オペル・ヴィータGLS(4AT)【ブリーフテスト】
オペル・ヴィータGLS(4AT) 2001.04.03 試乗記 ……187.0万円 総合評価……★★★★グッと大人に
ひとまわり大きくなった3代目。ボディライン、目つきもシャープになって、「かわいいヴィータ」からの脱却を図る。なんとか男性も振り向かせたい。
ペダンと平らなシートに座ると、高いショルダーラインもあって囲まれ感が高い。先代より圧縮比を上げた「エコテック」ツインカムは、低回転域からトルクもち。1.1トンと軽いボディを難なく加速させる。とはいえ、ボディががっしりしていることもあり、コンパクトモデルの「軽々しさ」とは無縁。足も硬めで、14インチを履くバネ下はときにバタつく。良くも悪くも欧州調。
小柄なボディに似合わず、しかし先代より45mm延長されたホイールベースを活かして、高速巡航は得意。「スタビリティ」という単語がしきりに思い出される直進性。矢のように走る。実用燃費の良さにもビックリ。
時流にのってユニセックス化したヴィータ。ママチャリ代わりに使うより、西へ東へとハードに走るヒト向き。アギーラ(ワゴンRのOEMモデル)という弟を得て、コルサ(ヴィータ)はグッと大人になりました。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年10月のパリサロンで発表された3代目コルサ(邦名ヴィータ)。1983年の初代デビュー以来、オペルのボトムレンジを担う、3/5ドアのハッチバックモデルである。本国では、3シリンダーの1リッター、直4の1.2、1.4、1.8ほか、1.7リッターのターボディーゼルがラインナップされる。2001年2月1日から、「1.4リッター+4段AT」モデルの日本への輸入がはじまった。
(グレード概要)
5ドアが「GLS」、3ドアが「Swing」。ボディ寸法、機関は同じだ。ドアの枚数以外に、GLSにはフロントフォグランプ、アルミホイール、本革ステアリングホイールなどが装備されるのが違い。いずれも前席ダブルエアバッグ、サイドエアバッグ、後席ISOFIX対応チャイルドシート固定フックほか、衝突するとブレーキペダルが脱落してドライバーの脚部への損傷を抑える「FPS(フットプロテクションシステム)」を装備する。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
定規とコンパスだけで描いたような、単純な曲線と直線が支配するインストゥルメントパネル。小さなシボまで幾何学的に並ぶ。味気はないが、実用的。ステアリングホイールには、オーディオコントロール用のボタンが付く。
(前席)……★★★
「安楽」より「実用」を重視した前席。平板な形状ながら、硬めで、長時間乗っても疲れない。サイズは並みだが、ハイトコントロールで座面を調整すれば、しっかり太股、腰まわりを支えてくれる。
(後席)……★★
短い座面が前あがりになっているので、自然とヒザの曲がりが大きくなる。ボディサイズ通り、足もとは決して広くない。頭上は、十分な空間があり、天井が後まで伸びるのがいい。実用に足るリアシート。丈夫そうなヘッドレストが頼もしい。
(荷室)……★★★
床面最大幅110cm、奥行き66cm、パーセルシェルフまでの高さ51cmの荷室。後席が後傾しているので、数値ほどの奥行きはないが、日常の買い物には十分だろう。後席は分割可倒式。座面を前に倒すダブルフォールディングも可能だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
実用エンジンのカガミのような、低回転域でトルキーなDOHCユニット。電子制御スロットルが採用された。ボディが大きくなり、遮音が強化されたためか、先代よりは静かになった(と思う)が、依然として無愛想に活発。4段ATのシフトは自然だ。街なかでも不満ない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ハイスピードクルージングでもアゴを出さないタフなアシまわり。高速道路では、コンパクトモデルとは思えないフラットな乗り心地。一方、街路ではアシがバタつき気味。路面の凹凸もそれなりに拾うので、近所の買い物にしか使わないヒトには、「乗り心地が悪いクルマ」かも。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年3月30日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3787km
タイヤ:(前)175/65R14 82T/(後)同じ(いずれもContinental ContiEcoContact EP)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:556.0km
使用燃料:43.9リッター
参考燃費:12.7km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
トヨタ・アクアZ(FF/CVT)【試乗記】
2025.12.6試乗記マイナーチェンジした「トヨタ・アクア」はフロントデザインがガラリと変わり、“小さなプリウス風”に生まれ変わった。機能や装備面も強化され、まさにトヨタらしいかゆいところに手が届く進化を遂げている。最上級グレード「Z」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。


