トヨタ・ノアL(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ノアL(4WD/4AT) 2002.03.29 試乗記 ……335.8万円 総合評価……★★★居間にもなります
「打倒ホンダ・ステップワゴン」を合い言葉に開発された、に違いないトヨタの8人乗りワンボックス、否、ミニバン。最大の武器は、スライドドアが左右両側に備わること。クルマを間に挟んでキャッチボールができる。“若さ”や“青春”に未練を残すヒトは姉妹車「ヴォクシー」にまかせ、「ノア」は名実ともに“いいお父さん&お母さん”向けモデル。
広い室内、豊富な装備、安楽な運転。「趣味性」とか「ドライビングプレジャー」とか「ステイタス」とかのこだわりを捨てればクルマ生活はこんなに楽、の一典型。日本の休日の交通事情にピタリと合っている。
エンジンは、2リッター直噴D-4ユニットの1種類。希薄燃焼時にメーターナセル内に点灯される「ECO」マークが、渋滞にはまったお父さんの社会意識をくすぐる。ただし、空荷の一名乗車でも、約1.6トンの車重が少々重い。家族とバーベキューセットを積み込むと、フラットに遅いことが予想されるが、“ファミリー・ファンタジア”ノアの場合、キーのボタンひとつで開閉可能な助手席側「パワーアシストドア」や、半ドア状態でもちゃんと閉めてくれる「スライドドアイージークローザー」や、セカンドシートにも備わるエアコン調整機能や、後席も明るい「ツインムーンルーフ」や、なにより走行中も2列目、3列目の乗員が楽しめる「後席液晶TV」が装備されることの方が、大事。
家族総出で出かけることに飽きたり、飽きられたりしても、書斎として使えること請け合い。シートアレンジが豊富だから、居間にもなります。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年11月16日に発表されたミニバン。「ノア」がトヨタカローラ店で売られていた「タウンエースノア」、「ヴォクシー」がネッツトヨタ店「ライトエースノア」の後継モデルである。フルモデルチェンジにともない、シャシーがFF化(前輪駆動)され、両側スライドドアとなった。いずれも3列シートの8人乗りだ。ドライブトレインは、直噴の2リッター(152ps、20.4kgm)と4段ATの組み合わせのみ。駆動方式には、FFのほか、電子制御多板クラッチを用いた4WDも用意される。
(グレード概要)
「L」は、ノア中もっとも装備が充実した豪華版。パワーアシストドア(助手席側)やスライドドアイージークローザー(運転席+助手席側)を備え、トリコット素材のシート&ドアトリム、木目調センタークラスター、オプティトロンメーターが奢られる。後部座席には、大型ルームランプやリアヒーターが付く。外観上は、ハロゲンヘッドランプや15インチアルミが識別点だ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
「センターメーター」や「上下に分けられた2トーンカラー」がほどよく新しいインストゥルメントパネル。円周部を押してエアコンのモードや風量を調整する「プッシュダイヤル式コントロールパネル」は、これまたわかりやすく新しい。タッチパネル式のDVDナビは、抜群の使いやすさ。ディスプレイはコンソールの高い位置に置かれ、視線の移動量を抑える配慮がなされる。いたる所にモノ置き&小物入れ−−サングラス入れ、カップホルダー、ペットボトルも置けるセンターコンソール下端の「マルチホルダー&トレイ」、大きなグローブボックスなど−−が配される。家庭用と同じ100VのコンセントやVTR端子まで備わるのはビックリ。
(前席)……★★★
小ぶりなサイズ、短い起毛のトリコット素材、あたりがソフトで、かつ腰がないシート。座り心地は平板。姿勢を崩しても立派なアームレストで上体を支えることができる。運転席側には、座面角度調整ダイヤルが備わる。
(2列目シート)……★★★
180mmのスライド量を誇るセカンドシート。足もと、頭まわりともスペースはじゅうぶん確保されるのだが、グルリと回転させる必要上、サイズが小ぶりなのが残念。座り心地も前席同様で、「ミニバンのセカンドシートは特等席」とは、ノアの場合いいかねる。センターシートは、板の上に座っているようでヘッドレストも無いから、実質「荷物置き&テーブル」として機能する。
(3列目シート)……★★
ヒトが座ることよりも、シートバックを前に倒して荷室を拡大したり、側壁に跳ね上げて収納することを優先してつくられた感がある。たしかに、最寄りの駅から自宅まで我慢できればいい、という考え方もあるが……。たとえばキャンプ場で駐車して、向かい合ったセカンドシートに座った家族と会話する、という場面で使うのが妥当なのだろう。法規上は3人座れる(!)
(荷室)……★★
長さ136cmの巨大なハッチゲイトをもつ。雨宿りしながら荷物の出し入れができる一方、狭い場所では、ゲイトを開けることもままならない。とはいえ、小柄な女性でも手を伸ばせば閉められるよう、全開にしても手をかける位置は地上187cmにとどまる。ラゲッジルームの床面最大幅127cm、高さ120cmはボディサイズ相応の大きさだが、3列シート使用時の奥行きは50cmしかない。もっとも、サードシートは簡単にバックレストを倒したり、横に跳ね上げたりできるから、フル乗車時をのぞき、荷物の収容はあまり問題にならないはずだ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
先代のバンカラ「3S」型から、可変バルブタイミング機構を備えた直噴エンジンに変更されたパワーソース。「平成12年基準排出ガス25%低減レベル」と「平成22年燃費基準」を先行して達成したのがジマン。152ps/6000rpmの最高出力と20.4kgm/4000rpmの最大トルクは、2リッターユニットとしては立派なスペックだが、1.6トンのボディと家族&キャンピングセット(など)を輸送するのにはギリギリのところか。ひとり乗車でも、急な登り坂は少々ツラい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
前マクファーソンストラットの独立式、後は半独立のトーションビームという、小型ハッチのようなコンベンショナルな足まわりをもつノア/ヴォクシー。ステアリングフィールはやや曖昧で、高速巡航時の接地感もいまひとつだが、ほどほどの動力性能でゆるゆると走るクルマだから、これでいいのだろう。リジッドサスかつキャブオーバータイプのワンボックスと比べると、はるかに文化的な乗り物といえる。いずれにせよノアの“よきドライバー”は、「運転」以外にヨロコビを見いだすべきだ。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:200年3月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3436km
タイヤ:(前)195/65R15 91S/(後)同じ(いずれもトーヨーJ-31)
オプション装備:ツインムーンルーフ(10.5万円)/クリアランスソナー&バックソナー(4.0万円)/前席サイド&カーテンシールドエアバッグ(7.0万円)/セカンドシート(マルチ回転シート=1.5万円)/ノアライブサウンドシステム(DVDボイスナビゲーションシステム+MD/CD付きラジオ+6スピーカー+6.5インチディスプレイ+TV)+後席液晶カラーTV/アクセサリーコンセント+音声ガイダンス機能付バックガイドモニター+ブラインドコーナーモニター=50.8万円/VSC&TRC(8.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:114.5km
使用燃料:13.7リッター
参考燃費:8.4km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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