トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)
これぞTOYOTAの看板商品 2026.05.30 試乗記 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車(PHEV)ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。第6世代の電動パワートレインを搭載
新型RAV4の発売は、ハイブリッド車(HEV)が2025年末で、PHEVが2026年3月と、パワートレインによって時期が少しだけズレた。というわけで、今回は3月にお送りしたHEVに続いて、PHEVの初試乗のご報告である。
ご承知のように、6代目となる新型RAV4はHEVとPHEVの2本立てとなる。それぞれが2グレードずつというラインナップ構成となるが、上級志向の「Z」は両パワートレインで共通である。残る1グレードが、HEVではいわばタフ系キャラクターの「アドベンチャー」となるのに対して、PHEVには本稿の主役であるGRスポーツが用意される。
ただ、このグレード構成は、あくまで日本市場での話。世界を見わたせば、HEVのGRスポーツもあれば、アドベンチャー系デザインが与えられたPHEVも存在する。さらにいうと、2025年5月のワールドプレミア時に“電動化”を一大テーマとして掲げた新型RAV4でも、市場によっては純エンジン車も残される。このあたりは、世界で年間100万台を売り上げる大ベストセラーならではだ。
新型RAV4のHEVとPHEVも、2.5リッターの「A25A-FXS」エンジンを核とする点は先代同様だが、ハイブリッドシステムはどちらも先代から世代交代している。HEVのそれは、大きくいうと2022年の「ノア/ヴォクシー」以降の第5世代、いっぽうのプラグインハイブリッドは今回初出の第6世代となる。
第6世代は、トヨタのシリーズパラレルハイブリッドとしては初めて、トランスアクスルとモーター、インバーター、DC-DCコンバーターが一体の“eアクスル”化された点が最大の特徴だ。結果としてキャビンからDC-DCコンバーターをなくしたうえで、ユニット自体も従来比で15%の低ハイト化と18%の軽量化を実現したという。
EV走行換算距離が1.5倍に
ほかにもプラットフォームの構造を見直すことで、床下のリチウムイオン電池の総電力量を、先代の17.4kWhから22.7kWh(ともにトヨタ計測値)へと上乗せさせている。あわせて満充電からのEV走行換算距離(WLTCモード)も95kmから145~150kmまで伸びている。
ただ、電池の総電力量が約3割増しなのに、EV走行換算距離が5割以上伸びているのは、システム自体の効率も向上していることを意味する。ちなみに競合車といえる「三菱アウトランダーPHEV」は、同じく22.7kWhの電池を積んでいるが、WLTCモードでのEV走行換算距離は最長で106km。RAV4とアウトランダーのサイズや重量、乗車定員などのちがいを差し引く必要はあるものの、少なくとも電費や燃費=効率面におけるトヨタハイブリッドの底力は相変わらず目を見張るものがある。
また、この第6世代プラグインハイブリッドから、走行中に電池残量を増やすチャージモードや、一定残量を維持するホールドモードの類いが廃された。この種の機能は「電気自動車(EV)限定の地域にも乗り入れられる」とか「深夜などに静かなEV状態で帰宅できる」などのメリットがうたわれてきたが、考えてみれば、それが絶対に必要とされる場面は、少なくとも今のリアルな日本にはほぼ存在しない。それどころか、この種の機能は、せっかくのハイブリッドならではの効率を明確に低下させるので、トヨタはあえて省くことにした。
また、新型RAV4のPHEVでは、先代の「RAV4 PHV」にはなかった急速充電機能も追加された。ガソリンを入れればいくらでも走るPHEVが市中の急速充電器を占拠する行為には賛否あるが、車載バッテリーを家庭用蓄電池として活用するV2H(ビークルトゥホーム)などのインターフェイスは、今の日本だと急速充電用のCHAdeMO規格しかないのも現実。今回の急速充電機能追加には、そうした理由もある。
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0-100km/h加速5.7秒の快足
今回の記事は、東京都文京区にあるトヨタ東京本社を拠点にしたメディア試乗会での取材模様である。GRスポーツとZという2台のRAV4 PHEVを途中で乗り換えつつ、都心の市街地や首都高速を中心に3時間ほど……というのが用意された試乗メニューで、われわれwebCG取材班は、まずGRスポーツのステアリングを握ってのスタートとなった。というわけで、今回はそのGRスポーツでの印象をリポートする。続いて乗ったZで思ったことについては、後日あらためてご報告したい。
GRスポーツの試乗車を手渡された時点での電池残量は80%。それでも予想EV走行可能距離は、先代のスペックを軽く超える120kmと表示されていた。先述の試乗メニューを見るかぎり、普通に走るだけなら、エンジンを一度も稼働させず、事実上のEVに終わる可能性が高い。先代のRAV4 PHVからの乗り換え先は、純粋なバッテリーEVのケースが少なくないというが、新型RAV4 PHEVではそうしたケースがさらに増える気がする。
それはともかく、もともとシャシー自慢が多いGRスポーツは、近年はパワートレインも専用仕立てにするケースも増えたが、今回のRAV4 PHEVについてはパワートレインはZとまったく共通という。まあPHEV自体がHEVより高出力になっているから、絶対性能に文句はない。ただ、開発陣にお話を聞くかぎり、今回は第6世代となるプラグインのパワートレイン自体が初出の新開発ユニットゆえ、さすがのトヨタもさらにGRスポーツを専用仕立てするまでの余力はなかった……というのが最大の理由のようだ。
それでも、GRうんぬんを横におけば、システム出力が先代の306PSから329PSまで向上している新型RAV4 PHEVは素直にパワフルである。あくまで参考値だが、0-100km/h加速も6.0秒から5.7秒に短縮しているとか。
がっちりとした車体剛性
ただ、それ以上に印象的だったのは、その滑らかなマナーだ。今回はあえて、「スポーツ」モードやシフトセレクターのSレンジを多用して、積極的にエンジンがかかるように走ってみたが、そのエンジン駆動の出入りが素晴らしくスムーズになった。聞けば、制御の進化や各部のフリクションロス低減に加えて、やはりeアクスル化の効果が大きいらしい。
Zに対するGRスポーツの専用部分は、外装ではおなじみの大開口フロントグリル、ダウンフォースや整流効果を生むリップスポイラー、リアディフューザー、ウイング式リアスポイラー、そしてリアサスペンションのロアアームカバーなどがある。また、シャシー方面では、専用軽量ホイールとそのホイールインセット変更によるワイドトレッド化、専用チューンのパワステ、そして前後コイルのレートとダンパー減衰が高められている。
いっぽうで、スタビライザーはZと共通で、20インチタイヤのサイズ、銘柄とも、同じPHEVならGRスポーツもZも変わりない。車体関係ではリアサスペンションメンバーへの補強とフロントエンドにパフォーマンスダンパーが追加される。……と、随所にGRらしい仕立てではあるものの、これまでのGRスポーツと比較すると、専用部品がどことなく少ない気がするのは、新型RAV4ではGRスポーツも主要モデルに位置づけられて、初期段階からGRカンパニーのメンバーも参加して開発したことも無関係ではなさそうだ。
実際、GRスポーツはZと比較すると、初期応答はシャープで上下動も明らかに少ないが、かといってZがゆるゆるというわけではないし、GRスポーツでも低速から乗り心地は好印象だった。それは今回のようなフラットで整備された試乗ルートだと、HEVより約200kg重いウェイトがもっぱらいい方向に効いたことが大きいが、新型RAV4そのものが印象的なほど高い車体剛性をもつからでもある。ともあれ、話題の「アリーン」も含めて、トヨタの最新技術が惜しげもなく投入された新型RAV4は、今回のような短時間試乗では語り切れない力作であることだけはわかった。
(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
トヨタRAV4 GRスポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4645×1880×1685mm
ホイールベース:2690mm
車重:1990kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:229N・m(23.4kgf・m)/4400-4800rpm
フロントモーター最高出力:206PS(151kW)
フロントモーター最大トルク:272N・m(27.7kgf・m)
リアモーター最高出力:55PS(41kW)
リアモーター最大トルク:123N・m(12.5kgf・m)
システム最高出力:329PS(242kW)
タイヤ:(前)235/50R20 104V XL/(後)235/50R20 104V XL(ダンロップSPスポーツマックス060)
ハイブリッド燃料消費率:21.5km/リッター(WLTCモード)
EV走行換算距離:145km
充電電力使用時走行距離:145km
交流電力量消費率:153Wh/km(WLTCモード)
価格:630万円/テスト車=651万8900円
オプション装備:ボディーカラー<ブラック×プラチナホワイトパールマイカ>(7万7000円)/ITSコネクト(2万7500円)/緊急時操舵支援<アクティブ操舵機能付き>+フロントクロストラフィックアラート<FCTA>+レーンチェンジアシスト<LCA>(7万8100円) ※以下、販売店オプション GRフロアマット(3万6300円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1230km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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