「ステンレス製ブレーキホースのメリットは?」
2001.10.04 クルマ生活Q&A ブレーキ「ステンレス製ブレーキホースのメリットは?」
友人に、純正のゴム製ブレーキホースをステンレスメッシュホースに換えるとブレーキの効きがよくなると聞いたのですが本当ですか? いったい何でよくなるのでしょうか?(愛知県名古屋市・KMさん)
お答えします。ゴム製からステンレス製に交換すると効きがよくなる、というよりも、ペダルの踏みしろ(あそび)が少なくなり、よりダイレクトなブレーキフィールが得られるということです。
純正で装着されているゴム製ホースは、ブレーキを踏んだときに油圧がかかって、わずかながら膨張するため、レスポンスが鈍るということがあります。
一方、ステンレスメッシュホースは、テフロンチューブのまわりにステンレスを編んだモノをかぶせて、油圧がかかったときにホースが膨らむのを防ぎます。油圧の逃げを少なくして、ディスクブレーキのキャリパーやドラムのホイールシリンダーに、踏力を無駄なく伝えます。
いいことずくめのようですが、では、なぜメーカーは純正で使わないのでしょうか?
ステンレスメッシュホースは表面が硬くゴムホースに比べフレキシブルでないという点が挙げられます。柔軟性が足りないんですね。日常の使用で、ステアリング操作でねじられたり、サスペンションストロークで上下に振られたりすると、遊びが少ないため破損する可能性があります。以前、ワタシは純正のゴムホースと同じ長さのステンレスホースをオフロード車に装着して、ちぎれた経験があります。
また、油圧がかかったときに遊びが少ないので、マスターシリンダーの負担が大きくなることもデメリットです。
通常の走行では、純正でまったく問題ありません。ヘタにステンレスホースに交換すると、トータルでのブレーキの寿命やバランスを崩す恐れがありますので、薦められません。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。