第66回:花粉症はナゼ発症するのか〜答えは日光に〜(その3)(矢貫隆)
2005.09.02 クルマで登山第66回:花粉症はナゼ発症するのか〜答えは日光に〜(その3)(矢貫隆)
■発症のメカニズム
スギ花粉症の症状はどうして起こるのか。そのメカニズムを、「僕の、ある日の症状がでるまで」で説明しよう。
スギ花粉(=抗原)が体内に吸入されると、その情報はリンパ球や細胞へと伝わり免疫グロブリンE(=IgE抗体)が生産される。一般に“抗体”は体内に侵入した異物を排除する免疫として知られるが、この場合のIgE抗体は、免疫としてと言うより、むしろ“抗原に対して反応を起こす”と考えた方が話がわかりやすい。
そしてこのIgE抗体に抗原であるスギ花粉がつくと、その瞬間にスギ花粉症のスイッチがONになり、ヒスタミンの粒などアレルギー反応を起こす化学伝達物質が放出され、僕の目は痒くなり、鼻がムズムズしてクシャミや鼻水がでる。
つまり、体のなかで起こっている抗原抗体反応の結果が、スギ花粉症の症状として現れているということなのである。だから、ひどい花粉症に悩まされている人やアレルギー疾患の人が服用するクスリには抗ヒスタミン剤が含まれているわけなのだ。
「理科系の成績が最悪だった人が書いているとは思えない記事ですねぇ」
自分でもそう思うよ。勉強したんだ。
「話を続けて下さい」
勉強しているときに見つけた資料、『ディーゼル車公害』(緑風出版刊)に次のような記述がある。
「小泉院長が花粉症に悩まされている全国の学童数を調べてみると、農村地区の場合(花粉症罹患者が)あまり増えていないのに、多量のスギ花粉が飛散する山林から遠く離れた大都市の学童のあいだでは急増していることがわかった」
これが意味しているのは要するに、スギ花粉の飛散量が多い土地ほどスギ花粉症に罹患する人が多いとは限らないということ。
「小泉院長って誰ですか?」
次回で説明するから話を続けさせてくれ。
この報告にあるのと同じような傾向が、東京都衛生局の『花粉症対策総合報告書』(昭和58年度から62年度にわたる調査)でも報告されていた。
それによれば、都内の3地区(秋川市=現あきる野市、調布市、大田区)の住民3600人を調査した結果、花粉症罹患率は秋川市が7.5%、調布市が15.7%、大田区が8.9%。つまり、もっともスギ花粉の飛散量が多いはずの秋川市での罹患率がもっとも低かったという結果がでていた。
「なるほど、飛散するスギ花粉の絶対量の増加は事実としてあるけれど、スギ花粉症の原因はそれだけが理由ではないというところに話がつながってきたわけですね」(つづく)
(文=矢貫隆/2005年9月)

矢貫 隆
1951年生まれ。長距離トラック運転手、タクシードライバーなど、多数の職業を経て、ノンフィクションライターに。現在『CAR GRAPHIC』誌で「矢貫 隆のニッポンジドウシャ奇譚」を連載中。『自殺―生き残りの証言』(文春文庫)、『刑場に消ゆ』(文藝春秋)、『タクシー運転手が教える秘密の京都』(文藝春秋)など、著書多数。
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