トヨタ・ラクティス X(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ラクティス X(FF/CVT) 2005.12.19 試乗記 ……179万4450円 総合評価……★★★★ 「ファンカーゴ」の後継で、よりスポーティなモデルとなった新しいコンパクトワゴン「ラクティス」。そのベーシックグレード「X」に試乗した。
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実はチョーまじめなクルマである
ファンカーゴをモデルチェンジしてリネームしただけかと思ったら、そうではなさそうだ。当初、クルマとしての出来は正直言ってトヨタが次々繰り出す新しいボディバリエーションの中で平凡なものにしか映らなかったが、後で資料を見て驚いた。今やシリーズに含まれる福祉車両の充実は目を瞠るべきで、それが主たる目的ではないにせよ、やはりこのクラスで車いすごと直接乗り込めるタイプまで用意されているのは大したものだ。そう考えると、半ばトールボーイだから当たり前と見過ごしてきたヘッドルームの余裕やドア、フロアのアクセスの良さなどがなるほどと納得させられる。funはなくとも、結構ココロザシは高いのだ。その意気に感じて★4つとした。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年夏、初代「ヴィッツ」から派生した小型トールワゴン「ファンカーゴ」が誕生。商用ワゴンのような、でもファニーなルックスと、小さくても使えるという機能性などをセリングポイントとした“携帯空間”(コマーシャルキャッチ)が、名を「ラクティス」に変え登場した。
テーマは「高速大容量スタイリング」とまるでネット回線の謳い文句のようだが、走行性能、パッケージ、ユーティリティ、スタイリングなど、ぐっと男の子向けになったのが特徴。「多様なニーズに1台で応えるハイクオリティコンパクトカー」を標榜する。
エンジンは1.3リッターと1.5リッターの2種類。トランスミッションはFFがCVTで、1.5リッターにはパドルシフト・スポーツモードを備える7段マニュアルモード付き「アクティブCVT」を採用した。1.5リッターのみに設定される4WDにはコンベンショナルな4段ATが与えられる。
車内のウリはシートアレンジ。後席中央の座面を180度回転させるとあらわれる「リアセンターマルチトレイ」や、後席を格納しフラットなフロアをつくりだせる「ダイブインシート」(FFのみ。4WDは座面を前席シートバックに寄せる「ダブルフォールディング」)、前席背もたれを倒し足を伸ばして後席に座れる「カウチソファモード」などがある。 一部グレードに標準装備される「パノラマルーフ」が開放感を演出する。
(グレード概要)
ベーシックな「X」には、1.5リッターの4WDモデルも用意されるが、試乗したのは、1.3リッターモデル。 サイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラーやパノラマビューオプティトロンメーター、ワイヤレスドアロックリモートコントロールなどが標準装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ベーシックグレードのXということもあって眼前の風景はごくあっさりしているし、売り物の“パノラマルーフ”でもない。それでもポケッテリアが豊富でドア4枚分のパワーウィンドーも付いているから、まずは充分である。ただし、マニュアルエアコンはなぜかこの季節でも効きがイマイチで、温度やブロワーの設定を強めにしないとやや肌寒く感じられたから、オートが標準の“L Package”以上を選んだほうが無難かもしれない。
(前席)……★★★
同じトールボーイでも先代のファンカーゴとは雰囲気がかなり変わった。全高がやや低まった一方、前席住人はアップライトした姿勢のまま上方移行したのである。したがって、依然前方視界に優れ、ヘッドクリアランスも充分だが、従来やや持て余し気味だったグリーンハウスの冗長感がなくなった。シートが見掛けほどホールドせず、足踏み式パーキングブレーキのせいでフットレストないしは左足の置き場が奪われているのが残念だ。
(後席)……★★★★
5ナンバー枠を守りながら全長と全幅、ホイールベースを少しずつ延ばした恩恵が明らかで、居住空間はスクエアな「箱」のよう。ヘッドクリアランスとレッグルームがたっぷりしているうえに前席クッション下への足入れ性も良く、横への広がりも充分。2WDの場合、床が真っ平らでドアガラスも完全に下りきるのが気持いい。6:4分割可倒式のシートはアームレスト/リクライン付き。長方形のドアは乗降が楽だが、ストッパーのノッチは弱い。
(荷室)……★★★★
天地に長い1枚ものの跳ね上げ式テールゲートを開けると地上高515mmの、見るからにフラットで使いやすそうな荷室フロアが出現する。このアクセスの良さが“Welcab車いす仕様車”にうってつけなのだ。ちなみに、そちらはエアサスペンション付きで、車高降下機能によりスロープからの乗り込みを楽にしている。ただし、開口部が低いがゆえにかえって開け始めはそれなりの力が必要で、また操作する自分自身が邪魔になることもある。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
2SZ-FE型に限らず最近のCVT付き小型トヨタ車はドライビングフィールが独得だ。トルコン付きだから扱いはフールプルーフだが、燃費重視のためだろう、発進するとすぐにギア比を上げ、アイドリングに近い1100rpm前後でトコトコと走り出すのが長閑である。絶対的なパワーは限られ、5000rpmくらいまで引っ張らないと目覚ましくないが、今度は途端にうるさくなる。高速主体の燃費は13.3km/リッターとさすがに良かった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
1100kgそこそこのボディが軽く感じられるのは美点で、操縦性そのものにもなんら問題がないのはもちろんだが、少なくとも運転して楽しい種類のクルマではない。電動パワーステアリングやサスペンションはスタビリティ重視で真っ直ぐ走ろうとしているのに、時として空力重心とズレるようなことがあるのか、いまひとつ確信を持てない瞬間があるのも事実なのだ。ブレーキもやや剛性不足。代わりに、乗り心地は全般に悪くない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2005年11月11〜14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1926
タイヤ:(前)175/60R16 82H(後)同じ(ダンロップ SP SPORT 2030)
オプション装備:SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)&カーテンシールドエアバッグ(前後席。6万3000円)/HDDナビゲーションシステム(オーディオ:CD+MD+AM/FMラジオ+TV+サウンドライブラリー+6スピーカー・その他:6.5型タッチ式ワイドディスプレイ+FM多重VICS+G-BOOK ALPHA対応。33万750円/ETCユニット(ビルトインタイプ。1万4700円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(3):高速道路(7):山岳路(0)
テスト距離:438.6km
使用燃料:33.0リッター
参考燃費:13.3km/リッター

道田 宣和
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