ニュー「Z」、300.0万円から!
2002.07.30 自動車ニュースニュー「Z」、300.0万円から!
2002年7月30日、5代目となる日産フェアレディZが発表された。2シーターのクーペボディに3.5リッターV6を搭載、もちろん後輪駆動だ。トランスミッションには6段MTと5段ATが用意され、300.0万円から360.0万円とリーズナブルな価格が付けられた。
■一目で心ひかれ、いつまでも愛し続けられる
2001年1月の北米はデトロイトショーでショーカーが初披露され、同年10月の第35回東京モーターショーで最終プロトタイプが展示されたニューフェアレディZ。その市販モデルが、2002年7月30日、ついにベールを脱いだ。カルロス・ゴーン社長指揮のもと、厳しいコストダウンと業務合理化で出血を止め、華々しい業績のV字回復を演出した日産が、スカイライン、プリメーラ、マーチ、エルグランドなど一連の新型車で利益を稼ぎ、「日産リバイバルプラン」の終了とともに、輝かしい過去をもつ「Z-car(ズィーカー)」で、国内のみならず、北米でも日産ブランドの再興をアピールする。新しいフェアレディZは、いうまでもなく日産復活のシンボルなのだ。
ニューZの開発コンセプトは「Lust then Love 」。一目で心ひかれ(Lust)、いつまでも愛し続けられる(Love)、という意味だ。最新のゼットは、1969年に「S30」こと初代のZシリーズが登場して以来のイメージを内外のデザインに上手にとりこんだのみならず、「高性能を誰もが手頃な価格で手に入れることができる」というシリーズ当初の美点も再現した。旧型でラインナップされた「2by2」ボディやターボエンジンは用意されないが、バリエーションを絞り込んだ恩恵で、280psのV6スポーツカーを300.0万円台から手に入れられる。コストパフォーマンスのよさ、日産のいう「High Value(ハイバリュー)」が大きな特徴である。
■斬新でありながらどこか懐かしい
フェアレディZ「Z33」型は、スカイラインで採用されたFM(フロントミドシップ)パッケージの2シーター版である。スカイラインより200mm短縮された2650mmのホイールベースに、全長×全幅×全高=4310×1815×1315mmのボディを載せる。先代「Z32」型より、25mm幅広く、70mm背が高い。ホイールベースは200mmも長い。前後オーバーハングを切りつめたスタイルが、いかにも現代的だ。視覚的にクルマの重心を車体中央においた全体のフォルムは、「ニンブルフォルム」(キビキビしたカタチ)と名づけられた。
前後フェンダーを強調して、キャビンを上方にむかって絞り込んだ「コーンケープボディ」と、柔らかい面とドアハンドルに象徴される直線的なパーツを鮮やかに対比した「フュージョンオブコントラスト」が、新しく採られたデザイン手法。これを日産は「Newness」と呼ぶ
一方、初代S30を彷彿させるロングノーズ&ショートデッキ、三角形のキャビンフォルム、先代から引き継いだアーチを描いたルーフラインやCピラー形状は「Z-ness」と呼ばれる。新旧デザインが巧みに融合された、「斬新でありながら、どこか懐かしい」風情を狙ったボディスタイルといえる。
内装は、黒のファブリックとレザー、そしてZの“ヘリティッジカラー”であるオレンジを用いた「バーントオレンジ」レザーの計3種類が用意された。
「燃料+水温」「回転計」「速度計」の3連メーターは、スカイライン同様ステアリングホイールのチルト(上下)調整と連動して動くチルトメーターを採用。スポーツカーとしての視認性に考慮した。シフトノブ、ドアハンドルなどにはアルミが配され、スポーティイメージを盛り上げる。また、ハッチバックゆえのボディ剛性確保の難しさは、リアダンパーを結ぶストラットバーで補い、あえて「リアストラットバー」として視覚化することで、「スポーツカー」が強調された。
■エンジンとトランスミッション
新型フェアレディZの基本骨格は、スカイラインと同じく、V6エンジンを可能なかぎりエンジンルーム後方、バルクヘッド直前に置くことで「重量バランス」と「実用性」を両立する「FMパッケージ」である。目指した走りは「世界中の誰もがスポーツドライビングを楽しめる新しいスポーツ性能の提供」、具体的には、ドライバーの視線を可能な限り動かさないフラットなボディコントロールを狙ったという。
車重は、1430kgから1450kgで、先代の2シーターモデルと比較すると、100kg近く軽い。ボンネットやサスペンションアームはアルミ、プロペラシャフトはカーボンFRP製(!)である。前後重量配分は、53:47が謳われる。
ボディのエアロダイナミクスにこだわり、車両上屋はもちろん、ボディ下面の空気流を、テールゲートの形状、メインマフラーにディフューザーを装着することでコントロール、「Cd値=0.30、フロントゼロリフト」を記録したという。フルエアロ装着車は、前後スポイラーのみならず、アンダーフロアへの整流板も追加することで、「Cd値=0.29、フロント&リアゼロリフト」を実現。フェアレディの空力パーツは、単なるコスメティックではないわけだ。
エンジンは、スカイライン350GT-8と基本的に同じ、3.5リッターV6「NEO VQ35DE」ユニット。DOHC24バルブのヘッドメカニズムをもち、吸排気系のリファインとフリクション低減、CPUチューンにより、280ps/6200rpmの最高出力と、37.0kgm/4800rpmの最大トルクを発生する。高出力ながら、平成12年排出ガス75%低減レベルを達成。「超-低排出ガス車」いわゆる三ツ星である。
トランスミッションは、6段MTとマニュアルモード付き5段AT。
後者のスポーツモードは、シフターを前後することでギアを変えることが可能で、勝手にシフトアップすることのない「完全ギア固定」式。しかも、ギア比を固定するとロックアップされるので、トルクコンバーターによる滑りがない、ダイレクト感を得ることができる。ロックアップは、セカンドとサードで3000rpm以上、4速、5速では、2000rpmで作動する。なお、ATのギアレシオは、スカイラインの3リッターモデルに準じるが、加速性能に重点がおかれ、ファイナル(最終減速比)が落とされた。
■17インチと18インチ
サスペンションは、前後ともマルチリンク式。加減速時の視線変化が少ない、フラットなボディコントロールを狙った。前後サスはもちろん、ステアリング剛性の高さもジマンだ。「ダイレクトなステアリングフィール」「カーブでのコントロール性のよさ」「高い高速安定性」さらには「突起乗り越し時の優れたダンピング(収束)」が、広報資料に記載される。
タイヤサイズは、前後異形で、以下の2種類がある。
・前/後=「225/50R17」「235/50R17」
・前/後=「225/45R18」「245/45R18」
ブレーキシステムは、ノーマルの17インチ車が、TMDフリクション社製ブレーキパッドを使ったフローティング式。18インチを履く「Version S」「Version ST」には、ブレンボ社製アルミ対向ピストンキャリパーが奢られる。ブレーキローターもひとまわり大きい。
アクティブセイフティとして、17インチモデルには「TCS(電子制御トラクションコントロール)」、18インチモデルには「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」が装備される。VDCは、各種センサーで車両の動きを読みとり、各輪のブレーキおよびエンジン出力を調整して、挙動の乱れを抑えるシステムだ。左右輪の回転差を監視して、必要に応じて左右どちらかにブレーキをかける「ブレーキLSD」の機能も有する(ただし、リアには、全車ビスカスカプリング式LSDが装備される)。
受動安全装備としては、ダブルエアバッグが標準、サイド及びカーテンエアバッグがセットオプションとして用意される。
グレードは、大きく17インチモデルと18インチに分かれる。
・17インチ「標準」モデルの価格が、300.0/310.0万円(6MT/5AT)。
・革内装の「Version T」が、330.0/340.0万円(6MT/5AT)。
・18インチバージョンには、6段MTしか搭載されず、ファブリック内装の「Version S」が330.0万円(6MT)。
・レザー内装の「Version ST」が360.0万円(6MT)
目標販売台数は月1000台。レッドステージのディーラーで販売される。
ちなみに、アメリカでは先行予約が8000台に達し、一時、受注が止められている。
(webCGアオキ)
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