「速く走るのにESCは邪魔?」

2005.09.03 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ドライビング
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「速く走るのにESCは邪魔?」

質問です。最近欧州車をはじめとして、ESC(電子制御の横滑り防止装置)が付いているクルマが多くなってきました。よく「スポーティに走るにはESCをオフにして……」と雑誌等で見るのですが、ESCをオフにした方が速く走れるのでしょうか? また、ESCをオンのまま走ったとしたら、ESCを効かせるのと効かせないのでどちらがタイムとしては速く走れるのでしょうか?(東京都SKさん)

お答えします。まずESC(電子制御の横滑り防止装置)ですが、これは安全走行をするためのアクティブセーフティ的なデバイスであり、速く走ることとは目的の異なる装置であることを知っておきましょう。

ESCは作動すると瞬時にブレーキ制御が働き、場合によってはスロットルなどをコントロールし、エンジン出力も制御します。そのときは前に進むというよりも、危険な状態のクルマの姿勢(アンダーステアやオーバーステアなど)を、いかに素早く元の状態に戻すかということが重点になります。

しかしこの制御プログラムは、クルマによって異なります。大まかに言えば、高価なクルマほど高度なセッティングがされていると言えましょう。つまり、大衆車などでは姿勢制御だけにこだわり、速く走ることをジャマしてしまいますが、スポーティな高級車では、過剰な制御はしなくなります。

ドライバーにテクニックがある場合は、意のままに近いダイレクトな走りができる、ESCオフの状態が速く走れると思います。また、ESCをオンのまま走ったときですが、この状態でも「ESCをギリギリ効かせない走行」が理屈としては一番速いでしょう。
ただし、一般のドライバーはそこまでの限界走行ができないと思います。特に先に挙げた高価なクルマなどでは、控えめに走るよりは、ESCの助けを借りてダイナミックに走った方が速いときもあるでしょう。

よって「ESCをオフにした方が速い」とは一概に言えません。
もっともESCもサーキット用に進化すれば、誰がドライブしてもレコードラインを走れば最速のタイムがでてしまう、なんてことがあるかもしれませんね。

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松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。