トヨタ・ラウム1.5 “Sパッケージ”(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ラウム1.5 “Sパッケージ”(4AT) 2003.07.15 試乗記 ……212.7万円 総合評価……★★★ 「ユニバーサルデザイン」をコンセプトに開発された新型「ラウム」を、モータージャーナリストの生方聡がテストドライブ。ちょっぴり“スポーティ”仕様のラウムはどうなのか?どんな人でも乗りやすい
ボディはコンパクトなのに室内が広く、狭いところでも乗り降りがしやすいリアスライドドアを採用……といった点が評価されたラウムが、コンセプトはそのままに、さらに使いやすいクルマを目指してフルチェンジした。今回のテーマは“ユニバーサルデザイン”。どんな人でも気持ちよく使えるよう工夫を凝らしたというわけである。
なかでも注目は助手席側の前後ドア。前のドアにBピラーを内蔵することで、前後ドアを開けるとBピラーが残らない構造になっているのだ。おかげで、どんな人でも乗り降りしやすいクルマに仕上がっている。
これはほんの一例にすぎないが、移動するための乗り物としては確かによくできていると思うし、買っても損はないだろう。でも、クルマとしての個性が薄く、どちらかといえば日本の家電製品を買う感覚に近い。使いやすいうえに愛着が持てるようなデザインは難しいのだろうか?
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年5月に初代が生まれたラウムは、最初からいかに効率よく、快適に人を移動させるかを考えたクルマである。当時のターセル/コルサをベースに、ホイールベースを延ばしながらも全長を詰め、全高は上げて居住空間拡大を優先した。またリア・ドアは両方ともスライド式でウォークスルー機構を持っていた。
今回の2代目は、この初代ではまだなんとなくモヤモヤしていたであろうこのクルマのあるべき姿を、「ユニバーサルデザイン」というコンセプトに収斂させたものである。
エンジンは4気筒DOHCの1.5リッター「1NZ-FE」で、2WDが109ps、4WDは105ps。4段AT「スーパーECT」と組み合わされる。
(グレード概要)
グレードはベース車に加え、ベーシックな“Cパッケージ”と豪華版の“Gパッケージ”、スポーティな“Sパッケージ”からなる。Sパッケージには、4本スポーク合皮巻き楕円ステアリングホイール、15インチアルミホイール、カラードスポイラーなどが標準装備される。
【室内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ダッシュボード上のセンターメーターは、シンプルなデザインに大きな文字でとても見やすい。これだけでクルマの印象はグッとよくなる。空調調節用のノブも大きくて使いやすいし、センタークラスターから生えるシフトレバーも自然に手が届く感じ。ただ、個体によるものなのか、一部のレバーで動きが渋いものがあったのは残念。楕円形のステアリングホイールははじめ違和感を覚えたが、しばらく運転しているうちに慣れてしまった。
(前席)……★★★★
運転席は、高さ調整がレバー操作で簡単にできるアジャスター付き。アームレストも標準装備である。座り心地はソフトだが、背中が包み込まれるような印象なので、案外長距離移動でも疲れないかもしれない。助手席はシートバックが倒せるばかりか、その状態からクッションを持ち上げることができるタンブルシートを採用したのが特徴だ。これにより、リアシートへのアクセスがさらに容易になる。
(後席)……★★★★
リアシートは、シートスライドこそないが、十分広いレッグスペースを誇る。助手席同様のタンブルシートの6:4の分割可倒式で、実用的なシートアレンジである。新型ラウムのウリである“パノラマオープンドア”(助手席側のみ)は、実際に前後ドアを開けてみると、あらためてその開口部の広さに驚く。他の観音開きドアと違って、前後のドアが独立して開閉できるのも便利な点だ。気になったのは、ボディが小さいために、リアのスライドドアだけ開けると、意外に開口部が狭いこと。狭い場所での乗り降りには便利な機構なのだが……。
(荷室)……★★★★
全長4045mmのコンパクトなボディで、後席のレッグスペースを十分確保しながら、どうしてこれほど広いラゲッジスペースが確保できるのか不思議なくらい荷室は広い。標準状態で690mm、後席を畳めば1170mmに及ぶ奥行き、1030mmの荷室高などは、荷物を選ばないだろう。荷室のフロアも低く、重量物の出し入れも楽。バックドアは横開きで、後ろが狭い場所でも開閉が可能である。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
前輪駆動のラウムに搭載される1.5リッターエンジンは、最高出力109ps/6000rpm、最大トルク14.4kgm/4200rpmのスペック。街中では低中速回転域のレスポンスがよいことから、ストレスなく走らせることができる。実用車はこうでなくては! 高速道路でも急な登り勾配でないかぎり、必要十分な性能である。組み合わせられるオートマチックもスムーズな印象だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ソフトな乗り心地でありながら、落ち着いた感じが好印象だ。目地段差や路面の荒れなども巧く遮断し、快適性を保っている。コーナーではややロールが大きいが、姿勢そのものは安定しているので、ワインディングロードで飛ばしても不安になることはないだろう。助手席側のBピラーが助手席のドアに内蔵される構造ゆえ、ボディ剛性が足りないほどではないが、しゃきっとした感じに欠けるのは確かだ。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2003年5月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1051km
タイヤ:(前)175/65R14 82S(後)同じ(いずれもヨコハマ ASPEC)
オプション装備:G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーション(6.5型液晶ワイドマルチディスプレイ+CD+カセット一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+TV+6スピーカー)+ガラスアンテナ(ダイバシティ&TV用)(29.5万円)/VSC&TRC(8.0万円)/ディスチャージヘッドランプ+LED式ストップランプ&LED式ストップランプ式ハイマウントストップランプ(5.4万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(6):山岳路(2)
テスト距離:258.0km
使用燃料:24.0リッター
参考燃費:10.8km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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