキャブ仕様の「77S」であっても、100PS/7000rpmという数値は他社の1.8~2リッター級に匹敵した。これらのデータは初期型のもので、さすがにハイチューンすぎるということで発売から半年後にはそれぞれ5PS落とされた。
-
19/30ホンダ初の軽乗用車として1967年にデビューすると同時に大ヒットした「N360」。これは1968年に加えられた「Sタイプ」。ボディー同色のフェンダーミラー、エアアウトレットカバー、専用ホイールキャップ、内装には革巻きステアリングホイールやタコメーターを含む2連メーターなどが与えられ、スポーティーに装う。
-
20/30「N III 360タウン」。「N360」は1970年に2度目のマイナーチェンジを受けてN III 360に改称。遅れて加えられたタウンは、最高出力を31PSから27PSに抑えて中低速域のトルクを強化。左右どちらからでも乗降しやすいようにベンチシートを採用するなど、シティーコミューターとしての使いやすさを考慮した新たなコンセプトを持つ。
-
21/301970年に軽自動車初のスペシャルティーカーとして誕生した「Z360」。その空冷SOHC 2気筒エンジンを356ccから598ccに拡大した輸出仕様の「Z600」。バンパーのオーバーライダーや普通車と同じ大きさのナンバープレートなどがZ360との外観上の識別点。
-
22/30電動コンプレッサー駆動のエアコンを装着した「Z600」のエンジンルームを興味深げに観察する、スタッフを務めたホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県ふじみ野市にあるホンダ系列の自動車専門学校)の学生たち。「S800」や「N360」などのレストアを実践している若い世代との交流にオーナー(写真右端)もうれしそう。
-
23/30「N360」由来の空冷2気筒エンジンを積んだ軽トラック「TN360」をベースに1970年に登場した「バモスホンダ」。荷台に積んでいるのは「スポーツカブ」を改造したレーサー。ホンダの軽トラにホンダの軽量級バイクを積むのは、マニア間でのお約束のひとつ。
-
24/30手前から「Sシリーズ」、そして「Nシリーズ」と、主として1960年代のモデルが並んだ一角。
-
25/30鮮やかなレッドとイエローがグリーンの芝に映える「S600」。手前の赤はガラス製のライトカバーが装着されている。本来は初期型(1964年)だけの仕様だが、この個体(1965年)は初期型スタイルにしているとのこと。
-
26/30「LM700」。「S600」用を拡大してチューンを抑えたエンジンを搭載して1965年に登場した商用ライトバンが「L700」で、LM700はそのデラックス版。ピックアップの「P700」も存在したが、1966年にはそろってエンジンを拡大して「L800」「P800」となった。いずれにしろ、相当なレア車である。
-
27/30「LM700」のエンジンルーム。「S600」用を拡大してシングルキャブ化した687cc直4 DOHCエンジンは最高出力52PS/7500rpmを発生した。同級の「トヨタ・パブリカ バン」の697cc空冷水平対向2気筒OHVエンジンが32PS/4600rpmだったといえば、いかにハイパワーだったかがお分かりいただけるだろう。
-
28/301963年に発売されたホンダ初の市販四輪車だった軽トラックの「T360」。幻の軽スポーツカーである「スポーツ360」と基本設計を共有する4キャブレター仕様の354cc直4 DOHCエンジンを積んだ、とんでもない軽トラ。当時のホンダにはそれしか四輪車用エンジンがなかったからだが、日本初のDOHCエンジン搭載市販車でもあった。
-
29/30二輪車は1960~1980年代のモデル14台がエントリーした。
-
30/30二輪車で最もレアだったのが、1969年にデビューした国産初の4気筒エンジン搭載市販車であり、“ナナハン”だった「CB750Four」のプロトタイプ。発売前にアメリカの有力ディーラー向けにデモ用として送られたうちの一台らしく、サイドカバーは1968年の東京モーターショーに出展されたプロトタイプとほぼ同じデザインだが、燃料タンクは擬装用なのか「CB450K1」のものが備わる。