トヨタ・セルシオB仕様eRバージョン(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・セルシオB仕様eRバージョン(5AT) 2000.11.02 試乗記 ……689.9万円 総合評価……★★★★いちばん嬉しかったのはスマートキー
見た目も、またハードウェアの内容も「旧型までとはハッキリ変える」というのが新型セルシオの大きなテーマだ。
で実際、そういうモノになっている。特に、外観やインパネの眺めあたりはけっこうエグい。
スタイルに関しては、従来どおりドライバーズ高級車としてのスポーティな表面デザイン処理(および現行Sクラス対抗の徹底した低ドラッグ設計)とVIP本格対応型後席空間を包む基本プロポーションとがケンカしているような未消化な印象もある。
いずれにせよ、サラッとコンサバ系でやってきたこれまでとはかなり別世界だ。「最重要市場=北米」のお客の声を反映したらこうなった、ということか。
実は今回、借りている間いちばん嬉しかったのはスマートキー。携帯さえしていれば(つまりポケットから出さなくても)、ロック状態のドアやトランクの開閉を「素手で」行えるというデバイスは、ありがたみ最高だった。下のクラスに採用されるまでは、たっぷり優越感にひたっていられることと思う 。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
初代セルシオが誕生した1989年は奇しくも日本人がバブルでうかれていた時。よってバカ売れした。2代目は1994年にキープコンセプトでデビュー。ホイールベースを延長したものの見た目に大きな変更がなかったため、ずいぶんひっそりとしたフルモデルチェンジだった。そして2000年8月31日に登場したのが3代目となる。外寸はそのままに、ホイールベースを75mm延長して2925mmとし、室内空間の拡大を図った。エンジンもまた、4から4.3リッターに大きくなった。トランスミッションは、5段AT。
(グレード概要)
エンジンは1種類。グレードはA/B/C仕様の3タイプ。最上級のC仕様はエアサスペンション。コイルスプリングのA/B仕様にはヨーロッパ向けのサスペンションを装備する「eRバージョン」がある。「eRバージョン」は、225/55R17というノーマルB仕様より薄く大きなタイヤを履くほか、電動サンルーフ、本革内装、フロントシートヒーターなど、装備も奢られる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
黙ってダッシュボードを眺めるだけでシミジミとありがたみを感じられるという意味で、非常に希少なトヨタ車。あるいは国産車。ただし、モニター画面を中心にデーンと盛り上がっている中央部は存在感やや強すぎでウルサい。このあたりの処理(使い勝手を重視しつつ見た目にもさりげなく)はマークIIのほうが上手い。あと、ウッドパネルの面積がデカいこと。周囲との色相の違いもデカい(たぶん日本仕様特有だ)からなおさらウルサい。
(前席)……★★★
サイズも質感もゴリッパといえばゴリッパだが、体感上、座面の形状は曲面状の凹。簡単にいってヘタッているような。で、これがナンとも嬉しくない。コシの弱いクッションの上に(シワができるのを嫌って)強めにレザーを張っていたことで従来セルシオはよく注文をつけられていたが、今度はその表皮の張りだけが弱くなった感じだ。改善、なのか?
(後席)……★★★★★
今回のセルシオでスマートキーに次いで嬉しかったのがココ。シートの掛け心地といい、また空間の形状といい、ちょっと文句のつけようがない。やや大げさにいえば、これならセンチュリーは要らない。北米市場で「S」や「7」のロングより「狭い」とクレームをつけられて主査はそれをよしとしなかった。
で、徹底してやった。やっただけのことはある。
(荷室)……★★★★
従来後席とトランクの間にデーンと置かれていた燃料タンクは後席座面の下へ引っ越した。ボディ後端の絞りも軽微。で、この広さ。容量573 リッターはいかなる基準で評しても巨大。また、蓋のヒンジもいわゆるダブルリンク式に変更。荷物との干渉を心配せず容量いっぱいまで使えるようになった。この部分の実用性では「S」や「7」や「XJ」など敵ではない。そのぶん高級かどうかはまた別のハナシだが。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
乗り込んで始動したときの音環境は、旧型と比較してもアッと驚けるくらいに静か。その一瞬で乗り換えを決意する人も多いかもしれない。トルク特性やオートマおよびトルコンのマトモさは、依然として日本車にあっては貴重なレベル。旧型と較べて感動できるほどには違わないが、速さそのものは格段に強化されているはずだ。ボアアップで振動のアジがアレた印象も特になし。抜かりなし、か。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
高速道路を走っていると知らず知らず掌に汗が……というようなことはなくなった。かなり特記事項。ただし、eRバージョンでもドライバーズカーらしいとはいいかねる。コワくないのはいいとして、入力にクルマが嬉しそうに反応してくれないのは問題。ひたすらドテッと安定型。一方で、段差のツンツンしたショックや「サーッ」系ロードノイズは明らかに「これぞセルシオ!」の水準に達していない。タイヤ特性だけでも直してみては?
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者 :森慶太
テスト日: 2000年9月26日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式 :2000年型
テスト車の走行距離 :3673km
タイヤ :(前)225/55R17 95W/(後)同じ(いずれもDunlop SP Sport270)
オプション装備 :レーザークルーズコントロール(7.0万円)/クリアランスソナー(7.4万円)/スマートキーシステム(9.5万円)/クロムメッキアルミホイール(8.0万円)/コンフォータブルエアシート(5.0万円)/ナビゲーションシステム+マークレビンソンプレミアムサウンドシステム(53.0万円)
テスト形態: ロードインプレッション
走行状態 :市街地(8):高速道路(2)
テスト距離 :327.7km
使用燃料 :48.0リッター
参考燃費 :6.8km/リッター
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