カロッツェリア復活のカギは「原点回帰」【ジュネーブショー2013】
2013.03.08 自動車ニュース【ジュネーブショー2013】カロッツェリア復活のカギは「原点回帰」
ジュネーブショーがクルマ好きを引きつける理由のひとつに、デザインカンパニーやコーチビルダー、コンプリートやチューニングといったアフターマーケットビジネスも、メーカーと横並びで展示されている点を挙げることができる。ここではその見どころを紹介しよう。
■コンセプトカーに見るそれぞれの生存戦略
話題に満ちた今年のジュネーブショー。ひととき息も絶え絶えであったイタリアンカロッツェリアの“原点回帰による復活”(たとえそれが独立的なものでなかったにせよ)を実感できたのも、今回の特徴のひとつだった。カロッツェリアの展示は、ショーの欠かせぬ華だと思う。
まずはVW傘下となり、創作活動にもいっそう力の入る(と期待したい)イタルデザイン・ジウジアーロ。会場にはジウジアーロ親子はもちろん、VWデザインのボス、ワルター・デ・シルヴァ氏も顔をそろえて、イタルデザイン設立45周年を記念するクロスオーバーSUVのコンセプトカー「パルクール」を披露した。
赤いクーペと白いロードスター、いずれもミドには「ランボルギーニ・ガヤルドLP550」のV10エンジンを搭載する2シーターモデル。Aピラーを軸にして上方に跳ね上がる“ディヘドラルドア”を採用し、伏し目がちのフロントマスクや個性的なリアエンドなど、デザインディテールにはスーパーカーの香りがふんぷん! VWグループとなったからには、ぜひとも、ロードカーとして実現させてほしい一台だ。
一方、フェラーリとの“縁切り”でファンをやきもきさせたピニンファリーナは(今回発表された「ラ フェラーリ」のデザインには一切からんでいないという)、なんと「フェラーリ458スパイダー」ベースのバルケッタコンセプト「セルジオ」を出品し、メディアを驚かせた。
フロントには、もちろんフェラーリエンブレム。レオナルド・フィオラヴァンティ氏が同社のチーフデザイナーを務めていたときの名車「ディノ」の初期スタディーもおかれ、ブース内の雰囲気はさながら“古き良き時代”のフェラーリ。
セルジオには1950〜60年代の美しきイタリアンベルリネッタ時代をほうふつとさせるノスタルジアと、大胆なエアロダイナミクスの提案が同居していて、見る者を飽きさせない。なるほど、彼らの描きたいフェラーリって、こういうことだったのね、とあらためて納得させられた一台。
これがやりたいんじゃ、ルカ(フェラーリ会長)とは一緒に仕事できないかも……。
■キーワードは “原点回帰”
リリーさん(故ヌッチォ・ベルトーネの夫人であるリリー・ベルトーネ会長)も元気に姿をみせたベルトーネ。こちらも古き良きカロッツェリアの時代に原点回帰、である。
ブースには、リリーさんのパーソナルカーでもある「アストン・マーティンDB9」ベースのシューティングブレークと並んで、「ラピードS」ベースの「アストン・マーティン ラピード ベルトーネ」が展示された。顧客からのリクエストに応じて製作されたワンオフモデルである。
またツーリング・スーパーレッジェーラは、アルファ・ロメオバッジが付いていない(!)ことはさておき、今年も「アルファ・ロメオ8C」ベースの現代版「ディスコヴォランテ」を展示し、元気なところをみせた。
ニューモデルではないけれども存在感をアピールできるあたり、根本的にクルマ好きを喜ばせるツボを得たデザインなのかもしれない。「フェラーリ599」のヘッドライトはともかく、フロントフェンダーまわりのデザインが、たまらない。
こうしたカロッツェリアではないものの、アルファ・ロメオとのコラボレーションで次世代4ドアサルーンを提案したのがヨーロッパデザインスクール(IED)。「グロリア」と名付けられたデザインスタディーは、現実味に乏しいはずなのになぜか無性に欲しくなるという、昔ながらの“コンセプトカー”スタイル。若い世代から、こういう提案が出てくること自体が、そもそもうらやましい。
(文と写真=西川淳)
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