ダッジ・アベンジャーSXT(FF/4AT)【海外試乗記】
アメリカンでV6を積む 2007.04.28 試乗記 ダッジ・アベンジャーSXT(FF/4AT)2007年6月から日本での販売が始まるダッジブランド。4ドアセダンの「アベンジャー」はどうなのか? スペインで試乗した。
カタチで選ぶ
2007年の6月からわが国で順次発売される予定のダッジブランド。まずやってくる4車種のうちのひとつ「アベンジャー」は、ヨーロッパでは「トヨタ・アベンシス」や「マツダ・アテンザ」「プジョー407」などをライバルとするDセグメントの4ドアセダンだ。
プラットフォームは基本的にひとクラス下の「ダッジ・キャリバー」と同じだが、エンジンは直列4気筒のガソリンとディーゼルターボのほかに、2.7リッターV型6気筒ガソリン(188ps、26.1kgm)を用意するのが違いだ。日本仕様はこのV6で、4速ATを組み合わせる予定。日本上陸前にスペインで試乗したのはこの仕様だった。
デザインはセダンとしてはかなりアグレッシブ。大胆で力強いというダッジのブランドイメージそのままだ。リアフェンダー部分をキックアップさせた造形は、ひとクラス上の「ダッジ・チャージャー」に似ているが、前後のウィンドウの傾きなど、全体的なバランスはこのアベンジャーのほうが上に思える。カタチで選びたくなる数少ないセダンだ。
便利な装備
グレーで統一されたインテリアは、それに比べるとおとなしい。キャリバーが使ったボディ同色パネルなどを使わないためもあり、このクラスでは安っぽい仕上げが気になる。ただしパッケージングは優秀で、リアシートの足元はこのクラスとしてはトップレベルの広さ。ルーフラインがカーブしているにもかかわらず、頭上空間も余裕があった。
フロントシートのサポートはタイトで、座り心地は悪くない。スポーティセダンであることを実感させてくれる。それでいてコンビニエントな装備が目立つのはアメリカ車ならでは。500ccペットボトル4本が収納可能な冷温蔵庫「チルゾーン」がつくのはキャリバーと同じだが、アベンジャーはセンターコンソールのカップホルダーにもクーラー/ヒーター機能が用意される。これはとても便利だった。
エンジンは静かでなめらか。パワーやトルクの余裕も感じる。2.7リッターV6というスペックを実感する。ATが4段というのは日本やヨーロッパのライバルと較べると見劣りするけれど、加速に不満はなかった。ちなみにダッジは6段ATバージョンも開発中とのことで、日本へも遅れてやってくるらしいから、加速や燃費を重視する人はこちらを待つという手もある。
価格が楽しみ
試乗会ではノーマルの17インチとオプションの18インチの、2種類のホイール/タイヤを試すことができた。シャシーとのバランスが取れていたのは、17インチのブリヂストンの「トランザER300」を履いたクルマのほう。乗り心地は硬めだが路面のショックはうまくやわらげてくれた。
ハンドリングは安定志向で、V6エンジンを積むノーズの重さは感じられず、素直な感触のステアリングを切ったとおりにコーナーを抜けていってくれる。
サターン車や「クライスラー・ネオン」がそうだったように、アメリカ製のコンパクト/ミドサイズセダンは、日本では成功をつかむことができなかった。デザインや走りにアメリカ車らしさがなく、品質は国産車が上なのに、価格はそれより高い。これでは売れないのも当然だ。
その点アベンジャーは、見た目はアメリカンだし、V6エンジンの走りは4気筒のそれとはあきらかに違う。残す興味は、いくらで売るかだ。
(文=森口将之/写真=ダイムラー・クライスラー日本)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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