トヨタ・ラクティス1.3レピス(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ラクティス1.3レピス(FF/CVT) 2011.02.02 試乗記 ……178万4800円総合評価……★★★
フルモデルチェンジを果たし2代目に進化した、トヨタのトールワゴン「ラクティス」。その使い勝手と走りを試した。
荷物の多いファミリーに
「ヴィッツ」をベースとしたトールワゴンの「ラクティス」は、全長4mを切るコンパクトなボディに、余裕ある後席と広い荷室を両立するファミリーカーだ。「ファンカーゴ」、初代「ラクティス」、そして現行モデルと、代を重ねるごとに自慢の長身は少しずつ控えめになり、いまや全高は1585mmまで低められるが、それでもキャビンは十二分に余裕がある。
ここまで来たら、いっそのこと全高を1550mmまで下げて、タワーパーキングへのアクセス性を考えてもよかったのではないか、と個人的には思うのだが、まあそれはさておき、トールワゴンのなかでは低めの全高が、より軽快で安定感ある走りをもたらすから、運転にこだわるユーザーには喜ばれるはずだ。
扱いやすいボディサイズにもかかわらず、人も荷物もたくさん乗せられる高効率パッケージングは、なにかと荷物の多いファミリーには魅力的であるに違いない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ラクティス」は、「高速大容量スタイリング」をウリに2005年10月にデビュー。「ヴィッツ」をベースとして、コンパクトながら車内空間を広くとるパッケージングはそのままに、2010年11月に2代目に生まれ変わった。先代よりも全高が低められ、よりスタイリッシュになった外観が特徴だ。
プラットフォームは従来型を踏襲。エンジンは1.3と1.5リッターの2種が用意され、いずれにもCVTが組み合わされる。1.3、1.5リッターともにFFモデルの燃費は20.0km/リッター(10・15モード)を記録する。
(グレード概要)
フランス語で「隠し味、スパイス」を意味する「レピス(L'epice)」は、内外装にアクセントを加えてさりげないオシャレを施したグレードで、1.3と1.5リッター両方に用意される。試乗車は1.3リッターのFF車。
レピス専用のカラードフロントバンパーとメッキフロントグリルが与えられ、他のグレードと異なる顔つきとなるのに加え、内装にも専用色のダッシュパネル、シート表皮、ドアトリムなどが採用される。本革巻き3本スポークステアリングやホイールキャップも専用品(試乗車はオプションのアルミホイールを装着)。さらに、クリアタイプのリアコンビネーションランプや荷室の2段式アンダートレイなども付与される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
この「レピス」は内外装をオシャレに仕立てたこだわりのグレード、という位置づけ。インテリアでは、ライトブルーとブラックのツートーンの色使いが印象的だ。明るい雰囲気を望む人にはうれしい選択肢だろう。ただ、ダッシュボードのライトブルーの部分がやや安っぽく見えるのと、各パネルの合わせが雑なのが残念なところ。ライトブルーのパネルをシートと同じファブリックにするなど、もうひとひねりあってもよかったのではないか? メーターはシンプルなデザインで、サイズも大きく見やすい。
(前席)……★★★
見た目にたがわず、座り心地のいいシート。感触はソフトだがサポートは適度で、背中全体を支えてくれるのがいい。ドライビングポジションはごく普通で、とりたててアイポイントが高いわけではないが、前方の視界は良好。ワイパーは1本タイプだが、比較的拭き取り面積が広く、ドライバーがストレスに感じる場面は少ないのではないか。ステアリングコラムはチルト調節のみで、コラム自体が重いのが不満である。
(後席)……★★★★
旧型に比べて室内長が45mm短くなったとはいえ、それでもレッグスペースは十分過ぎるほどで、フロアから座面までの高さも十分確保されているので自然な姿勢で座ることができる。リクライニング機構が備わるのもうれしい。ヘッドルームも有り余るくらいで、全長4mを切るクルマとは思えない。中央席にヘッドレストがなく、シートベルトが2点式というのがマイナスポイント。さらに言えば、このグレードではスタビリティコントロールの設定がないのが残念だ。
(荷室)……★★★★★
後席とともに広いスペースを誇るラゲッジルーム。天井までが高いうえに、奥行きもたっぷりあるので、そのままの状態でも収納力は高い。地上から開口部までが低いので、重い荷物でも出し入れはラク。もちろん、後席を倒して荷室を広げることも可能だ。その際、ラゲッジスペースのレバーで、簡単にシートが倒せるのが便利である。床下には2段式の収納スペースがあり、小物や洗車道具などを収めるには好都合だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
「ラクティス」のエンジンは1.3リッターと1.5リッターの2種類。試乗した1.3リッターは必要にして十分な性能を備えるとはいえ、出足がおだやかで、走り出しても街中の速い流れでは、アクセルを多めに踏まないと遅れをとることがあった。加速時のノイズも目立つ。その点、別の機会に乗った1.5リッターはそういった不満が解消されており、燃費が同じで、価格差が10万円ということを考えると、オススメは1.5リッターか?
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
サイズのわりに落ち着いた動きを示し、街中から高速まで、フラットさが感じられるのが好ましい。全高を抑えたこともあり、背の高いワゴンにありがちな前後、左右の揺れも目立たない。路面によってはザラついた感触や、ゴツゴツとしたショックが伝わることがあるが、乗り心地はおおむね良好だ。前席に比べて後席では上下動が大きいのが気になるものの、ファミリーカーとしてはバランスよく仕上がっている。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2011年1月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年型
テスト車の走行距離:1546km
タイヤ:(前)175/60R16(後)同じ(いずれも、ブリヂストン ECOPIA EP25)
オプション装備:175/60R16タイヤ&5 1/2アルミホイール(5万7750円)/SRSサイドエアバッグ(前席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)(4万2000円)/HDDシンプルナビゲーションシステム&バックモニター(19万50円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:121.2km
使用燃料:8.7リッター
参考燃費:13.93km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。 -
第970回:クルマの背中に浮かぶ文字たち――空いた字間が語るもの
2026.7.16マッキナ あらモーダ!アナタは自動車のボディー背面に施されたメーカー/ブランドのロゴについて考えたことがあるだろうか? 字間を詰めたり、広げたり、時代によって変わるそのトレンドと、その背景にあるメーカーの思惑を、自動車史にも精通する大矢アキオが語る。
































