トヨタ・ランドクルーザー プラド 5ドア TZ(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ ・ランドクルーザー プラド 5ドア TZ(5AT) 2005.10.18 試乗記 ……470万6100円 総合評価……★★★★ 2005年7月にマイナーチェンジされた、トヨタのクロスカントリー「ランドクルーザー・プラド」。3.4リッターV6から4リッターV6に変更された上級グレードに乗った。
|
兄に肉薄する弟
トヨタ伝統の本格的なクロスカントリービークル、ランドクルーザー・プラドがマイナーチェンジされ、上級モデルに新設計のガソリンV6エンジンが搭載された。これまでの5VZ-FE型3.4リッターに取って代わったのは同じV6でも軽量・コンパクトを売り物にするアルミブロックの1GR-FE型4.0リッター。兄貴分のランドクルーザー100シリーズが誇るV8の2UZ-FE型4.7リッターにも迫ろうかという大排気量である。
当然、パワーとトルクの増強は目覚ましく、これまでの185ps/4800rpm、30.0mkg/3600rpmから一気に64psと8.8mkg増しの249ps/5200rpm、38.8/3800rpmを発揮する。これを100の235ps/4800rpm、43.0mkg/3600rpmと比較すると、さすがに排気量がものをいうトルクでは譲るものの、パワーの点では遜色ないどころかむしろ上回っているのには驚かされる。
マイナーチェンジの中身は実質これだけ。乗ってみると果たして100に劣らぬ実力が認められ、かえって両者の棲み分けが心配された。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタの誇る本格クロスカントリー「ランドクルーザー100」の弟分にして、「ハイラックス サーフ」とプラットフォームを共用するのが「ランドクルーザー・プラド」。現行モデルは、2002年10月7日にフルモデルチェンジした3代目で、高級&上質指向のプラド、若者向けのサーフとキャラクターが分けられる。サーフは5ドアモデルのみだが、プラドは5ドアに加え、3ドアもラインナップする。3ドアは5人乗りだが、5ドアには8人乗り仕様が用意される。
ラダーフレームにフロントがダブルウイッシュボーン、リアはリジッド式のサスペンションを採用する。「2WD-4WD」をコンベンショナルにスイッチで切り替えるサーフに対し、プラドはフルタイム4WDを採る。エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(163ps/5200rpm、25.1kgm/3800rpm)と、4.0リッターV6DOHC24バルブ(249ps/5200rpm、38.8kgm/3800rpm)のガソリンエンジンに加え、コモンレール式ディーゼルの3リッター直4DOHCターボ・インタークーラー付き(170ps/3400rpm、35.9kgm/1400〜3400rpm)の3種類。トランスミッションは2.7ガソリンと3リッターディーゼルターボが4段AT、4リッターガソリンが5段ATと組み合わせられる。
(グレード概要)
「TZ」は、電子制御エアサスペンションを備える、プラド5ドアモデルの最上級グレード。ステアリングホイールやインストルメントパネルは本革となり、インダッシュ式6連奏CDチェンジャー&MDプレーヤー、デュアルフルオートエアコンなどの豪華装備が標準で用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
兄弟車だから当たり前だが、室内の雰囲気は100とよく似ている。武骨な印象を和らげる目的の明るいインテリアカラーがそうなら、オプティトロンメーターをはじめとする各種ディテールのタッチも同じ。100同様にスイッチの数は多いが、全体にこちらのほうがスッキリしている。ただし、ダッシュボード周辺に貼り付けただけの木目調パネルは触るとブカブカしていて興醒めだ。
(前席)……★★★
4WDならではのメカニズムをぎっしり詰め込んだセンターコンソールがやや小振りなせいか、前席住人にとっての居住空間は事実上、100と変わらない。横への広がりもそうだが、特にヘッドクリアランスがたっぷりあるお陰でせせこましさとは無縁なのである。スエード調ニットのシートだけは圧力分布の関係からか、少なくとも筆者にはしっくりこなかった。
(2列目)……★★★★
ホイールベースが60mm短く、100の広大さには及ばないものの、依然としてレッグルームは脚が組めるほど充分で、フラットな床と高い天井がもたらす開放感も並みの乗用車では得られない。着座位置そのものは高いが、ボディ幅ギリギリまで張り出したサイドステップとアシストグリップを使えば乗り降りも想像されるほどには苦にならない。
(3列目)……★★
むしろ、100との違いが端的に表れるのは3列目。少なくとも積極的にリクライニングさせない限り、髪はルーフに触れ、膝は2列目の背に当たって斜に構えるほかはなく、率直に言って拷問に近い。しかし、本来サードシートとはそういうものなのだ。あくまでエクストラシートと割り切って跳ね上げておき、その分、カーゴスペースに充てるのが正解である。
(荷室)……★★
荷室の広さと3列目の居住性は完全にトレードオフの関係にある。したがって、定員(8名)乗車が前提だと背後に残されたスペースが狭いのは当然で、この場合、スーツケースは縦にしても1個も入らない。3列目を畳めば逆に望外のスペースが入手できる。横開きのテールゲートはそれなりのメリットもあるが、傾斜地ではストッパーが弱く、ひとりでに締まってしまうのは困りもの。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
新エンジンはなかなかの上出来だ。低回転でもターボのようにモリモリと力がある上に、3000rpm以上ではドーンと豪快に加速し、その瞬間、かえって若干のシフトショックに見舞われるくらいである。結果としての印象はまさに100と同等。巡航状態で静かなこともV8にヒケを取らないが、それもそのはず、メーター読みの100km/hは1750rpmと、100の1900rpmを下回っているのだから。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
絶対的なスタビリティはともかく、少なくともフィールの上ではややダルなステアリングや実効的な差が認めにくい可変ダンパー、いざという時にヨーが出そうな「気配」等々、乗り味は100とよく似ている。それでも主としてリアのロケーションが確かな分、それぞれが「レスワース」で、全体としてより好ましく思えた。それに、いまや都市生活者にとって最近の平均的な機械式駐車場パレット(長さ5m×幅1.85m前後/車重2200kg前後)にも、高ささえクリアできればなんとか収まるこのサイズはギリギリであり、かつこれで充分と見えるが、いかがだろうか?
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:道田宣和(別冊CG編集室)
テスト日:2005年9月7〜8日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1296km
タイヤ:(前)265/65R17 112S(後)同じ(ブリヂストン Dueler H/T 840)
オプション装備:VSC・アクティブTRCシステム(ハイドロブレーキブースター+電動センターデフロック+DAC制御&ヒルスタートアシストコントロール付き。9万4500円)/ルーフレール(3万1500円)/SRSサイドエアバッグ(フロントシート)&SRSカーテンシールドエアバッグ(フロントシート・セカンドシート。8万4000円)/プラド・スーパーライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きEMV+MDプレーヤー一体AM/FMマルチ電子チューナーラジオ+6連奏CDチェンジャー+AM/FM/TVダイバーシティガラスアンテナ+9スピーカー+音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター。32万7600円)/リアシートエンターテイメントシステム(リモコン付き後席7型ワイドマルチディスプレイ+DVDプレーヤー+ヘッドホンジャック+ビデオ端子。22万500円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(1):高速道路(4):山岳路(5)
テスト距離:283km
使用燃料:29リッター
参考燃費:9.8km/リッター

道田 宣和
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。 -
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気
2026.1.15エディターから一言日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。 -
ルノー・グランカングー クルール
2026.1.15画像・写真3列7座の新型マルチパーパスビークル「ルノー・グランカングー クルール」が、2026年2月5日に発売される。それに先駆けて公開された実車の外装・内装を、豊富な写真で紹介する。 -
市街地でハンズオフ運転が可能な市販車の登場まであと1年 日産の取り組みを再確認する
2026.1.15デイリーコラム日産自動車は2027年に発売する車両に、市街地でハンズフリー走行が行える次世代「ProPILOT(プロパイロット)」を搭載する。その発売まであと1年。革新的な新技術を搭載する市販車の登場は、われわれにどんなメリットをもたらすのか。あらためて考えてみた。






































