トヨタ・ウィッシュ X エアロスポーツ・パッケージ(2WD)【ブリーフテスト】
トヨタ・ウィッシュ X エアロスポーツ・パッケージ(2WD) 2005.10.25 試乗記 ……246万5400円 総合評価……★★★ 2005年9月5日、マイナーチェンジを受けたトヨタのピープルムーバー「ウィッシュ」。1.8リッター「X」に追加されたスポーティ仕様の「X エアロスポーツ・パッケージ」に試乗した。優等生ミニバン
ピープルムーバー的要素の強いミニバンを望んでいる人には賢い選択だろう。199万5000円(車両本体)という価格を考慮すれば、そつなくまとめられた優等生といえる。運転してストレスを感じないことも美点のひとつだが、反面、面白さはない。家族で使うための「そこそこ快適な」移動手段。それ以上でもそれ以下でもない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年1月20日デビュー。中型セダン「プレミオ/アリオン」のプラットフォームに“スタイリッシュ”を謳うモノフォルムボディを被せた、3列シート7人乗りのピープルムーバーだ。
エンジンは2種類の直4で、1.8リッター(132ps、17.3kgm)搭載の「X」と、のちに追加設定された2リッター直噴(155ps、19.6kgm)を載せた「Z」「G」をラインナップ。1.8リッターでのみ4WDが選べる(4WDはパワー7ps、トルク0.9kgmそれぞれデチューンされる)。トランスミッションは1.8リッターにコンベンショナルな4段AT(FFにはシーケンシャルシフトマチック装着)、2リッターには無段変速機CVT(Zは7段シーケンシャルシフトマチック付き)を組み合わせる。
(グレード概要)
テスト車「X エアロスポーツ・パッケージ」は、2005年9月5日のマイナーチェンジで追加されたグレード。1.8リッターFF「X」の内外装を、文字どおりスポーティに着飾った仕様だ。エクステリアは、15インチアルミホイール、前後エアロバンパー、スポーツタイプのリヤルーフスポイラー、プロジェクターディスチャージヘッドランプなどでお化粧。車内には、本革巻きのシフトノブ/3本スポークステアリングホイール、助手席シートバックテーブル、スポーツタイプのコンビネーションメーターなどを配した。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
表面のシボの入れ方や内装材の合わせの部分の仕上げは上々である。それだけに、スポーティな演出を狙ったと思われるカーボンファイバー風のプラスチックパネルの安っぽさや、メーターの赤色の縁取りの子供っぽさが残念だ。もっとも、スイッチやボタン類の位置や操作感に不満はなく、全体でみれば、インストゥルメントパネルは可もなく不可もないデザインである。
Xというグレードはベーシック版の位置づけながら、この“エアロスポーツ・パッケージ”はリアにディスクブレーキが奢られるなど、機能的な装備が充実している。ABS付きブレーキアシスト、前席エアバッグ、オートエアコン、ワンタッチ開閉式パワーウィンドウ、電動格納式ドアミラー、本革巻きステアリングホイールは標準で付いてくる。
(前席)……★★★
ドライバーズシートには手動式のハイトコントロールが備わるが、最も低くしても着座位置は高めである。なにかしっくりしない気分にさせられたが、それはすぐに慣れる。小柄な人には歓迎されるだろうし、ヘッドルームにも充分な余裕がある。また座面が高いおかげで乗り降りは楽だ。外観から想像されたとおりAピラーは極端に寝ているものの、視界を妨げられることはなかった。
小物入れはなかなか豊富である。インパネの右端、中央部に2箇所、左右シートの間の床にひとつ、大型ドアポケット、さらには2段重ねのグローブボックス、助手席シート下の引きだしといった具合に、用途に応じた物入れが備わっているので重宝する。
(2列目シート)……★★★
まず驚かされるのが足元が広々している点。長いホイールベースの恩恵を強く感じられるところだ。着座位置は高いが、天井と頭のクリアランスも充分以上にとられている。乗降性も良好である。シートバックはフラットにはならないものの、ある程度傾けられるのが嬉しい。ただし、シート・クッションは薄く硬い。
(3列目シート)……★★
3列目シートと割り切るなら足元スペースに不満ない。大人でもいちおうは足の置き場がある。しかしクッションは2列目シートよりさらに薄いので長時間座り続けるには適さない。そしてなにより頭が天井につかえそうなくらいヘッドルームはミニマムだ。髪の毛は確実に天井に触れる。着座位置はかぎりなくテールゲートに近いから心理的なストレスも少なくない。だから、あくまで子供用か緊急避難的に使うシートと考えたほうがよい。
(荷室)……★★
7人乗り、つまり3列目シートを使う状態では狭い。奥行きは30cmあるかないかという程度である。とはいえ3列目シートの背もたれをパタンと前に倒してしまえば大変身、余裕たっぷりのフラットな荷室が姿を見せる。2列目シートを畳めば前輪を外したマウンテンバイクが縦に入るだけの広大なスペースを得られるのは、全長4.5m級のミニバンならではだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.8リッター4気筒エンジンは、その存在をあまり主張しない。とりたてて言うほどパワーがあるわけでもトルクがあるわけでもない。気持ちよく回るわけでもない。けれど、実用車のパワーユニットとしては平均点を上回っている。街中と高速道路といった舞台において力不足を嘆くことは皆無だった。
4段オートマチックの変速はスムーズで、エンジンのパワーを効率よく前輪に伝えてくれる印象。停止からの動き出しは意外なほど俊敏である。シーケンシャルタイプのマニュアルシフトも使いやすいが、Dレンジに入れっぱなしで充分に事足りる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ミニバンという性格上、操縦性はけっしてシャープではない。しかし鈍重なところはなく、常識的な速度域ではなんの破綻も起きないばかりか、ステアリングはまずまず正確な部類に入る。
乗り心地は低速では少々硬めである。不整路面ではフラット感に欠け、落ち着きのなさを感じる。しかし突起を乗り越えるときの下からの突き上げはうまく抑えられている。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2005年10月4日から5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1093km
タイヤ:(前)195/65R15 91S(後)同じ(いづれもグッドイヤー GT065A)
オプション装備:SRSサイドエアバッグ&カーテンシールドエアバッグ(7万8750円)/HDDナビゲーションシステム<ウィッシュ・ライブサウンドシステム>(37万2750円)/ETC車載器(1万8900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:485.1km
使用燃料:39.2リッター
参考燃費:12.3km/リッター

阪 和明
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