ヒュンダイJM 2.0GLS(4AT)/2.7GLS(4AT)【試乗記】
値段以外も見てほしい 2004.09.30 試乗記 ヒュンダイJM 2.0GLS(4AT)/2.7GLS(4AT) ……187万9500円/255万1500円 2.7リッターV6が231万円から、2リッター直4なら169万500円からと、まさに“ヒュンダイ流”のプライスで度肝を抜くスモールSUV「JM」。2リッターモデルの「2.0GLS」と、2.7リッターV6を積む「2.7GLS」に、自動車ジャーナリストの生方聡が乗った。一皮むけた
相変わらずバリュープライスで攻勢をかけるヒュンダイだが、これまでとはちょっと違う雰囲気を感じとったのは私だけだろうか?
たとえばエクステリア。以前は個人的に“くどいかなぁ”とか“エグイなぁ”と感じることが多く、正直なところ一歩引いていたが、この「JM」はちょっと違う。これまでと比べるとあっさりめで、すんなり受け入れることができた。
インテリアもSUVに相応しいスポーティな印象で、ずいぶんアカ抜けた感じ。質感も悪くないし、まとまりもいい。エクステリア、インテリアとも、まさに一皮むけた印象である。
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私なら2リッターモデル
そして、中身の方も、デザインに負けないくらいよくできている。今回試乗したのは、FFの「2.0GLS」と4WDの「2.7GLS」。なかでも2.0GLSはオススメのモデルだ。
たしかに2.7リッターV6は低回転でひとまわり余裕のトルクを発揮し、高回転域までスムーズ。これに対し、2リッター直4は、加速時や高回転域でのエンジン音が多少耳障りで、また、高回転域の活発さに欠けるが、カンジンの低中回転域では必要十分なだけの力強さはある。実用上不満をおぼえることはまずない。
そのうえ、身のこなしという点では、明らかに2.0GLSのほうが好印象だった。車両重量の軽さ、そして、フロントの軽さが幸いして、ハンドルを切ったときのノーズの動きが軽快だし、乗り心地も2.0GLSのほうがフラット。荒れた路面ではタイヤ/ホイールがドタバタする場面もあったが、硬すぎず、柔らかすぎずの快適さはとても乗用車的で、全般的に落ち着いた印象である……。
と、2.0GLSと2.7GLSの比較をしてみたが、もちろん2.0GLSを単体で見ても、その仕上がりのよさは十分に高いレベルに達している。
基本がしっかり
これ以外にも、全長4325mmとコンパクトなわりに足もとも頭上も広々としている後席や、標準の状態でも余裕十分のラゲッジスペース、簡単にフラットで広大な荷室がつくり出せるリアシート、便利なリアガラスハッチなど、パッケージングや使い勝手といった基本がしっかりしているのだ。これで価格が安いのだから、日本のメーカーにとっては脅威以外の何者でもないに違いない。
そんなモデルを試さない手はない。まずは騙されたと思って(!?)試乗してほしい。私同様、侮れないヒュンダイのパワーを実感できるはずだ。
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2004年9月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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