日産セレナ25ハイウェイスターX(4AT)7人乗り(後編)【試乗記】
現代版サニー(後編) 2004.12.16 試乗記 日産セレナ25ハイウェイスターX(4AT)7人乗り ……294万円 現代のモノスペースと1960〜70年代の“大衆車”。セレナ25ハイウェイスターXに乗った別冊CG編集室の道田宣和は、一見何の脈絡もないようだが、なぜかセレナの息づかいにサニーの面影を見た。古臭いけど腹は立たない
ミニバンにおける福利厚生のもうひとつが、退屈を紛らわせるAV機器だとすれば、この面ではいささか期待外れだった。テスト車には、DVD方式カーナビゲーションやリアビューモニターと一体化したそれがオプション装着されていたが、艶のない黒一色の周辺パネルやスイッチのデザインがいかにも古臭い。事実、スピーカーの音質が低レベルなうえ、すこしでも回転を上げるとエンジンの音に掻き消されてしまい、到底楽しめるようなレベルではないというのが正直なところだ。
そのエンジンも、第一印象としてはやや時代がかったものだった。乗り込んだ途端、ゴロゴロと微振動を伴うアイドリングが“良くできた”ディーゼルかと錯覚させ、回せば回したで結構うるさい。ざっと80km/hくらいまではエンジンの音が過半を占め、そこから上はダンロップSP10の発するロードノイズが耳に付く。100km/hに到ると、今度はエンジン回転数は、オーバードライブ(4速)で2250rpmにすぎないのに、風切り音がそれらすべてを凌駕するようになり、終始安寧を誘う静かさとは無縁のクルマなのである。
とはいえ、後ろの住人からはこれといった文句が出なかったから、多分に広い室内空間が醸す雰囲気の問題もあるのだろう。
そう思って見直してみると、6500rpmがリミットの「QR25DE」型エンジンはなかなかの好血漢でもある。オートマチックによる自動制御により現実には6000rpm+が上限だが、とにかく回せば回しただけ自ら好んで跳ね上がるタイプとみえ、回転マナーは軽快で気持ちがいい。そんな意味でも、かつてサニーに積まれた名機、プッシュロッドOHVのA型エンジンを彷彿させるに充分だった。
慎ましさに好感
乗り心地も決して近代的なそれではない。ワンボックスタイプとはいえ昔と違って“キャブ・オーバー・ザ・ホイール”(前席がフロントアクスルの真上にあるタイプ)ではないのに、軽いエレベーション(垂直動)が感じられ、速度と路面によっては多少のピッチングも皆無ではない。ハンドリングはかなりのアンダーステアを示す。高速道路上で遭遇する程度の大きな曲率でも、夜闇に乗じ、またぐっすり眠った同乗者に悟られない範囲で飛ばしてみると、ロック・トゥ・ロック3.3回転するステアリングを円周上で70〜80度も切っている自分に気づき、慌てさせられたこともある。現代のクルマにしては“ローテク”な部類に属し、トラクションコントロールなども未装着とあって、料金所直後の水溜まりに足を取られ、過大なトルクステアにヒヤッとさせられたこともあった。
けれども、かつてのサニー同様、このクルマも“大衆車”なるがゆえの、ある種の慎ましさを好ましく感じる。その典型が、依然ボディサイズの上では小型車枠(5ナンバー)を守る1690mmの全幅だ。実際、地方の街なかは車幅ギリギリの狭隘路も多い。以前、エスティマで何度も切り返してようやく曲がれた路地も、セレナは一発だ。
燃料がレギュラーであることも“庶民的”。都内近郊(4割)と地方往復(6割)の総平均で7.2km/リッターの燃費も、この種のクルマではまずまずである。燃費について言えば、足の短いのが玉に瑕。高速道路でもトリップメーターの数字が300kmを越す頃になると、そぞろ給油が気になり始めるのは少々困りものである。
(文=別冊CG編集室道田宣和/写真=峰昌宏・日産自動車/2004年8月)

道田 宣和
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