日産 スカイライン【特集/笹目二朗】
理を説いて説得するスカイラインとプリメーラに見る、日産の新しい流れ 2002.01.05 試乗記 日産スカイライン……265.0-333.0万円 比較車種:日産プリメーラ20X(CVT)……226.0万円 斬新なデザインで世を驚かせたプリメーラ。過去と決別したニュースカイライン。いずれも、直噴化されたパワーユニットとビッグキャビンスタイルを特徴とする。話題の2車から、自動車ジャーナリスト、笹目二朗が、新しい日産の方向性をさぐる。将来への布石
スカイラインとプリメーラは、これからの日産の顔である。この2車に、新世代日産車の方向性をみることができる。共通するキーワードは、「ガソリン直噴エンジン」か。
エンジンの直噴化は、表向きはエネルギー問題への対応で、「燃費向上」と「エミッション低減」を両立させることへの、ひとつの回答であろう。しかしそれだけではなく、エンジニアサイドから見た場合に、「パワーアップ」という飽くなき効率の追求もあるはずだ。やはりパワーに対する欲望はつきない。特に高圧縮比ユニットは、ディーゼルエンジンを例に出すまでもなく、スロットルを開けた瞬間の、スッと前に出ようとする気持ちのよい性格を秘めている。ガソリン直噴ユニットも、将来的にはより高性能化、高出力化されるはずで、スカイライン、プリメーラのエンジン直噴化は、そのための布石とみることもできる。
余談だが、新スカイラインは6気筒エンジンが、直6からV6に変わった。直6に対する感傷を持つ人もいるだろうが、ハード面ではいまやすべての面でV6が凌ぐ。長いクランクシャフトはねじれに対する剛性面で不利だから、高回転を得意としない。V6の「VQ」型エンジンは、クランクシャフトが短く高回転でも滑らかだし、音もいい。3リッターと2.5リッターは、ストロークが同じで、ボア(ピストン径)の違いで排気量に差をつけている。当然ながら、シリンダー壁が厚い2.5リッターの方が全体に静粛である。
ショートノーズ、ビッグキャビン
新スカイラインは、ロングホイールベースとよく切れるステアリングが特徴である。旋回特性としては、FWD(前輪駆動)のプリメーラのような高い安定性を確保したうえで、ステアリング入力に対するレスポンスで、キビキビしたスポーティな味を出すように躾けられた。
そうした意味では、RWD(後輪駆動)とはいえ、ニュースカイラインは、最近の流行に従ってFWDのような特性をもつ。もはやカウンターステアを切って、ドリフトさせて走るといった、大昔のFR特性を云々する時代ではなくなった。ストレート6搭載ゆえの長く重いノーズによるアンダーステア(曲がりにくさ)もなく、V6ユニットの軽いノーズによる軽快な動きを楽しめる。
スカイラインとプリメーラ、外観のスタイリングは異なるものの、ショートノーズとビッグキャビンはこれからの時代性を象徴している。新スカイラインのエンジンルームはサニー並の長さだが、一方、室内長はシーマほどもあるのだという。この短いノーズを実現するために、V6ユニットの短さが求められたわけだ。プリメーラは、もちろん直4エンジンを横置きする。
日産はいま大きく変わろうとしている。スカイラインにしても、プリメーラにしても、これまでの古いしがらみを捨てて、新しい流れのなかにある。これまでにつくりあげた日産の印象は、必ずしもいいものばかりではなかったが、名誉挽回をはかるには、言葉による釈明ではなく、こうした技術をはじめとした、理を説いてユーザーに納得してもらう方策が、一番賢明なやりかたであろう。
(文=笹目二朗/写真=清水健太/2001年7月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
NEW
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
NEW
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。 -
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。































