マセラティ・クアトロポルテ・オートマチック(FR/6AT)【ブリーフテスト】
マセラティ・クアトロポルテ・オートマチック(FR/6AT)【ブリーフテスト】 2007.05.31 試乗記 ……1712万7000円総合評価……★★★★★
デザイン、パフォーマンスともに、スーパースポーツ級の4ドアサルーン「マセラティ・クアトロポルテ」。新たに加わったオートマ仕様に試乗した。
運転して面白く快適
5mを超す全長や2トンを超える重量などから想像する鈍重さはなく、運転感覚としての「マセラティ・クアトロポルテ・オートマチック」は真正スポーツセダンである。
このセミ・オートマチックではないZFとの共同開発になるトルコン式6ATを備えるモデルは、「オートマチック」「スポーツGTオートマチック」「エグゼクティブGTオートマチック」の3種があり、価格はそれぞれ1414万円/1582万円/1540万円であるが、同価格帯にある単なる高級車とは一味も二味も違う個性に満ちあふれている。
もちろんリアシート専用で使うにしても一般的な意味での高級感覚は十分に満たした上で、更に運転して面白く快適である。
フロント・ミドの特性は前後の重量配分をみても一目瞭然、前49:後51とスポーツカーのレベルにありノーズの軽い感覚は2トンを超す重量車とは思えない。長いノーズの半分はクラッシャブルゾーンともいえ、押し出しの立派さもけっしてひけをとらない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
名前が示すように「4つ(クアトロ)」の「ドア(ポルテ)」を持つ、FRサルーン。2003年9月のフランクフルトショーで初お披露目され、同年の東京モーターショーで日本上陸をはたした。マルチェロ・ガンディーニが手がけた先代の角ばったフォルムから一転、滑らかなラインのデザインはピニンファリーナによるもの。「スポーティさとエレガンスさを両立した」と主張する。
そのボンネットには、400ps/7000rpmを絞り出す4.2リッターV8エンジンがおさまり、0-100km/h加速5.2秒、最高速275km/hを誇る。
室内はフルグレインレザーとウッドがふんだんに使われ、15色のボディカラー、3種類のウッドパネル、10種類のレザーシートを組み合わせて“自分仕様”を作ることが可能である。
2005年9月、フランクフルトショーにおいて、アルカンタラ内装などでラクシャリー仕様とした「クアトロポルテ・エグゼクティブGT」と、排気と足まわりをスポーティに仕上げた「クアトロポルテ・スポーツGT」が追加された。
(グレード概要)
試乗車は、2007年1月のデトロイトショーでデビューした「クアトロポルテ・オートマチック」。
従来のトランスミッションが2ペダル6MT「デュオ・セレクト」だったのに対して、新たにコンベンショナルなトルコン式のZF製6ATを採用した。
トランスミッションをデフと一体化し、リアに吊るトランスアクスルを捨てる一方、エンジンを9mm後方に搭載。従来47:53だった前後重量バランスは、オートマチック仕様車では49:51になった。
ノーマル、エグゼクティブGT、スポーツGTのそれぞれにオートマチック仕様が用意され、デュオ・セレクトと合わせてラインナップは6モデルとなった。
【車内と荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
イタリアの高級車もイギリス車に劣らずレザーとウッドがふんだんに使われている。デザイン処理としての造り込みも見事。形や仕上げの巧みさのみならず、カラーリングもまた華やかさと上品さが同居する。
と言ってウィンドウへの写り込みを度外視することなく、上面は黒っぽい色に変えてあり実質面にも配慮してある。遊びの要素が強い「ビトゥルボ」との違いか。伝統のアナログ時計も中央に鎮座する。
(前席)……★★★★★
イタリア車のシートは見た目の美しさのみならず座り心地の良さでも定評がある。クッションの縫い目は綺麗なラインを描くだけでなく、固さの配分なども微妙に加減されておりホールド性に優れるし疲れない工夫がなされている。電動の各種調整機構もさることながら基本的な形状でしっくりフィットさせる技は歴史的な実績からくるものだろうか。革の表皮でも滑りにくいのは、接触面をベタの平面とせず線接触の分散感覚としているから。ソフトな当たりで包み込む感触もある。
(後席)……★★★★★
後席も前席に劣らず快適。概してクッションは前より少し硬めで背中がめり込む感覚はなく、逆にお尻が前にずれる傾向もない。外側が回り込んで横力にも対抗してくれるから身体を安心して預けられる。
スペース的な余裕は言うまでもないし、サイドウィンドー全面を覆う、引き上げて上で固定するサンシェイドはプライバシーを守り、クォーターピラーで隠れる頭の位置関係が絶妙なところが高級車のリアシートである証し。
(荷室)……★★★
リア・デフはパワーに見合った大きなものだし、凝ったダブルウィッシュボーンのサスペンションをマウントするサブフレームが大きく、これら構造上の張り出しもあり、外観から想像するよりフロアは高く奥行きも浅い。
しかし高いデッキや幅広いボディ形状、長いオーバーハングなどにより、スクエアな立方容積としてのスペースは標準以上の広さが確保されている。ゴルフバッグなどの収納に不足することはない。内張りもしっかり丁寧にトリムされておりここもまた高級仕様。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
高級車にしてはエンジン音が室内で聞こえる。エンジン搭載位置がアクスルより後方のいわゆるフロント・ミドであり耳に近いのもその一因。しかし音質的には音楽に近く不快な感覚は一切なし。
2トンの重量に対して400psで不足なくZFの6ATはスムーズに繋いでくれる。トルコンを介してはいるがパドルで積極的にシフトしてもスリップ感は少なく、F-1システムと大差ない加減速が楽しめる。その上で滑らかな走行感覚が加わるのだから高級感この上ない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
大きなボディながら剛性は高くしっかりしており、サスペンションはよく動いて姿勢をフラットに保つ。ロングホイールベースとスパンの長いアームの動きによるゆったりした乗り味は、新参の高級車とかなり違う優位点。ボディだけでなくサスペンションの剛性も高く、骨太な走行感覚はイタリア車に共通する伝統とも言える。タイヤの太さが気にならない自然に飛ばしたくなる設定。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年5月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:3832km
タイヤ:(前)245/40ZR19(後)285/35ZR19(いずれも、ピレリ P Zero Rosso)
オプション装備:ブレーキ・キャリパー(シルバー)(7万7000円)/パドルシフト(12万2000円)/サンルーフ(23万8000円)/フロントシートコンフォートパック(61万5000円)/リアシートエンターテイメント(73万4000円)/フロント・パーキング・センサー(8万7000円)/19インチホイール(35万6000円)/リア・クライメット・コントロール(20万3000円)/ダッシュボード(ブルーネイビー)(10万5000円)/パイピング(ブルーネイビー)(4万3000円)/ウッドステアリング(16万2000円)/ローズウッド・アイロニー(5万4000円)/アルカンタラ ルーフライニング(19万1000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:372.5km
使用燃料:70リッター
参考燃費:5.32km/リッター

笹目 二朗
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