スズキ・スイフトスポーツ(5MT)【試乗記】
真面目な119万円 2003.07.28 試乗記 スズキ・スイフトスポーツ(5MT) ……141.3万円 「泣く子も笑う79.0万円」をキャッチコピーにするスズキ「スイフト」に、3ドアの専用ボディや高回転チューンエンジン+5MTを奢ったスポーティ版「スイフトスポーツ」が追加された。『webCG』記者が報告する。欧州名「イグニススポーツ」
試乗会場のホテル駐車場には、色鮮やかなイエローの「スイフトスポーツ」が並ぶ。スイフトスポーツはその名の通り、エンジンや足まわりをチューンしたスイフトのスポーティバージョン。“ノーマル”スイフトは、5ドアの1.3リッター(4AT/5MT)モデルだけだが、“スポーツ”は専用の3ドアボディに、1.5リッターエンジン+5段MTのみの設定。オトコらしい。
スズキは、欧州で開催される「JWRC」(ジュニア世界ラリー選手権)に、スイフト(欧州名イグニス)を競技車両として投入している。2003年、第3戦のアクロポリスラリーでは、2〜4位を占める活躍を見せた。今回リリースされたスイフトスポーツは、JWRCのイメージを反映させたモデルである。欧州では、(ほぼ)同型車が「イグニス・スポーツ」の名で販売されるから、スズキのスポーティイメージを牽引する役目を、グローバルで担う車種でもあるのだ。
という予備知識を仕込んで試乗会に赴いたリポーターだが、実車はハデな黄色に塗られた普通のスイフト、に見えた。ノーマルスイフトよりトレッドを前15mm、後20mm拡大されたことにともない、ボディはワイド化され、ノーマルより張りのある前後バンパー&フェンダーは、確かに普通のスイフトとは違う。が、元々のスタイリングがおとなしいせいだろう。たとえば、インプレッサやランエボのような、「ラリーウェポン」丸出しの威圧感はない。
インテリアは、フロントの、レカロ社と共同開発したというセミバケットシート(フロント)が「オッ!」と思わせる。握りが太い本革巻ステアリングホイールを装着するが、それ以外に目立ってスポーティなアイテムは……プラスチックにプリントされた「カーボン調パネル」は、いかがなもんでしょう。
このスイフトスポーツ、車両本体価格は119.0万円と、実際に安い! スズキのクルマと比較すると、ターボエンジンを積む軽乗用車「ワゴンR FTエアロ」(FF/4AT)が120.3万円、ホットチューンの「Keiワークス」(FF/5MT)は、124.2万円である。スズキがライバルと名指しする「ヴィッツRS」(3ドア、5MT)は130.8万円。スイフトスポーツでも、泣く子が笑う?
目一杯使える
なにはともあれ、試乗に向かうべく運転席に座る。15mmローダウンされてはいるが、背高ワゴンのスイフトだから視点は高く、運転席まわりのスペースは頭上、足元とも広い。サイドサポートが利いたタイトなレカロシートがスポーティ……、と思ったら、速度計が240km/hスケール(!)なので驚いた。あとでスズキの方にうかがったところ、海外向けのイグニスとパーツを共用したためだという。
スイフトスポーツのエンジンは、「エリオ」などに積まれる1.5リッター直4をベースに、高回転チューンが施された。圧縮比を9.5から11.0へと高め、耐久性を上げるべく、ピストンが従来のアルミ鋳造製から、鍛造製に変更された!! 最高出力は、エリオのそれより5psアップの115ps/6400rpmを発生。最大トルクは14.6kgmと変わらないが、発生回転数は100rpm高い4100rpmとなった。
動き出すと、車重930kgのスイフトスポーツは身軽で、エンジン音の高まりに合わせて軽快に速度を増す。ローでレッドゾーンギリギリの6500rpmまで引っ張って約60km/h、セカンドに入れるとタコメーターの針は5000rpmに落ちる。エンジンは、吹け上がりが軽いこともさることながら、回転落ちが素早く、小気味よいギアチェンジが楽しめる。高回転型ではあるが低速トルクも十分あり、街なかでの使い勝手もよい。
後日、箱根へ行く際に調べたところ、高速道路での100km/h巡航時、エンジン回転数は3200rpmに達する。スイフトスポーツのギアは、ちょっとローギアードなのだ。エンジンを目一杯使って走ることができるのが、嬉しい。
見えないトコロにスポーティ
足まわりは今時珍しいと思えるくらいハードで、路面からの突き上げを正直に伝える。スイフトスポーツは、15mmローダウンの専用サスペンションを装着するほか、大径のパフォーマンスロッドで左右サスペンションをつなぎ、スポット溶接を50ポイント増やすなど、ボディ剛性の向上に努めた。見た目のシンプルさとは裏腹(?)に、目に見えないトコロに“スポーティ”が隠れたモデルなのである。
段差を超えたときにボディがきしむようなこともなく、コーナーでは背高ワゴンとは思えない安定感を見せる。コーナー手前でブレーキを踏めば、専用パッドを装着する4輪ディスクブレーキが速度を殺し、アクセルをあおってシフトダウン。クイックなギア比を与えられた電動パワステを切ったときの、軽快な動きが印象的だ。
スイフトスポーツは、JWRCを“イメージ”したとはいいながら、イメージだけに終わっていない真面目なチューンで、ドライブを楽しませてくれる。これで119.0万円。素のまま乗ってもいいし、さらにチューニングして楽しむのも、アリなんじゃないでしょうか。
(文=webCGオオサワ/写真=荒川正幸(CG)/2003年7月)

大澤 俊博
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