リリース間近、日産の先進技術を目のあたりにする(前編:燃料電池、ハイブリッド、カメラシステム)
2005.04.22 自動車ニュースリリース間近、日産の先進技術を目のあたりにする(前編:燃料電池、ハイブリッド、カメラシステム)
モーターショーではお馴染みのコンセプトカー。さまざまな技術を詰め込んだ車両に感心しながらも、「これはいつ頃実用化できるの?」と思うことも多々ある。そんな疑問を晴らすべく、神奈川県追浜にある日産自動車総合研究所に、『webCG』記者が潜入した。
■環境・安全がトレンド
激しい競争の中、他社に負けない技術を生み出すための研究開発は、各自動車メーカーにとって不可欠なこと。昨今の開発トレンドは、ダイナミックパフォーマンスや快適性より、安全性や環境、ITSの技術にシフトしているという。
今回は、苦しい時代を乗り越え、2000年以降研究開発投資を増やし続けてきた日産の、市販間近といわれる先行開発技術を見に、総合研究所へと向かった。
■実用化に向けて前進中 〜 燃料電池とハイブリッド
内燃機関に次ぐ技術として注目される燃料電池車(FCV)。開発競争に遅れた感のあった日産だったが、2003年には「エクストレイル」をベースとしたFCVで公道実験を開始。そして2005年2月、ついに燃料電池の自社開発に成功した。
出力を発生する「FC(Fuel Cell)スタック」の構成部品であるセパレータを薄型に改良。加えて内部の構造を見直すことにより、従来品と同じ重量のFCスタックを搭載した場合と比べ、およそ2倍の出力が発生できるようになったという。さらに寿命が2倍延びたというオマケつき。
燃料となる水素を貯蔵するタンクの容量も、圧縮技術を向上させることで、水素貯蔵量が約30%アップ。航続距離もそれに準じて延びるとのことだ。水素タンクは単純に大きくして容量を稼ぐと、車内居住性にも影響を与えるため、さらなる努力が必要だという。
国内外でトヨタにリードされているハイブリッド技術だが、日産はハイブリッドシステム用コンポーネントを、そのトヨタから供給してもらうことを発表済み。2006年には「アルティマハイブリッド」を市場投入するという。
(関連記事:http://www.webcg.net/WEBCG/news/000015305.html)
ということで、こちらの開発は、自社エンジンやシャシーとのマッチングを整えるのみ。と言うのは簡単だが、これも難しいことであろう。
これからどのような車種に展開していくかは発表されなかったが、トヨタとの差別化を図る意味でも、先行してスポーティカーに搭載してもらいたいところだ。
■カメラが握る安心 〜 アラウンドビューモニター&レーンデパーチャープリヴェンション
上級車や大型のモデルでは一般的になりつつあるリアビューモニターの究極形といえるのが「アラウンドビューモニター」。前後左右にあるカメラの映像を加工して(そのままだと画像がゆがむ)つなぎ合わせることで、あたかも上空から見ているように、車内モニターで周囲を確認できるというものだ。
「右」「左」「後方」などと画面が分かれているよりは、こちらの方が断然見やすくわかりやすい。実際に画面を見ながらステアリングを切ると、ゲームをやっているような感覚に陥るが、ある程度信用して運転すると、かなり楽チンである。
次はLDP(レーンデパーチャープリヴェンション)、つまり車線逸脱防止の機能を体験する。テスト車両は「インフィニティFX45」。
ルームミラー裏に取り付けられたカメラにより、路面の白線を感知、車線をはみ出すようなコースを取り始めると、警報とともに車両を車線内にとどめるように向きを変える。ホンダが「インスパイア」に搭載したような、ステアリングを制御するシステムと違い、こちらは各輪にブレーキをかけて挙動をコントロールする。なお、ウインカーを点けてレーンチェンジの意思表示をすることにより、制御機能はキャンセルされて通常通り走行できる。
実際に白線方向にわざとクルマを進めると、まるで白線の上に壁があり、それに押し返されるように車両が反応する。テストなので多少制御を強めに設定していたというが、これはかなり効果的。ここまで強力に効くとは思わなかった。
どちらの機能もカメラが重要な役割を果たすが、もちろんカメラ任せでは危険。これらは補助機能であり、ドライバーの注意と技量あってこそだということはいうまでもない。
(つづく)
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=高橋信宏)
・【後編】:四輪アクティブステア、VCRピストンクランクシステム
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000016624.html
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