オペル・ヴィータGSi(5MT)【試乗記】
名実ともに、カワイイから脱却 2002.05.28 試乗記 オペル・ヴィータGSi(5MT) ……217.0万円 2002年モデルから追加された、1.8リッター「エコテック」ユニット搭載の5段MTモデル「GSi」。ヴィータのスポーツモデルにwebCG記者が乗った。
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オペルのスポーツハッチ
「スポーツカーに乗る」ことが、なかなか難しい時代になってきた、と思う。(結果的にとはいえ)燃費が悪くなることが多いし、ウルサイし、2+2レイアウトだとしても実質2人乗り。巨大なリアスポイラーが猛々しい、地を這うようなスポーツカーを買ったりしたら、奥様(いればのハナシ)を筆頭とする家族や、近所の方々から白眼視されること請け合いだ……、とはちょっと大袈裟か。
家族もご近所も納得、さらに熱い走りを求めるドライバーも満足できる、見た目が普通で大人5人がちゃんと乗れるスポーティなハッチバック。それが、真面目なクルマづくりで知られるオペルの「ヴィータGSi」である。
2000年10月のパリサロンでデビューした、3代目となるオペル・コルサ、日本名ヴィータ。「かわいいヴィータ」の先代は、ドイツでは約65%が女性ユーザーだった。ニューモデルでは男性顧客の獲得も狙って、つり目のヘッドランプやボンネット上のラインでシャープさを演出。中性的で「ニュートラルなポジション」のデザインとなった。ボディサイズは拡大されて(カッコ内は先代との差)、全長×全幅×全高=3815(+90)×1645(+35)×1440mm。45mm延長された2490mmのホイールベースは、このクラス最長だという。
2001年2月に始まったニューヴィータの日本導入。翌年の、いわゆる“2002年モデル”から、従来の1.4リッターを中心とするラインナップに追加されたのが、2ペダル5段MT「イージートロニック」搭載の1.2リッター「スポーツ」と、オペルのスポーツモデルにのみ与えられる「GSi」の称号を冠した、1.8リッター+5MTのトップモデルだ。
静かなスポーティ
GSiは、「ホットハッチ」と呼ぶに相応しいクルマといえる。なにしろ車重は1.1トン強、標準で1.4リッターエンジンを積むコンパクトボディに、ミドルクラスである「アストラ」でも使われる1.8リッターエンジンを載せ、さらに5段MTを組み合わせたモデルなのだ。もちろんエンジンに合わせて、専用チューンのサスペンションや、ホールド性の高いスポーツシートなどが備わる。
テスト車は、GSi専用「ペトロール」のボディ色に、グレー内装の組み合わせ。外観を一見すると、ホットモデルにしては「地味」である。しかし、注意深く観察すると、185/55R15と、6J×15の専用アルミホイールが、静かに“スポーティ”をうったえる。クルマに興味のなさそうなご近所のオバサンには、普通のクルマにしか見えないだろう。
ドライバーズシートに腰かけると、縁取りがシルバーのホワイトメーターと、同じくシルバーに塗られたセンターコンソールがスポーティを演出する。ちょっと窮屈かとも思えるくらい、体にピッタリフィットする硬めのシート。小さなボディを自分の身に纏った一体感が感じられる。低いスカットルと広いフロントスクリーンで、視界は良好だ。
鼻歌交じりというよりは……
スポーツモデル、という単語から想像されるよりよほど軽いクラッチをつなぐと、ヴィータはまさに「軽々と」走り出す。1.8リッター直4DOHC「エコテック」ユニットは、125ps/6000rpmの最高出力と16.8kgm/4600rpmの最大トルクを発生し、1500rpmもまわっていればどのギアからでも加速できる。
3000rpm以下では静かだが、全体的に低めのこもるような音が特徴的で、4000rpmあたりから高めの金属音が聞こえだす。イイ音聞きたさに「思わずシフトダウンしたくなる」タイプとはいえないが、試乗中は知らず知らず3000rpm以上まわしていた。5段MTの本領を発揮させるため、自然と右足の動きにクルマが敏感に反応する回転域を使っていたわけだ。
車速感応電動パワステを装備するヴィータは、「不要なアシストをせず、路面のインフォメーションを確実に伝える」(カタログ)を謳うが、キックバックも強い。路面の悪いところでは、鼻歌交じりにお気楽運転というより、路面からの入力に備えて、ちょっと肩に力が入った運転を強いられた。
GSi専用チューンのサスペンションは、かなり硬めの印象。高速での直進安定性は高いから、ロングドライブは得意。速度が上がるにつれ、目地段差を乗り越える際のショックを、軽く受け流すようになる。
ちなみにヴィータシリーズ中GSiのみ、濡れた路面などで駆動輪のトルクを制御し、発進をアシストする「トラクションコントロールプラス」を標準装備する。センターコンソールのスイッチでオン・オフを任意に選択できるから、腕に覚えのあるドライバーは、スイッチオフでどうぞ。
「ホットバージョン」だが、それをひけらかすことがないヴィータGSi。でも中身はGSiの名に恥じず、骨太だった。外見だけでなく、中身も「かわいいヴィータ」から大きく脱却していた。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2002年4月)

大澤 俊博
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