ホンダ・エレメント(4AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・エレメント(4AT) 2003.09.04 試乗記 ……290.5万円 総合評価……★★★ 海岸に建てられた「ライフガードステーション(監視台)」をモチーフに、アメリカで開発、生産される「ホンダ・エレメント」。両側観音開きのドアをもつ“遊び”グルマに、笹目二朗が乗った。
|
ファンカーに覗く理性
コンセプトはなかなか面白い。ホンダの「S-MX」や「CR-V」とも違う、独自のオリジナル性が感じられるし、新しい試みも随所にみられる。けっして地味なわけでもない。
しかし個人的には、何故か「欲しい」と思わせる魅力がすくない。つまり、食材は豊富にして豪華ながら、料理法が下手というか、味付けがマズいので損をしているようなのだ。
はなはだ無責任な書き方をさせていただくと、エンジンパワーが不足しているわけでもないのに、たとえば3リッターV6を載せてしまうとか、何かに特化したモデルでスタートし、需要が増したところで廉価版を出すなど、もっとエネルギッシュな展開をする方が“アメリカン”らしいと思う。そのほうが、“輸入車”としての魅力も増すだろうし。
エレメントは、単なる実用車ではないのだから、一種の“ファンカー”としての要素をもっと強調すると面白い。なのに、どこかで理性が顔を覗かせ、消極策になってしまったような気がする。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アメリカで企画・開発・生産され、日本国内へは2003年4月から輸入販売された、“純輸入”ホンダ車。両サイドともセンターピラーのない観音開きドアが大きな特徴である。室内は2列シートの5人乗り。リアシートは左右に分割跳ね上げでき、荷室の床は低くフラット。床はもちろん、シートも防水加工が施される。
エンジンは北米版「アコード」と同じ、2.4リッター直列4気筒DOHC「i-VTEC」(160PS)を搭載。トランスミッションは、インパネシフトの4段ATが組み合わされる。駆動方式はデュアルポンプ式リアルタイム4WDのみ。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット/コイル、リアはダブルウィッシュボーン/コイルで、前後とも独立式だ。
(グレード概要)
日本で販売されるエレメントはモノグレード。北米におけるトップグレードとほぼ同じ内容で、オーディオやオートエアコン、電動格納式リモコンドアミラーなど、快適装備を標準装備する。
ボディーカラーは、太陽や海など自然をモチーフにした全5色を設定。インテリアは、ブラック&グレー、グレー&ブルー、グレー&グリーンの3種類が用意される。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
実用に徹するのか、遊びに振るのか、どっちつかずの感あり。キャストは豪華にして充分な陣容ながら、監督の采配が発揮されていない映画のようだ。ATのインパネシフトは便利で実用性も高いが、位置や操作角度に今一つ工夫が欲しいところ。収納スペースや棚なども、単なるデザイン的な処理ではなく、目的遂行を実現させるのが先決である。要するに、イマイチ使い勝手が悪い。
(前席)……★★★
シートはサイズこそタップリしているが、見た目通り平板でホールド感は不足ぎみ。表皮は防水仕様で、濡れた水着のままでも乗れそうな気安さがある。四角張ったボディ形状ゆえ、空間的な環境は良好だ。ただし、Aピラー付け根とドアミラー周辺の視界確保は課題を残す。インパネシフトだから、横方向へのウォークスルーも簡単。目的に適った買い物と思える人には4つ星か。
(後席)……★★★★
このクルマのセールスポイントの一つ、観音開きドアは確かに乗降性にすぐれる。長尺物の積みおろしにも便利だろう。室内高があるので、立ったままのウォークスルーも可能。前後ドアの閉める順番(後が先)にまつわる誤操作対策も考えられ、間違ってもドアが「ボヨ〜ン」と跳ね返るだけ。リアシートは、フラットにしてから左右に跳ね上げることができる。シートの置き場所は難しい問題だが、無難な処理で解決した。座り心地は、独立した専用品だけにゆったりしている。
(荷室)……★★★★
床面積は外観から想像されるほど広くはない。しかし、天地方向の余裕があるため、かなりの量が積めそうだ。バイクや自転車などを運ぶには最適か。上下2枚に分割されるリアハッチゲートは、つくりもヘビーデューティで、下側のゲートは、一旦載せてから押し入れるような重量物の積み込みに耐える。ビニール敷ゆえ、汚れ物を積んだあとの掃除も楽。スペアタイアは棚板の下(室内)にあるが、積車時のパンクを考えると床下の方がよさそう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
2.4リッターにしてはトルク感が薄いが、1.5トンを超す重量を考えると納得。加速は苦手でも、クルーズに移ればちょっとした登り坂もなんのその。4WDはまったく意識できなかったが、砂利の上など不整地での発進も、無用なホイールスピンに驚かされなくてすむ。ATはややスリップ感大きいが、シフトチェンジする際の繋がりはスムーズ。もっとワイドレシオな方がよりアメリカンだが、日本での使い勝手はこちらのほうがいいだろう。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
やや硬めのセッティングは、積車時を想定するとある程度やむなし。1〜2名の軽荷重で乗る時には、タイア空気圧を下げてしのげる範囲だろう。ただし、速度を上げるとかなり改善され、短いホイールベースのわりにはピッチングがすくなく、おおむね快適だ。操縦安定性もトラック的ではあるが、ロールの不安もなくワインディングでもハイペースで走れた。
(写真=清水健太)
|
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年7月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:4511km
タイヤ:(前)215/70R16(後)同じ(いずれもグッドイヤー ラングラー HP)
オプション装備:デュアルサイズDVDナビコンボ=28.0万円/シートバックバンジーコード=0.5万円/ハロゲンフォグライト=3.0万円
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(3):山岳路(4)
テスト距離:398.1km
使用燃料:57.4リッター
参考燃費:6.9km/リッター

笹目 二朗
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】 2026.10.5 今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。
-
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)【試乗記】 2026.10.3 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。
-
日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.9.30 日産のプレミアムミニバン「エルグランド」がフルモデルチェンジ。その動力を担う第3世代の「e-POWER」は優れたドライバビリティーとともに、懸案だった高速燃費の改善もうたう。ロングドライブで進化のほどを確かめた。
-
NEW
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く
2026.10.9デイリーコラムパナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。 -
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。 -
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか?
2026.10.7デイリーコラムいよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。 -
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】
2026.10.7試乗記新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。





























