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【スペック】全長×全幅×全高=4590×1695×1590mm/ホイールベース=2750mm/車重=1400kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(158ps/6200rpm、20.0kgm/4400rpm)/価格=226万円(テスト車=276万9250円)

トヨタ・ウィッシュ2.0G(FF/CVT)【試乗速報】

サイコーにちょうどいいトヨタ!? 2009.04.24 試乗記 熊倉 重春 トヨタ・ウィッシュ2.0G(FF/CVT)
……276万9250円
55万台を売り上げたという人気のミニバン「ウィッシュ」がフルモデルチェンジを果たした。その使い勝手は? 走りは? 新型の実力をリポートする。
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「ストリーム」を標的に

新型「トヨタ・ウィッシュ」のキーワードは「適切」。いい加減なテキトーではなく「適切」。すべての点でちょうど良いクルマだ。先代(初代)もそうだったが、普段の暮らしの中に、極端に言えば存在すら意識させないほど溶けこんでしまいそうだったりする。

とりあえず3列シートの6〜7人乗りだからミニバンと名乗ってはいるものの、実際にはセダンでありステーションワゴンでもあり、何でもある万能車。趣味とか走りとかではなく、豊かな機能をどこまで使い倒すか、問われるのはクルマのできではなく、ユーザーの想像力かもしれない。本当に身の丈のクルマ生活なら軽のワゴン、少し余裕を求めるならリッターカー、あらゆる場面に対応したければウィッシュとしておこう。

このウィッシュ、6年前に発売した時は、そのころ人気だった「ホンダ・ストリーム」が標的で、結局どちらもよく売れてオメデトウだったってことで、今度もライバル関係なのは同じ。しいて雰囲気を分ければ、トヨタらしく誰でもひょいと乗れるのがウィッシュ、一方ホンダのイメージにふさわしくグイッと強い走りが得意なのがストリーム、と言えないこともないが、実際そんなに違いはない。
ともに全長4.6m級と、大きめだが大きすぎないサイズの5ドアで、1.8リッターと2リッターのエンジンがあり、FFのほか4WDも選べるという基本線は共通だ。

2.0Gの内装色はグレージュのみの設定。グレードによって、ダークグレーも選べる。
2.0Gの内装色はグレージュのみの設定。グレードによって、ダークグレーも選べる。 拡大
大型のセンターコンソールは、3つのカップホルダーを備える。

【テスト車のオプション装備】
電動チルト&スライドムーンルーフ=10万5000円/ワイドビューフロントモニター+インテリジェントパーキングアシスト=6万3000円/HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター+ステアリングスイッチ+NAVI・AI-SHIFT制御=33万750円/ETCユニット=1万500円)
大型のセンターコンソールは、3つのカップホルダーを備える。
【テスト車のオプション装備】
電動チルト&スライドムーンルーフ=10万5000円/ワイドビューフロントモニター+インテリジェントパーキングアシスト=6万3000円/HDDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター+ステアリングスイッチ+NAVI・AI-SHIFT制御=33万750円/ETCユニット=1万500円) 拡大
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ウィッシュの正しい使い方

そのうえで新型ウィッシュのステアリングを握ってみて、最初からまったく違和感がないどころか、とっくに乗り慣れていたかのように感じる。それも当然で、簡単に言うと「大きいカローラ」なのだ。サイズが違うぶんフロアの部品なども違うのだが、こういう実用車はこういう手応えにするというメーカーの基本方針がブレてないから、結果としてこうなる。

それはともかく多用途車だから、まず室内スペースから検証しよう。2列目シートは(ノーマルモデルの1.8Xと2.0Gは3人掛けのベンチで7人乗り、ちょいスポーティー風味の1.8Sと2.0Zはセパレートの2人掛けで6人乗り)前後に20cmスライドする。こういうクルマではここが特等席で、それを存分に味わうには、シートを最後部にセットするのが一番。その状態だと膝の前に拳骨2個半もの空間が残って快適だ。ただし、それだと3列目では膝がつっかえて、短時間だけ座るのがやっと。頭上も拳骨1個分ない。

3列目への乗り降りは楽だが、実質的には5人(または4人)プラス2。普段3列目は折り畳んでワゴンとして使い、遊びに来た友人を最寄りの駅まで迎えに行くとか、応急的に使うのが基本だろう。
3列目を起こした状態で、荷室フロアの奥行きは最低でも36cm、バックレストの上端で11〜26cm(リクライニングの角度による)、幅は最低でも1m以上あるから、とりあえず小さいカバン類なら問題ない。3列目を畳むと奥行き最大114cm 、2列目まで畳むと(ダブルフォールディングなので荷物が飛び出しにくい)最大で約2mにまで延び、スキーも縦に積めそうだ。

キーワードは「適切」

さて、運転してみると、とにかく自然。カローラより大きく重いのに、すべての動きがスムーズなので、そんなに違う感じがしない。エンジン出力は、2リッターが158ps、1.8リッターが144ps(4WDは133ps)と、テストコースなどでデータを取らなければわからない程度の差しかない。CVTとのマッチングが適切なのも理由の一つだ。全モデルとも7段(7変速パターン)のマニュアルモードがあるが、もちろん普段はDレンジだけで足りる。
それにしても最近のCVTは進化がめざましく、発進直後にエンジン回転と車速の不自然なズレを感じることが少なくなった。これに乗り慣れると、無段の滑らかさが本当に快い。

ハンドリングも全面的に適切。攻めてみてもあまりシャープさはないが、うっかり激しい操作を加えても破綻する気配はない。日常的な使用パターンに対しては、とても余裕がありそうだ。
しいて比較すれば1.8Sと2.0Zの方が少しだけシャキッと力強い手応えではある。タイヤがノーマルモデルの195/65R15に対し、1.8Sは195/60R16(2.0Zは215/50R17)と一段だけ高性能寄りなのと、フロントトレッドが20mm広いのが効いた。
ただし、それに伴ってフェンダーも張り出した結果、全幅が1720〜1745mmになり、ノーマルモデルと違って5ナンバー登録できないのが惜しい。

ただ日常の道具としてだけでなく、時には元気な運転も楽しみたい場合には、最上級バージョン2.0Zにだけ備わる“ダイナミックスポーツモード”がおススメだ。これは、ダッシュボードのスイッチを押すだけでCVTのレシオが低めに移行し、電動パワーステアリングのアシスト量が減ると同時に、VSCの機能を応用して、コーナリングの限界に近づいた時、そっと内輪だけブレーキをかけたりして、クイッと曲がりやすくしてくれる。撒水した実験場で試したら、本当に効果てきめんだった。

そういうわけで新型トヨタ・ウィッシュは、どのようにでも使える便利満載車なのである。

(文=熊倉重春/写真=郡大二郎)

写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。
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トヨタ・ウィッシュ2.0G(FF/CVT)【試乗速報】の画像 拡大
7段スポーツシーケンシャルシフトマチック付きのCVT。上級グレードには、ステアリングから操作できるパドルシフトが標準装備される。
7段スポーツシーケンシャルシフトマチック付きのCVT。上級グレードには、ステアリングから操作できるパドルシフトが標準装備される。 拡大

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